太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

怒涛の運転免許 ~路上試験7~

2012-02-06 11:24:56 | 車の免許話
怒涛の運転免許 ~仮免編~
怒涛の運転免許 ~路上試験1~
怒涛の運転免許 ~路上試験2~

怒涛の運転免許 ~路上試験3~
怒涛の運転免許 ~路上試験4~
怒涛の運転免許 ~路上試験5~
怒涛の運転免許 ~路上試験6~


3回の路上試験に落ちて、どん底だったのが1月23日。

1週間後の月曜は夫の父に用事があったので、さらに1週間後の今日、試験を受けた。

試験を受けるには、NETで予約する方法と、ウォークインといって、受けたい日にオフィスに直接行って、空いている枠に入れてもらうという二つの方法がある。

NETで予約すると2ヶ月先まで一杯なので、待つのが嫌な人はウォークインにする。そうすれば、NETだと一杯のはずの枠が、けっこう空いていて、大抵当日に受けられる。


もう4ヶ月以上もすったもんだしていて、またここで2ヶ月待つのは嫌だと思い、今朝6時半にオフィスに行った。

2回目の試験の時には7時に行ってビリだったので30分早く行ってみたのだけど、既に10人以上待っていて、6時半でもビリだった・・・




7時45分に係員が出てきて、今日が初めての人はいるかと聞くと、13人中、5人ほどが手を挙げた。

一人の派手なタトゥ女性が、「私の車は買ったばかりで、登録証明書のコピーしかないんだけど」と言うと、

「どの書類も、コピーは一切認めません」と鬼の係員。

「でも今月買ったばかりの新しい車なんだからしかたないじゃない!」

「新しくても古くても関係ありません。本物の書類しか認めないことになってるから」

タトゥ女性は、奇声を発し、暗いうちから並んだのに!と文句を言い、柱を蹴ってノシノシと帰って行った。


それを見た2人の人が、うなだれてそっと列を離れた。

ふ・・・ッ  素人めが。

夫の父の、任意保険の期限切れに当日気づいたとか、予約時間に夫の父が消えてしまい、頼みの綱のトム(父の隠居友人)も電話に出なくて、一人で困ったとか、

私も素人の頃はいろいろあったことよなぁ、と昔を振り返った。

こんなことで玄人になんかなりたくはないけども、3回も同じことをやっていたら、嫌でも慣れてしまう。



オフィスに入る前に3人が脱落し、受付をするところで更に一人が書類不足で脱落。

私の番になり、私は日本の車の免許と、パスポートを出した。こうすれば、いざ試験の時に同伴者が消えてしまっても車さえあれば大丈夫なのだ(学習した結果)



空いている時間を尋ねると、

「今、待っている時間があるなら待っててくれたら、順番で試験受けられるけど?」

要するに、今朝はほとんど予約が入ってない、ということなのだ。

試験時間の予約だけするつもりで来たから、靴じゃなくてビーチサンダルだけど、まわりを見ると全員ビーチサンダル着用なので、そのまま待つことにした。


受付まで一緒に待っていてくれた夫が、「GOOD LUCK」と言って仕事に出かけた。

そこへ夫の父が、ジーンズにサングラス、アタッシュケースといういでたちで登場。

「ハロー、ハロー。今日は試験日和だねぇー」

アタッシュケースを広げて、書類仕事を始めた夫の父の隣りで、今日はどの試験官かなーとか、どのコースかなーとか考えていた。

どの試験官も一癖あるし、もう誰でもいいや、と思っていると名前を呼ばれた。

2回目の時に試験管だった、唯一白人のハスキーオババだ。



2回目の時と同じコースだった。

ハワイでは、赤信号でも右折ができる。その際に曲がる円の直径が広すぎてチェックされた箇所を、小さく曲がる。

首をまわして安全確認しすぎる、と言われたから、最小限にする。

信号のない交差点を左折する時、交差点の真ん中でスピードが落ちてチェックされたので、勢い良く曲がった。

制限速度を1マイルほどオーバーしたと減点されたから、細心の注意を払う。

「このライトが点滅中は25マイル制限」というランプが点滅したので、35マイルから25マイルに減速。

縦列駐車は完璧だった。


でも、隣りでハスキーオババが、書類にしきりに何か書き込んでいる。

経験上、これは減点箇所を書き留めているのだ。ああ、今回もやっぱりダメなんだと確信した。

ハイウェイに合流する時に、もたついたのがダメだったのか、交差点でスピード落ちたのか・・・・・・

夫も朝早くから一緒に並んでくれたのに、また来なくちゃならないなんて悪いなぁ。運転教育、また受けないとならないかもなぁ。




「シロ、合格よ」


私は聞き間違いかと思った。3回目の試験で、左折、と言ったのを右折と聞き間違えた私の耳だ。

「エッ?」

「シロ、合格よ」 ハスキーオババは同じことを繰り返した。

「私、合格したってこと?」(くどい)

「そ、合格。オフィスの中で待ってて」

「あ、ありがとうございましたぁ!」


その場で写真を撮り、10年有効のライセンスが出来上がった。

毎回、免許写真撮るかもしれないと思ってお化粧して、顔が明るく見えるからと白い服を着てきたのに、今日はスッピンで、しかも紫のTシャツ。

「笑って笑って、もーっと笑って」

仮免の時はそう言われて歯を出して笑ったが、今日は言われる前から嬉しさのあまりに激しい笑顔。

なんか、すごい写真。

窓口の、「彼女は人生で笑ったことがないんだろうな」と思っていた女性が、私の免許を見てニッコリ笑った。

よほど嬉しそうに見えたに違いない。「よかったわね」と言った。



怒涛の運転免許話。

延々と続いた挙句、免許なんかいらない、という負け惜しみの終わり方をするのではないかと真剣に心配したけれど、ようやくこれにて最終回。

こうなると、鼻毛リックも、消えた夫の父も、電話に出なかった隠居爺トムも、ほんわかした思い出になるから不思議なものだ。








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怒涛の運転免許話 ~路上試験6~

2012-01-23 14:27:05 | 車の免許話
怒涛の運転免許 ~仮免編~
怒涛の運転免許 ~路上試験1~
怒涛の運転免許 ~路上試験2~

怒涛の運転免許 ~路上試験3~
怒涛の運転免許 ~路上試験4~
怒涛の運転免許 ~路上試験5~


たしか路上試験5を書いたのは11月だった。

早朝並んで、順番を取るのは1度体験してコリゴリだったから、NETで予約したら1月23日が一番早い試験枠だった。


3度目の正直

3回目はうまくいく


って誰が言った?  何を根拠にそう言った?出て来ーーーーいッッ!









そう、今回も私は見事に落ちた・・・・・つーことです。






3度目の正直のいわれを調べたけど、よくわからなかった(怒りの矛先を間違えてる)

ただ、3という数字は、そのままの意味よりも、「多い」という意味のほうが強いような。よけいダメじゃん・・

三人寄れば文殊の知恵、とか、石の上にも3年、とか、3年目の浮気とか(それは違うか)









今、試験場から戻ってきたばかりで、一緒に行った夫の父に慰められ、夫に電話して慰められ、それでもシュンシュンと頭のてっぺんから怒りとも悲しみともつかぬものが噴出している。

今回は男性の試験官だった。

過去、通ったことのない道順で、制限速度が15マイルの箇所と、20マイルの箇所が交互に、それこそ10mおきぐらいにある意地悪な道を、

15マイルのところは1マイルほどオーバーし、20マイルのところでは遅すぎて減点。

「デジタルの速度計もないのに、なんで1マイルオーバーしたかわかるわけ?えええ?」

とは心の中でしか言えない。

さすが、オアフ島内で一番厳しいといわれるだけの試験会場なのだ。

15マイルという速度は、車が走り始めるぐらいのかなり遅い速度で、それを下りの坂道でキープするのはけっこう大変だ。




そして何より悔やまれるのは、速度維持に気をとられ、試験管が「右に」と言ったのを聞き間違え、左に曲がってしまったことか。




あぁ、なんかもう、思い出すのもイヤーな話。

なにやってンのかなあ、私。

そんなアホなことで、ただでさえ1マイルオーバーで5点、10点と失っていった点が、一気にかさんで、ゲームオーバー。


「また1週間後に来てね」

1週間後というのは、非常に軽微なミスの場合だとリックが言ったけど、この際軽微でも重度でも、落ちることに変わりはないのだから、どうだっていいのだ。


免許なんかなくてもいいってブチ切れたこともあったけど、

やっぱり車が運転できたほうが楽しいにきまってる。悔しいけど。車の運転は嫌いじゃないし。



1週間後の来週の月曜、早朝に並ぶ、かなあ・・・・

そうしないと、また2ヶ月先のアポイントメントになる。

それとも、また運転教育受けたほうがいいのか(リックじゃない人にな)

こうなってみると、日本の教習所というシステムが懐かしい限りだ。




このカテゴリー『運転免許話』、もういい加減早く終わらせたい。

ていうか、今回「免許とれちゃったよーん」という最終話にするつもりだったのに。

こうみえて実はけっこう落ち込んでいる。









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怒涛の運転免許 ~路上試験5~

2011-11-13 16:51:30 | 車の免許話
怒涛の運転免許 ~仮免編~
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怒涛の運転免許 ~路上試験3~
怒涛の運転免許 ~路上試験4~



約束の時間にリックは、Tシャツ+短パン+ビーチサンダルというハワイのお決まりのいでたちで、白いピックアップトラックから颯爽と現れた。

おなかが出っ張ったイイ体格で、金のネックレス、指輪、真っ黒いサングラスの、六十代後半のロコボーイ。



「ハウゼッッ、ブラッ」

満面の笑みで夫に握手を求めたリックは、外見から想像はできたけど、思いっきり ピジンイングリッシュ だった。

ちなみに、ハウゼ とは、「ハウ アー ユー」みたいなノリで、 

ブラッ とは、ブラザーという意味で、「よお、兄弟」という感じ。


ピジンとは、さまざまな言語の人達が集まっている地域で、自然といろんな言語がミックスしてできた地域語で、

ハワイの場合、ベースは英語だが、発音も言い回しも独特で、ピジンで話されるともう全くわからないこともしばしばある。

生まれも育ちもハワイのロコは、ピジンを話す人が多くて、私は英語とピジンと両方慣れないといけない・・

夫は生まれも育ちもハワイだけれど、両親が本土出身なのと、ずっと私立学校に行っていたために普通の英語を話せる。


「オゥ、シロ!  ナイス チゥー ミーチュー!」

ぐぐっと近づいたリックの顔に、私は釘付けになった。

両方の鼻の穴から、盛大に漫画みたいな鼻毛がワンサカ伸びていた。


鼻毛ってここまで公衆にさらしていいんだろうか?

家族は何も言わないんだろうか?  リックは何か願掛けをして、鼻毛を伸ばしているのか??





さて、鼻毛リックは、まず最初に「エドケーション」から始めるといって、路上試験で何が何点減点になるかとか、コピーしてきた書類で丁寧に説明してくれた。

おおよそはわかるのだが、

夫が横から「質問しているんだよ」と言ってくれないと、質問されているかもわからないこともあった。



「エドケーション」が終わり、車に乗り込んで路上教習が始まる。


走行中、いきなり、

「シロ。ワン、ツー、スリー! ロッケナッッ!」

と言いつつ、指で3つ数え、こぶしをグッと握って見せた。


なっ、何て言ってるのかわかんないんですけどッ!!!


思わず鼻毛リックの顔を見ると、再びこぶしをグッと握って、 「シロ、 ロッケナ!」と繰り返した。

後部座席にいる夫が「止まれという意味だよ」と助け船を出す。


あとでわかったことだが、LOCK IT UP と言っていて、ネイティブは普通それを止まるという意味では使わない。


それはカッコイイ言い方なのだろう。

鼻毛リックは、そんな終始ロックンロールな、矢沢の永ちゃん的なノリだった。

なんでもない道を走っているときも

「シロ、ビューーティフル(走り方が)、ビューーティフル、オッケイ、オッケイ」

車線変更の時には

「シロ!へッチャッ!(ヘッド チェック=首をまわして安全確認)イエーーィ! ビューーーティフル!」

縦列駐車では

「ダウン ダ ミラー、 ウェイト ウェイト アンティル 45ディグリー、なうッッッ ロッケナッ!」



「エドケーション」を含め2時間たっぷりこんな調子だった。



鼻毛リックの奥さんは日本人で(ハワイ生まれ)、二人の子供の写真も見せてくれた。

正月には、奥さんのおじいさんが日本から持ってきた臼と杵で餅つきをすると嬉しそうに話してくれ、わからないことがあったらいつでも電話してねと言って、自分の車に乗り込んだ。

少し進んで止まり、こちらを向いて、指でワンツースリーと数え、こぶしをグッと握って「ロッケナ!」と言って笑って去っていった。



思いもよらないルールなどがわかったし、役に立ったといえばそうなのだが、私はどっぷり疲れてしまった。

なんかもう、それほど焦って免許取らなくてもいいような気さえしてきた。

ということで、3回目の路上試験はいつになるか、まだ定かではない。





怒涛の運転免許 ~路上試験 4~

2011-11-10 15:44:29 | 車の免許話
怒涛の運転免許 ~仮免編~
怒涛の運転免許 ~路上試験1~
怒涛の運転免許 ~路上試験2~

怒涛の運転免許 ~路上試験3~

「残念だったねえ。でもボクの気持ちがわかったでしょ?」

夫がそう言った。そうだった。夫も、日本で車の免許を取る為に試験を受けた時、2回落ちたんだった。




日本でアメリカ人が受ける試験は、仮免はなく、筆記(英語)と、免許センター内のコースを走る路上テストに合格すれば日本人と同じ運転免許が取れる。

1回目に落ちたのは、一旦停止で3秒止まらなかったとかで、2回目の時には、よく理由がわからなかったと言った。

なぜなら、2回目に落ちた時には怒り心頭しており、教官が何を言ったかなど理解しようがなかったからだ。

「フィリピン人のオンナは、S字カーブで2回も脱輪したくせに合格したんだ!僕は完璧だったのに落ちたなんて納得がいかない!」と帰りの車の中で大騒ぎして、そりゃ大変だった。

あの時は、私が忘れてしまった日本独特のルールがあるんだろうと思い、最寄の自動車学校に問い合わせて、コースを1時間走って教えてくれるように頼んだのだった。

私が通訳として後ろに乗るというのが条件で、「もう免許なんかいらない、日本なんか嫌いだー」と愚図る夫をなだめすかして教習を受け、めでたく合格した。



ということは、やっぱアレか?


ハワイには教習所がないと前述したが、時折、車の屋根に「STUDENT DRIVER」と書いたサインを乗せて走っている車を見かける。

個人でそういうビジネスをしている人がいるようだ。家族の誰も、私の何が悪いのかがわからないのだし、

餅は餅屋。

やっぱ、アレしかないか・・・・



夫が電話帳で調べて、家から一番近そうな局番の人に連絡をとってくれた。

その人はリックといい、かれこれ10年もこの仕事をしているらしい。

私が2回試験を落ちたと言うと、受けた場所を聞いて、

「ああ、そこは島内で一番厳しくて有名なんだよねー。みんなバンバン落ちるんだよねー」

なにィっ!!

ホノルルが一番難しいっていうのはガセネタかッ?

私が受けるところは田舎だし、楽勝だと思っていたのは恐ろしい勘違いだったわけか。



それでも、2回とも試験のあとで「来週いらっしゃい」と言われたというのは、ごく軽微なペナルティなのだそうだ。

深刻なペナルティの人は、1ヵ月後にいらっしゃいだの、2週間後に来なさいだのと言われる。


試験の前に書類にサインをするのだが、その書類には試験でどこを重点的にみるかがたくさん書かれているらしい。

「読んでみた?」と聞く夫に、即座に「読むハズがない」と答えた。

だって、ぎっしり細かい字で書かれた英文がこれでもかと並んでいて、それを私がサインするのを待っている教官の前でじっくり読めるかっつーのだ。

日本語で書いてあったって、そのシチュエーションじゃ読みにくいに決まっている。



夫によると、リックはなかなか感じがよくて、信頼できそうだという。

1時間60ドルの教習を予約して、あとはリックに神頼みあるのみなのだ。






怒涛の運転免許 ~路上試験 3~

2011-11-10 10:02:21 | 車の免許話
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怒涛の運転免許 ~路上試験2~


試験時刻3分前に受理された書類を持って、外のベンチに座ろうとしたら、ふと自分の車が目に入った。

あわてて車を停めたせいか、白線の上を踏んでいる。

車に乗り込む際に、これをチェックされやしないかと不安になり、時間が気にはなるものの、この1点のために今回も落ちたらかなわんと思い、走って車に行き、駐車し直し、また走って戻る途中で、試験官らしき人が歩いて来た。

「ああ、ここにいたのね、探していたのよ」

白人の、細身で穏やかそうな女性が、少しハスキーな声でそう言った。



車に乗り、慎重に走り出す。

先週とは違うルートだったが、指摘されたところは注意深くこなした。縦列駐車も完璧で、前回忘れたハンドブレーキもかけ、タイヤも縁石に向かって切って停めた。

ルートのほとんどは、信号のない住宅地の中の道路で、減点される場所などないように思えた。

試験が終わり、言われた場所にうまく車を停めることもできた。今日こそ免許をもらって帰ろう。

ところが、ハスキー氏は残念そうに言った。

「うーん・・ペナルティが多すぎるの。」

はぁ??? 今なんておっしゃいました?


ポカーンとした私に、ハスキー氏は絵を描いて、丁寧に何が悪かったかを説明してくれた。

前回、右折の際にハンドルを切りすぎて、後ろのタイヤが路上の斜め線を踏んだと指摘されたのと同じ交差点が、今回は弧が大きすぎて、反対車線に 入りそうにみえた 、という。

入ってないんですよね?入りそうに見えただけ、だよね?ええ? と言えるはずもなく。

注意不足と言われたから、しっかり注意したのに、今度は 注意深く見すぎて 危険。


「また1週間後に来てね。何か質問はある?」

質問だらけだ。なぜ何十年も日本で無事故運転してきた私がダメなのか、なぜトムが電話に出ないのか、なぜ私は危険を犯して一人で運転して家まで行く羽目になったのか、なぜまた来週の早朝に並ばなくてはならないのか・・・

たかが運転免許で、人格まで全否定されたような気分だった。

こんなときは、状況の中にあるラッキーを探すに限る。

先週のフィリピン系のおばちゃんは、こんな丁寧に説明してくれなかったからラッキーか・・・・

ああよかった、ラッキーじゃん私・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・って全然ラッキーじゃなーーーーーいッ!



夫の父が、試験が終わったら必ず電話してと言っていたので電話した。

「ハーイ!ハウ アー ユー?」

夫の父のやけに明るい声が、私のすさんだ心を逆撫で、私の中の「ブラック」な私が這い出てくる。

「元気なんかじゃない。また落ちた!トムは電話に出なかった!私は法を犯して一人で家に戻ってパスポート取りに行ったッ!」

箇条書きのようにまくしたてた。夫の父に罪はない。ただ私は誰かを責めて、感情のバランスを取りたかった。

「オゥ ノー。それは残念だったなぁ・・・・・」



しばらくして、母を乗せた父の車が駐車場に入ってきた。

「同伴者が免許を提示することになってたんだよ。だから誰か呼んでいいか聞いたら、違法だって言われたんだよ」

私はまだ言い足りなくて、再び文句を言った。すると夫の父は笑って

「あっはー、ダメだよーぅ。そんなこと聞いちゃぁー(欽ちゃんみたいな言い方だった)」

ぷっちーーーーーーーん なんか頭の中で切れた。

「もうやめたッ!!免許なんかいらない!一生誰かに乗せてもらって暮らすんだ。死ぬまでバスに乗ってやる!」



隣りで見ていた夫の母が、「まぁまぁとにかく家に帰りましょ」

ぶちきれた私と、それを見て怯む父の背中を押した。



その夜、食事をしているときに、夫の父が自分が免許を取った時の、世にも恐ろしい話をした。

故郷のインディアナ州にいたときに免許を取ったが、結婚とほぼ同時にハワイに移住してきて、忙しさにかまけて更新するのを忘れてしまい、結局ハワイで取り直すことになったという。

「最初の路上試験の時に、路上に出る前の車のチェックで後方のウィンカーが片方つかなくて試験を受けられなかったんだよ。でも家に戻ったら、ちゃんとついたんだよね」

「次の時は、路上試験の前に試験官が、今日はどうやってここまで来たかと聞くから、運転してきたと言ったら、一人で運転しちゃいけないからダメだろう。とまた試験を受けられなかったわけさ」

そんなこんなの、あいた口がふさがらない話が続き、結果、

「5回目でやっと免許がもらえたんだよ。まだ2回目なんだから落ち込まなくてもいいよ」


・・・・・おとーさん、5回って多すぎだろう・・・・・・・・・・・・・・

言っちゃいけないことを言ってるのは自分も同じじゃないか。



私を慰めようとしてくれたのだと思うが、私は余計に気分が滅入ってしまった。