太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

昔話に花が咲く

2022-10-31 14:02:04 | 日記
メロンアイスを買った話を姉にしたら、昔話に花が咲いた。

私「角にあった杉山さんでお菓子を買ったよね」

姉「そうそう、それと田村さん」

私「あったねえ!田村さん!!」

田村さんは小学校の近くにあって、ガラスの瓶の中にダルマの形をした砂糖菓子や、ソースせんべいや、三角帽子型のウェハースの中に砂糖を入れたのとかを売っていて、シャベルのようなものですくってくれた。

姉「遠足の前なんか、千石屋に行くのが楽しみだった」

私「千石屋!どこにあったっけ?」

姉「北街道の大塚文具の隣」

ああ、そうだった。千石屋というお菓子屋は品そろえもよくて、遠足前には必ずそこでお菓子を買ったのだ。
昔はコンビニなどなかったから、お菓子はお菓子屋で買った。

姉「ミッキーさんは覚えてる?」

私「言われるまで忘れてたけど、今思い出したよ。百万円のおじさん」

よくもまあ、姉は覚えているもんだ。
ミッキーさんは小学校の西門の前にある小さな文房具屋で、そこのおじさんはお釣りをくれるときに
「はい、100万円」
などと言うおもしろいおじさんだった。


静岡とはだいぶ離れた地域で育った、同じ年の友人とも、昔のお菓子話で花が咲いた。
日本全国、同じ時代に同じものを売っていたのだなあ。

私「砂糖がけしたピンクの麩菓子、好きだったなあ」

姉「今もあるよ、私の好物。それにピンクなのは静岡だけで、東京あたりじゃ黒糖なんだらしいよ」

私「麩菓子に地域色があったとは。そういえば真夏でも常温で腐らない、怖いイカの燻製があったよね」

姉「ああ、よっちゃんイカね。今も売ってるよ」

私「えええーーーーーー!!!!うっそぅーー!保険所はなにをしている」

姉「20本くらい入ったのが、売り場の棚で永遠に腐らないであるよ」

姉によれば、今でもペロティ(円形のホワイトチョコレートの表面にチョコレートで絵が書いてあるやつ)に似たようなものはスーパーの片隅に売っているし、意外と昭和のお菓子はほそぼそと現役なのだという。
4歳違いの姉とは、ほぼ同じ思い出を語れるのだが、5歳違いの妹とは少しずれる。
4歳下の友人とも、姉や同じ年齢の友人ほどには盛り上がらない。
1975年あたりに、なにか文化の端境期みたいなものがあったのではなかろうか。


姉とひとしきり昔話をしていたが、

「お菓子屋のおばさんも、ミッキーさんのおじさんも、ずいぶん年寄りに見えたけど、実は今の私らよりも若かったりしてねー」

という私の不用意な一言がその場を凍り付かせ、そそくさと会話を打ち切ったのであった。
(そんな気がしてきたと姉も言っていた)



教科書にない英語 ガレ・ゲレ

2022-10-31 13:32:21 | 英語とか日本語の話
当然だが、毎日毎日が英語漬け。
夫と結婚したとき、夫に言われた「アーユー シュア?」の意味がわからず、適当にごまかしておき、電話を切ったあとで辞書で調べていたような程度の英語力。
だからといって、試験はいつも一夜漬け、「こつこつ」という単語が人生に欠けている私が、その後真面目に英語を勉強するはずもない。
弁解すると、やる気だけはあった。単語本もフレーズ集も文法本も何冊も買った。
それらをマスターしていたら、ああ、どんなにかすばらしいであろうか。


そんな私の英語処世術は、自然と「聞いた英語を真似る」のがメインになる。
教科書にあるフレーズなんて、とうてい私には覚えきれないし、話し言葉にするとちょっと不自然になる表現が多いのも確か。
というのは半分勉強をしない言い訳でもある・・・・


日常で、とっても便利なのが、ガレとゲレ。
ガレ=Got it  ゲレ=Get it
長い説明をするより、例文を出してみよう。

出かけようとしたら、車の鍵がない。私を外で待たせて、夫が家の中を探している。
私「Got it? ガレ?(あった?)」
夫「No,」
しばらくして、
夫「I got it! アイガレッ(あった、あった)」


職場で、空の段ボール箱を潰して、捨てに行こうとしたら同僚が通りかかった。
同僚「I got it(私が持ってくよ)」
私「Thanks」


歩いていたら突風で誰かの帽子が飛ばされた。追いかけていって帽子を確保。
私「I got it!!(取った、取った!)」



買い物に行ったら、すてきな服を見つけた。
私「これいいねえ」
夫「いいじゃん、get it ゲレ(買いなよ)」


職場で、倉庫から せせらぎ(ゴのつく虫ね) が出て来て、同僚が追いかける。
他の同僚「Get it them! ゲラム (取っちゃえー)」




要するに、一つの表現でいくつもの意味に使える便利もの。
耳で覚えるので、ガレがGot it で、ゲレがGet it だとわかったのは後になってから。
図々しくよくやってるよな、と自分でも思う。
完璧だった日本語の単語も怪しくなってきて、宮尾登美子さんの小説は漢字が難しくて飛ばして読む箇所が多い。
それでも漢字を調べるでもなく、英語力を伸ばそうとするでもない私は、よほどの大物なのか、楽観的なのか、ただの怠け者なのか。




動ける幸せ

2022-10-30 08:01:34 | 日記
先日、腰が痛くて動けずにいる友人に、おかずを届けに行った。
友人は集合住宅の4階に住んでおり、防犯のために、建物に入るのに2つの鍵が必要。
その前の週、おかずを届けに行った時、友人がベランダから鍵束を投げ落とし、それを使って建物に入るつもりだったのだが、その時は起き上がることもできずに、娘が降りてきて開けてくれた。
痛みが激しいので会うこともできなかった。


脊髄滑り症という、彼女の持病のようなもので、腰から右脚の足首までが痺れ、寝ているだけでもぎりぎりと搾られるような痛みがあるという。
処方されたステロイドも痛み止めも効かないというのだから気の毒だ。
18年前にも同じようになって、腰の手術はリスクが高いから最後の手段。
まだ若いから(当時は40ぐらい)筋肉を鍛えていこうということで、次第によくなっていったのだという。

既に3週間仕事を休んでいる。
今回はベランダまで出てくることができ、鍵を投げてもらって家に入ることができた。
シングルマザーの友人は、さぞや心細いだろうと思う。
救いなのは、娘が大学生とはいえ成人していることで、「電子レンジしか使えない不肖の娘」であるにしても、病院に連れていってくれたり、何かと頼りになる。

1分よろよろと歩き、座る、1分歩いて、横になる、そんな状態でも、動けなかった時を思えばずいぶん回復している。
「痛くて痛くて、いい年しておとうさーん、おかあさーん、って叫んだんよ」
あの世のご両親もさぞや心配したんじゃなかろうか。

テレビで、走っている人や、ダンスをしている人を見ると、
「あんなふうに動けるなんて!」
と思うのだという。
ちょっと前までは自分もそうしていたことが、遠い夢のように思える。

風邪をひいただけでも、健康のありがたみが身に染みる。
だけど、それはその時だけで、元気になれば忘れてしまう。
延々とその繰り返し。
身体のどこにも痛いところがないということが、どんな奇跡であるか。
立って、歩いて、走って、ものを掴んで、階段を上り下りできることが、どれだけ奇跡であることか。
私は友人を通して、しみじみと健康に感謝した。



素通りできないメロンアイス

2022-10-29 15:57:47 | 食べ物とか
近所のスーパーで、私を呼ぶ者があった。



こっ!これはッ!!!!

黒いパッケージをかぶってはいるが、この色と形はまさしくあのメロンアイスではないか。
秒で買い物かごに入れたのは言うまでもない。

パッケージをとってみる

ほらね、やっぱりメロンアイス。
パッケージにはMelon ball ice。Product of Japan というだけで、製造元などは一切わからない。
そこは地元スーパーだが、数年前に日本食スーパーのドン・キホーテが買収してから、日本の商品が少しずつ棚に出るようになった。
しかしまさかここでメロンアイスに再会できるとは。

これを食べていたのは50年前よ。
いや、もっとか。
あの頃、羊羹アイスとか、ゴムの袋の中にバニラアイスが入っていて、穴をあけて吸いながら食べるのとか、シンプルなイチゴ味のみぞれとか、お菓子やで買って食べたものだ。
ゴムのバニラアイスは、ゴムの味がするんだけど、美味しかった。
ハーゲンダッツみたいなリッチなものもなかったし、人々の味覚は今ほど肥えてはいなかったと思う。

冷凍庫の大きさからいって、アイスを家で保管する生活様式は庶民には浸透していなかった。
冷凍庫があるだけ立派で、たいていは冷凍庫と冷蔵庫が一体になっている冷蔵庫だった。
若い人には想像つかないだろうけど、ドアをあけると、申し訳程度の製氷室が冷蔵室の上のほうにあるだけ。
だからアイスは食べたいときに買いに行くものだった。
真夏に、大きなボウルを持って、そのお菓子やに行き、その中にかき氷を入れてもらい、「溶ける溶けるー」と言いながら走って家に帰り、シロップをかけて食べたりもした。

話の長い、うさみさんちのおばさんに捕まったときは、足踏みしながら
「おばさん、氷、氷!」
と催促すると、
「あれまあ、危なっかしいねぇ、あたしが持ってやるよ、ほら」
そう言って、割烹着の裾を広げ、有無を言わさずボウルをそこに入れ、
一緒に歩いて帰るのだけれど、そう言いながらもおばさんはゆっくり歩く。
炎天下でボウルの中のかき氷がどんどん水になっていくんじゃないかと気が気でなかった。

脱線した。メロンアイスに戻ろう。
メロンアイスは、頻繁に買うアイスの筆頭だった。
今のように、いろんな種類のアイスはなかったから、大人も子供もいつも似たようなものばかり食べていた。
お菓子だってそうだ。チョコレートといえば板チョコか、チューブに入ったチョコレート、アポロチョコ、ベビーチョコ。
ポテトチップなんてあったのかなあ。カールはあったような気がする。
クッピーラムネが15円で、メロンアイスは30円だったと思う。

メロンアイスの容器は捨てられずにとっておくのだが、あまりにも数が増えすぎて、途方に暮れた。

味は、あの頃と同じ。
そして容器はもちろん捨てずに洗って、何かを入れるのに使うつもり。
半世紀あまりの歳月を経て、海を越えたハワイで子供の頃の思い出に出会えるとは、懐かしさ倍増である。



自動太極拳

2022-10-28 07:53:52 | 不思議なはなし
廊下を歩きながらバスルームを見たら、帰宅後シャワーを浴びた夫が鏡の前でなにやら妙な動きをしている。
両腕を顔の前で交差させたり、その腕が上のほうにゆっくり上がったかと思うと、今度は開きながら降りてきたり。
腕だけじゃなく、肩も首も上半身も微妙に角度を変えつつ動いていて、まるで太極拳みたいにみえる。

「何やってんの?」

と声を掛けると、夫は動きながら言った。

「わかんない」

「( ゚Д゚)ハァ? どういうこと?」

「僕の意思とは別に勝手に動くんだもの」

「えええー!なにそれ!」

夫の仕事は建設業なので、1日中肉体労働。
家で毎日ストレッチをしていても、身体が凝ることがある。
数日前、シャワーを浴びたあと、ふと鏡の中の自分を見たら、勝手に体が動きを始めたのだという。
「なにこれ、なにこれ、なにこれ」
と戸惑いつつも動きは止まらず、戦うのをやめてその動きに任せてみたら、それは数分で終わり、終わったあとは恐ろしく体がスッキリしていた。
どの動きも今までやったことがないものばかり。

「だからね、身体の声を聞いてるわけなんだよ」

「ふーーん」


夫はスピリチュアルな知識は全然知らないし、それほど興味もないのに、私から見れば、どこか イっちゃってる 突き抜けているようなところがある不思議ちゃん。
心が薄汚れている私には蚊しか見えないが、庭で妖精を見てしまうのも夫で、
バリ島で出会った友人が宇宙人だった(のではないか)というのも夫で、
メネフネ(たぶん)に家事を助けてもらう(一人でいたときに乾燥機にいれたものが勝手に外に出してあったとか)のも夫で、
「日本に行け」と毎日ささやきかけてくる心の声に負けて、仕事も住まいも車もすべてを投げ出して日本に行って人生変えたのも、夫。
だから、勝手に体が動くなんてことがあっても、まあそれほど驚きはしない。

自動書記、というのがあるけど、これは自動太極拳か。

「あー、すっきりした!なんなんだろ、これ」

さあね、なんだろうねえ。