太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

米は太るという神話

2018-03-30 19:58:16 | 日記
先に断っておくが、私は日本人の中に入ればけして痩せているわけではない。

しかし、マンモス級に太った人がたくさんいるハワイでは、私は痩せている部類に入る。



今の仕事を始めたばかりの頃、私がランチにいつもご飯を持ってゆくのを見て、同僚たちが言った。

「なんでライスを食べているのに太らないの?」

そしてそのあとで必ず言うのだ。

「ライスは好きだけど、ライスを食べるとすぐに太るのよねえ」

人種によって、メタボリズムが違うのではないかとか、

生まれた時から米を食べてきたからではないかとか、いろいろに答えていたけれど、

最近は、いや、実はそんなことではないんじゃないかと思っている。



2種類か3種類のオカズを選べるプレートランチ。

店の人がオカズを盛る前に、ライスを先に入れてくれるのだが、その量が半端ない。

アイスクリームをすくうための丸いスプーンをさらに大きくしたような、まるでお玉的なもので

どかん、どかん、どかんと3回ライスをすくって盛る。

1個分だって私は食べきれないそれを、ハワイの人達はぺロリとたいらげる。


チャーハンを頼むと、パーティサイズ?と聞きたくなるぐらい盛られてくる。

それも彼らは食べてしまう。



そして私は結論に至った。

米が太るのではない、ただの食べすぎだ。


しかし彼らはそれに気づかず、米は太ると思い込んでおり、

米の代わりにパスタやパンやピザをがっつり食べる。

それで痩せない、痩せないと言っている。

痩せるわけがないのである。




日本に行った時、行きかう人たちがみんな細いのを見て感動するぐらい、ハワイの人は太くて日本人は細い。

日本人の腸とアメリカ人の腸は長さが違うとか言われるけれど、

腸以前に、食べる量が違うだけだと私は思う。

私がランチに持ってゆくご飯は、しゃもじですくった、その半分ぐらい。

職場にみえる日本のお客様たちの、ほっそりしたスタイルを見て、

この人たちも毎日ご飯を食べているのだろうけど、それほど量を食べていないんだろうなと思う。




「太るからライスは食べないようにしてるの」

今日、アメリカ本土から来たという、激しくむっちりと逞しい婦人が言った。

米は太るという神話はけっこう根強い。















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初日

2018-03-27 08:27:21 | 日記
職場で、アーティストとして作品を売る初日。

プレゼンテーションの準備期間は1週間。

テーブルクロスにする布を選び、両側を縫って、作品を置く台になるものを探し、

価格の札やプロフィールを作り、ペイパルに登録し・・・・・・

ペイパルは、クレジットカードを使いたいお客のために登録するのだけれど、

夫と一緒にやり始めたものの、難航し、ヴィッキに電話して聞いたり、いやもう3時間ぐらいかかった。





お昼までに1枚しか売れなくて、このままだったらどうしようと焦ったけれど、

売れなくてもいいや、楽しければ、と言い聞かせ、私は売りながら自分の作品を創った。

結果、135ドルの売り上げがあった。(小さいほうが15ドル、大きいほうが25ドルの設定)

楽しめたけど、背中に緊張がずっと張り付いていた。

次は2週間後。








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同じ船

2018-03-26 18:51:48 | 日記
近所にあるギャラリーで作品のフレームやらマットを頼むので、時々顔を出す。

そこは田舎にしてはなかなかいい作品が揃っている。

ラティーシャというフランス人が、ほぼオーナーのような威厳をもってそこにいる。

何度も会っているうちに気心が知れて、いろいろな話をするようになった。


昨日、仕事の帰りに寄って、マットをオーダーした。

私の携帯電話番号を書きとめるとき、私が「Three(3)」と言うたびに

クスリと笑う。

私の番号には3が4つもあるので、しじゅう笑いどおしで書き終えた。


「なによぅ。私の3の発音でそこまで笑うなんて失礼じゃないよ?」

ラティーシャはさらに笑顔を大きくして、

「違う違う、私も同じだからおかしくなっちゃったのよ」

「3の発音で笑われてるわけ?」

「3だけじゃないけどね」

確かに、ラティーシャの英語はフランス語のような雰囲気がある。

うまく説明できないのだけれど、普通の英語とは違う。

人はそれを「アクセント」と言い、私の英語は日本語のアクセントがあるのだろう。

ただ、それは自分にはわかりにくい。


「顔をつきあわせて話すぶんには何とでもなるけど、電話の会話はダメね。

シンプルなことならいいけど、込み入った内容なんかもう他の誰かに代わってもらうことにしてるわ」


「へえ、ラティーシャも?私もそうだよ。そのうち慣れるよね」


「そうねえー。私はアメリカに住んで28年目だけどね」


「・・・・え・・・28年・・・」


「ホラー!!そんな顔しないの。わたしたち、同じ船の仲間じゃないの」


ラティーシャはそう言って楽しそうに私の肩を抱いた。



そのとき私は思い出した。

友人が勤める会社には、アメリカ人と結婚している日本人同僚がたくさんいるが、

どういうわけか、彼女達の英語が上達するより先に夫のほうが日本語を理解するようになり、

よって彼女達の英語のレベルは一定のところで止まったままだという話を・・・

同僚の一人が電話で、夫が探しているものの場所を説明しているのを聞いていたら、

最初は英語で説明していたが要領を得ず、頭にきた彼女が日本語で

「だからそっちの引き出しの3番目に入ってるんだってば!!」

とまくしたてると、あっさり理解して電話を切ったという。

英語なんか、毎日使っていればそのうちペラペラになるさと舐めていた私は、そうとうショックだった。





母国語以外の国に住む者たちが乗る、その船は、どうやらどこへも行きつかずに

同じ場所をゆったりと旋回しているだけのようである。











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夫にするならナニ人

2018-03-24 21:36:10 | 日記
冷蔵庫に、大量のビーフをマリネしたものが入っていた。

聞けば、夫の職場で、数日後に同僚のベビーシャワーがあって、その日のランチはポットラック(持ち寄り)だという。

注)ベビーシャワーは、妊婦を祝うパーティのこと

それで夫はBBQ風に味付けしたビーフを持ってゆくことにしたらしい。

こういうとき、日本人の夫だと、多くの場合は妻が何かを作ることになる。

前の夫もそうだったし、日本人の夫をもつ友人もそうだ。


夫の父はハイキングクラブに入っていて、毎週どこかにハイキングに行く。

ハイキングのあとは、やはり持ち寄りでランチを食べるそうなのだが、

義父はいつもそれを自分で用意する。

義父が働いていたときも、ランチはいつも自分でサンドウィッチとか果物などを用意していて、

シュートメが義父の世話をしているのを見たことがない。


今回日本に行ったとき、私が着ていたジャケットに小さなほころびがあるのを夫が見つけた。

その夜、夫は自分が持ってきたソーイングセットの中からジャケットに合う色の糸を選び、

頼んでもないのにほころびを縫ってくれた。

私は出先にソーイングセットなど持って行ったことがない。

ボタンがとれたり、ソックスに穴があけば、やはり夫はさっさと自分で縫って直す。

アイロンだって自分でやるし、私が夫の身の回りのことをするということがあまりない。



最初の結婚時代は、毎日の献立に頭を悩ませていたが、今はそれからも解放された。

主菜と副菜と小鉢が必要な日本人に比べて、アメリカ人は主菜があって、付け合せがあればそれでじゅうぶん。

主菜をクリームシチューにしたら、白和えは合わないし・・・といった組み合わせのバランスもいらない。

そして同じメニューが続いてもいっこうに平気なので、今週食べたいものをふたつかみっつ二人で決めて

1度にたくさん作って、翌日のランチと夕飯にすることができる。



私の父は、母が出かけるとなると開口一番、「オレの飯はどうなってる」ときた。

いまだに、着替えも持たずにお風呂に入り、母が用意しなければならない。

友人のジュディスの旦那さんは韓国人だが、男は外で働く、女は家のことをするという意識があって

ジュディスは夫の世話をやかなければならない。

彼女の最初の夫はイギリス人で、「イギリス人はもうちょっと自立してたけどね」と言う。

韓国人や日本人でも、若い世代は違うかもしれないが、妻=母親のような感覚があるように思う。



両親を見て育ち、典型的な日本人の夫を持ったことがある私にしてみれば、アメリカ人の夫はものすごく楽だ。

同じくアメリカ人の夫をもつ日本人の友人は、子供もないし、自分のこと以外にすることがないと言っている。

夕飯はいらないと思って自分だけ食べたあとに、夫がなにも食べずに帰ってきて、夕飯が何もなくても平気で、

適当に果物とかサンドウィッチを自分で作って食べて終わり。

帰りが遅い夫を寝ずに待っているとか、夜更けに夕食を温め直して食べさせるとか、

私はそれは普通のことだと思ってやっていたけれども、

アメリカ人にとっては「WHY?」と疑問に思うのだろう。




個人的な性格は抜きにして、文化や国民性という面だけでいうなら

夫にするならアメリカ人がいいと私は思っている。








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石橋は叩きながら渡れ

2018-03-22 20:15:08 | 日記
私が働く職場では、曜日ごとに違うアーティストが来て、自分の作品を売っている。

月曜日担当のマイクが、私に絵を売るように強く勧めてくれ、どうやって商品にするかも教えてくれたおかげで、

マイクの絵と一緒に私の作品を売ることができるようになったし、

ワイキキのギャラリーに絵を置くようになったのも、マイクのおかげだ。

そのマイクが、昨年夏に心臓の手術をした。

手術前よりは元気になったのだが、77歳という高齢でもあり、週に1日とはいえ

片道1時間かけて車を運転してくるのが、いささかきつくなってきた。

マイクは18年前からここで店を出していて、ここで仕事をするのは好きなので、いきなりリタイアするのは寂しい。

そこで、私と、1ヶ月に4回ある月曜をかわりばんこに店を出さないか、というのである。



数ヶ月前、マイクがちらりと、「いつかこの場所をシロに譲ることになると思う」と言ったことがあり、

月曜日は私の休日でもあるし、売りながら制作もできるし、そういうのもいいかも、と思った。

職場の仕事は好きだけれど、がちがちに働きすぎる自分の性格のせいで精神的に疲れてきて

できればもう1日、平日の休みがあったらいいな、と思っていたところでもあった。

しかし、それはまだしばらく先のことだと思っていた。

とりあえず、宇宙にオーダーだけは出しておこうとオーダーしたのが先月。


マイクが「かわりばんこに」と提案したのが先週。


そしたら、オーナーがあっさり了解して、来週の月曜日から私が店を出すことになってしまった。



宇宙にオーダーしておきながら何だけど、「エーーーーッ!!」である。

まだ先だと思っていたから、プレゼンテーションも心の準備もできていない。

日本に行ったときに、100円ショップで気のきいたプレゼングッズをいくつか買ってきた。

それでもなお、あまりに急でうろたえていて、「ねえ私、できるかなァ?」と人に聞いてまわるありさまだ。



いつも、そうだ。



人生が大きく変わる時、私は1度だって準備を念入りにしたことがない。

大学受験も、離婚も、再婚も、日本を離れて暮らすことも、ハワイでの就職も。

どれもが降って沸いたような思いつきみたいなものだった。

離婚したあとの恋愛に失敗して、日本人はこりごりだから今度はガイジンにしようと思ったものの

英語が話せるわけではなかった。

英語を勉強してから出会いを探すべきだと私の理性は言っていたが、それより先に私は走り出していた。

いつだって、見切り発車。

一応、大騒ぎするのもいつもどおりのお約束。

けれど、振り返ってみて、そういう見切り発車の結果、人生はどんどんよくなっていったように思う。

私のような飽きっぽく、めんどくさがりの小心者は、そうでないと先に行けないのかもしれない。

石橋を叩きすぎて壊してしまう、という私の友人が、なぜ先のことを考えずに橋を渡れるのかと聞いたことがある。

私はおおいに反論した。

私だって先のことは考えている。ただ、橋を渡りながら、だけど。




というわけで、来週月曜からアーティストとして職場に行く。

昨年、半年ほどワイキキの別のギャラリーに作品をおき、店番をしに行っていた時期があったが、

あれは居心地が悪く、全然楽しくなかった。

それに比べたら、家から10分、勝手知ったる場所の、知り合いばかりの中での仕事は気が楽だし、

きっとうまくいく。

と、まだ大騒ぎの途中である私は自分に言い聞かせている。













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