太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

1月 私のモチベーション

2020-01-25 19:19:20 | 日記
夜、トイレに起きたとき、廊下の窓からでっかい北斗七星が見える。
スコップの形が逆さまで、これじゃ中に入れたものが全部こぼれてしまう。
朝、ウォーキングに行くとき、逆さまのまま西のほうに移動している。
ハワイの1月は寒くて、朝のウォーキングもさぼりがち。
朝は摂氏にすると、15度をかるく下回る。


1月も最後の週。

昨年の後半、オーダーを受けて2つの作品を仕上げてから、
父のことで日本に行ったり、12月になってから再び帰国したり、
父の死があったりして、そのせいなのかどうか、
私の創作意欲の炎が消えたまま、戻らない。
キャンバスは色々取り揃えてあるのに、私の心がキャンバスのように真っ白で
なんのイメージも沸いてこず、そのことがまた私を焦らせる。

そんなとき、アート友達のマイクの誕生日があって、二人でランチに出かけた。
マイクが、あるギャラリーのオーナーに私のことを話してくれて、
私さえその気なら、翌週にでも一緒にそのギャラリーに行ってオーナーに会う話をつけてきてくれたという。


そして翌週、私はマイクとともにワイキキのそのギャラリーに出かけた。
が、その日は祭日で、ワイキキのメインストリートがパレードのために通行止め。
ということが、マイクを拾う直前に判明。
私たちは遠回りをして、カピオラ二パークの隣に車を置き、
延々と炎天下の下、重い荷物を持って公演を横切り、ギャラリーまで歩いたのだった。


公園の真ん中からダイアモンドヘッドを見る。

やっとこさギャラリーに着いたら、オーナーは病欠だという。
結果、オーナーよりもマネージャーのクリスティンがいてくれてよかった。
彼女は、いたく私の作品を気に入ってくれて、その場でひとつのオリジナルを置いてゆくことになったのだ。
「で、この作品、あなたの値段はいくら?ほしいだけ言ってみて」
「うーん・・・・・・・ご、500ドル・・・?」
「私に言わせてもらえば、少なくとも750はいけるわよ」
「え!マジで!・・・じゃあ、800ドルで」(ゲンキンな私)
「了解!!」
押しが強く、肝っ玉かあさんみたいなクリスティンは、ものをはっきりと言う、
裏表のない人で、私はこういう人が好きだ。
その二日後、留守番電話にクリスティンの元気な声が入っていた。

「もうすっごく興奮してるわ、こんな電話はできて幸せよ!あなたの作品、気に入ったから、来週、ほかのオリジナルも持ってきてほしいの。おめでとう!」


私が創ったものが、誰かの心を動かす。
そしてまたほかの誰かが、それを買って、家に飾ってくれる。
私はなんとありがたい仕事をさせてもらっているんだろう。

作りたいものじゃなくて、売れるものを作るようになるのが嫌で
長いことプロになるのを避けていたけれど、
純粋にただ作りたいものを作るのもいいし、
売れるものを作りたい、というのもアリでいいじゃん、と思う。
ギャラリーの壁のスペースを考えて、少し小さめのオリジナルを
少しずつまた作ってみようかな、そんな気持ちがむくむくと出てきた。
2020年、私のモチベーションがようやくゆっくりと動き出したところである。






パ、なんとか 許さじ!

2020-01-18 08:20:31 | 日記
日本のテレビ番組を放送するチャンネルで(番組じたいは古い)
芸能人が二人で旅をする番組をやっている。
この番組のあと、夜7時からの「soko ga Japan」は
中村勘九郎氏がナレーターで、旅をする人はいっさい画面に出てこない。
芸能人がはしゃぎあったりするのを眺めるよりもずっと、その場所の良さが伝わってくる。
だから、芸能人の旅ものは、たまにしか見ない。

その日は、元・シブガキ隊のフッくんが、誰かと一緒に出ていた。
最初はフッくんとは気づかなかった。
しっかり中年になったシブガキをみて、あれから何年たったのだろうと数えてみれば
軽く35年はたっている。

さて、その二人が食事に入った店で、その店の人が結婚相談に乗っているらしく
しきりにその二人に相手を探させてほしいと言っていた。
フッくんの連れの方が、
「この人も今独身だから探してやってください」
と言う。
確かフッくんは、なんとかいうタレントと早々に結婚したんじゃなかったか。
子供も何人かいたような。
離婚したんだな、なるほど。

店の人が、
「お相手の年齢はどのぐらいがご希望ですか」
と聞いた。
迷う二人に、店の人が
「おすすめしたいのは、少し年上がいいと思うんだけど、
45から55ぐらいのお歳でいかがでしょうね」
するとどうだ、フッくんの連れの男が即座に大笑いしつつ言ったのだ。

「えーーー!!!勘弁してくださいよぅーー」

なにィ!!
令和の50代を舐めンなよ!
ふくらみつつすでに萎みはじめてる風船みたいな顔して、なにを言う。
失礼にもほどがある。
この、この・・・・えーと、名前はなんだ?
画面の右上隅にふたりの名前が小さく出ているのだが、
なぜか最後の方が画面から切れていて、読めるのは布川というフッくんの名前だけ。
かろうじて「パ」という字が見える。
まんまるい顔にくるくる頭、やたら顔が濃い「パ」なんとか。
こっちだってお断りだわよ!
(って、頼まれてもないけどもさ)
隣でフッくんは、それに対して特に何も言わずに笑っている。
さすがにフッくんは離婚などして、苦労を重ねてきただけある。
それに比べてこのアンパンマンのできそこないみたいなやつは!!!!

テレビを前に一人で怒る私を、
夫が呆然と眺めていた。









おかしな日本語

2020-01-14 04:44:02 | 英語とか日本語の話
雑貨な店をのぞいていたら、日本の商品を発見。
地元のドラッグストアでも、日本の百円ショップにありそうな日本の商品が
並んでいることがある。
日本の商品を見つけると、それは確かなものだという確信がある。

「あ、またここにも日本のものが・・・・・ン????」

夫に見せようとして、手が止まった。
なにかが、著しく、おかしい。





多い用途は取っ手に協力します


え、何て????

何度読んでも、意味がわからない。それが何であるのかもわからない。
自動翻訳で日本語にしたのだろうが、企画して、印刷のレイアウトして、
印刷に出して商品になって、というプロセスの中で
ただの1度も文章のチェックが入らなかったのか、ということが不思議。
商品開発にかかわった人のうち一人も、これ合ってる?と思わなかったってことが不思議。


写真に撮って、友人に送った。
友人は、「ホチキスでは?」という。
確かに大きさも形もそれらしい。
取っ手、と書くからわからなくなるのであって、ホチキスの持つ部分が大きいので
使いやすい、ということを言いたいのではないか。
というところで勝手に着地した。
あれはいったい何だったんだろうか。



以前、試食品のところに

自分を助けてください

と書かれた紙が貼ってあり、しばし足を止めたことがあった。
ご自由にどうぞ、というのを英語で
Help Yourself
というのだが、それを直訳したのだと、1分後に思い至った。
日本人の観光客のために日本語にしたのだろうが
自動翻訳を信用しちゃいけない。
よほど、その店の人に言おうかと思ったけれど、そのまま通り過ぎた。
それはそれで日本人旅行者の話題になって、その商品が売れるやもしれぬではないか。


おかしな日本語に出会うとおもしろい。
おかしな英語を日常的にしゃべって暮らしている私は、こんなことで溜飲を下げるという姑息な人間なのである。





雨の日曜日のチャイナタウン

2020-01-13 09:34:46 | 日記
ハワイでは丸1日雨に降り込められることは少ないが
今日はそんな珍しい雨の日曜日。
日曜の朝はビーチに行く。
どうせ濡れるのだから、雨でもかまわないはずなのだけれど
雨の海は気分が乗らない。
肌寒いことでもあるし、今日は久々にチャイナタウンに出かけた。


いつ来たのだったか思い出せないほど久しぶり。
マウナケア通のパーキングに車を置いて、傘を持って歩く。
独特の雑多混沌、そして喧噪。
我が家のある田舎じゃ、あまりみかけないホームレスがたくさんいる。
狭い歩道から、雨の湿り気に乗って排泄物の匂いがするところもある。
雰囲気は清潔、とは言い難いけれど、
ひとつひとつの店は、むろんちゃんと清潔にしてあって活気に満ちている。
サンフランシスコのチャイナタウンも、同じ活気と混沌があった。
何種類もの中国語が飛び交い、
営業スマイル、あるいは愛想笑いという言葉など文化にないに違いない人々が、
表情の乏しい目で行き交う人たちを眺めている。
特に、夫のような白人は珍しく、じろじろと遠慮なしに見る。

豚の頭まるごとの隣に、皮をむかれたカエルがのびている。
ナマズを十何匹も買っている人や、バケツであさりを買ってゆく人。
香辛料の香りと生ものの匂いが、壁や土間にしみついている。
見たこともない実や、乾物もある。
チャイナタウンに来たら、必ず買うもののひとつ。チャーシュー。
1パウンドで1000円ぐらい。
でかい中国の包丁で、ダンッダンッと豪快に一口大に切ってくれる。
実は私はごま団子が大好き。
出かけた先でごま団子を見かけると、つい買ってしまうのだが
いつも「まあまあ」の味。
ここで売っているごま団子は、別物。
握りこぶしぐらいの大きさで、冷めても外側の皮とゴマがさくさくしていて美味しい。
中身が、ココナツのもあるけど、私は絶対に餡子派。
「Black Sugar」と書かれていたら、それが餡子だ。

今日、買ったもの。
チャーシュー、ごま団子、いろとりどりのプチトマト、シラントロ、パパイヤ、
沖縄さつまいも、ちまき、ニンニクの芽、いんげん、にんじん
お昼は、マウナケア通にあるベトナム料理のレストランで、ヤギのカレーと
春巻き、レモネードとベトナムコーヒー。
ベトナムコーヒーは、エスプレッソ並みに濃いコーヒーの底に
たっぷりのコンデンスミルクが沈んでいるもの。
アイスコーヒーにしたので、氷が詰まったグラスが別についてくる。
コーヒーとコンデンスミルクが2層になったものを、一気にグラスに注ぐ。
味は、しっかりと濃いコーヒー牛乳だ。


夕食に、ニンニクの芽と豚の薄切りを、さっと炒めて食べた。
日本に住んでいたころ、ときどき作ったのに、夫は忘れている。
「おいしいねえ、これ!」
日本食のスーパーでも、これは見かけない。
食べたかったら、チャイナタウンまで行かねばならないが
スーパーと違って、同じものがあっちの店でもこっちの店でも売られていて
それぞれに値段も質も違いがあり、
何をどこで買えばいいのか迷い、挙句の果てにさっき見た店がどこにあったかわからなくなる。
滅多に行かない私たちのような者には、普通の買い物の何倍もエネルギーを消耗する、チャイナタウンはそういうおもしろい場所である。







ハワイの雨と、父の虹

2020-01-10 08:18:04 | 不思議なはなし
ホリデーシーズン気分(日本だとお正月気分か)もすっかり抜けて
家や職場のクリスマスの飾りも片づけ、
ゆっくりと新しい年が滑り出し始めた。

クリスマスの大嵐のあと、天気はぐずぐずしている。
ぱーっと晴れて、ザーッと雨がきて、といういつもの雨期の天気に加えて
ここ数日は偏西風が半端ない。
たいした雨じゃなくても、風にあおられ真横に雨が降るので
朝のウォーキングもしばらく行っていない。
こんなハワイだからこそ、虹が毎日出る。
地元の街中で

左上は車のウィンドウの模様

ハワイに来た頃は、虹を見ると大きく感動したものだけど、
こう毎日虹を見ていると、普通の景色になってしまう。
私のように毎日、富士山を眺めて育ってきた子供は、
小学校の写生大会では誰も富士山を描こうとはしない。
日本を離れてみたら、富士山が特別だったことを思い知る。
日本に滞在している間、いつだって富士山がどこにあるか探し、
富士山が見えれば、飽きるほど写真を撮るのだ。

それでも、水平線から噴水のように空に向かって出る虹や
あまりに完璧な虹を見ると、新鮮な感動がある。



虹といえば、
正月2日の私の誕生日に、かつて同僚だった友人から誕生日のメッセージが届いた。
あわただしく帰国したのもあり、その友人には父のことを話す機会がなかったので
お礼のメッセージに父のことに触れたが、細かいことは言わなかった。
友人はとても驚き、1枚の写真を送ってくれた。



「12月15日に撮った虹だよ、お父さんからのエールかもしれないね」

12月15日は、父が逝った日だ。
友人には亡くなった日を伝えていなかったから知らないはず。
その日に亡くなったんだよ、と言うと、友人は絶句・・・・
「鳥肌たったー・・・」
「私も」

ほんとうに父のエールかもしれない。
胸騒ぎという形で私たちが間に合うように呼び寄せ、妹の試験が終わるまで待ち、
すべてをすごいタイミングでこなした父だから
虹ぐらい呼べたのかもしれない。
あれから、まだひと月もたっていない。