太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

黒指だけど

2023-08-25 08:36:30 | ハワイの自然
植物を上手に育てる人を、グリーンサム(緑の親指)、まるで向いていない人をブラックサム(黒い親指)と言う。
サボテンすら枯らしてしまう私は、堂々の黒指の持ち主だ。

向いていないが、憧れるということはないだろうか。
向いていないからこそなのかもしれないが、私にはそういうことがいくつもある。


たとえば、ピアノ。
3歳から姉と一緒にピアノを習い始めたが、最初の先生が事情で教えられなくなり、別の先生になったら、順番を待っている間に理論の勉強が必須でつまらなかったのと、先生(女性)の化粧品と煙草が混じった息が嫌で、5年生まで嫌々通い、中学受験を理由にやめてしまった。
サラっとピアノを弾く人に、とても憧れる。つべこべ言わずに、先生を変えてでも続けていればよかったと今思う。

たとえば洋裁や編み物。
母は器用な人で、私たちの洋服をたくさん作ってくれた。
型紙どおりに裁断して、ここ縫って、あそこをこうして・・・なんだ簡単、できるできる!
と私は思って布を広げるが、根っから大雑把で気が短い。とにかく早く作ってしまいたくて突貫工事。まともなものができた試しはない。
編み物も、コツコツやるのが苦手で、曖昧なところはそのまますっ飛ばし、夜なべで仕上げようとするから、袖の長さが違うセーターなんかができる。

たとえば泳ぐことや水に潜ること。
これはもう生まれつきとしか言いようがないほど、私は深い水が怖い。
けれど、ダイビングの映像を見ると、いいなあ!と思う。



黒指の私が、玄関前で花を育てている。
玄関前は、植物が植えっぱなしで、ほぼ水遣りしかしなかった。気まぐれに買ってくる鉢植えも、いつのまにか花が咲かなくなり、葉が落ちて土だけになってしまう。
ふと、花に手をかけてみよう、という気になったのはナゼなのか。
アンスリュームやゼラニューム、名前のわからないピンクの花たち、黄色いランタナなどを買い込んだ。
花がらを摘み、伸びた茎は切り戻して、時々は肥料をおき、毎日声をかけた。

非常にささやかな、黒指のガーデニングもどき。

今年もブルージンジャーが元気。

夏の間中、葉ばかりが茂り花を咲かせなかったプルメリアが、ようやく開花。


庭に3本のパパイヤの樹があって、そのうちの1本がとっても美味しい実をつけるので、種を蒔いたらいくつも芽が出てきた。
そのうち元気なのを4本、小さいポットに植え替えた。

こんな程度でも、手をかけると成果が出る。
成果が出ると、おもしろくなる。
強風大雨がきたときは、花が散らないように屋根の下に移動させたり、以前の私からは想像もつかない。

庭先で植え替えをしていたら、シュートメが
「ガーデニングに目覚めたのね!」
と声をかけてきた。
「いや、それでも結局黒指だからね」
「ふふふ、ジョイスみたいなこと言ってる」
ジョイスは夫の叔母で、正真正銘の黒指なのだ。
緑指とまではいかなくとも、せめてグレーぐらいにはなれたらいいなと思う。





寒くない雨

2023-07-03 07:16:30 | ハワイの自然
ある晴れた気持ちの良い日。
職場で休憩していたら、いきなりすごい雨が降って来た。


バケツをひっくり返したような、土砂降りだ。


さっきまでの青空が嘘のよう。ハワイ生まれの夫は、雨が来るのが匂いでわかる。
夫が「Comes rain」と言うと、数分以内には雨が降る。
私は、山の稜線にかかる霧の具合でようやく雨を知る。
雨雲が雨を従えて水平線を移動していくのを初めて見たときは、「アニメみたいだ!」と感動したものだ。

きっちり2分、降るだけ降ったらスイッチを切り替えたようにピタっと止んで、再び青空が広がって、爽やかな風が湿気を運んでいった。
ホノルルに住む人は、山の向こう(つまりうちの村)は雨が多くて気が滅入るという。
日本の雨のようにじめじめしたり、何日も降り続いたり、手がかじかむほど寒かったりすることがないハワイの雨で、私が気が滅入ることはない。
雨上がりの、水分がたっぷりしみた植物や土の香りは、私が1番好きな匂いだ。

観光客がその雨を見て、すごい雨だと眉をひそめる。

「It'll  pass(すぐ止みますよ)」

そう言っている間に、雨がやむ。

「ああ、ほんとだ!緑の色がいっそう濃くなって、なんて美しいの!!」

連れの人が、

「こっちに来るなら、良い靴を履いていっちゃだめだよと言われたけど、理由がわかったわ」

ハワイの正装はビーチサンダル。
寒くない雨は、ビーチサンダルが濡れても大丈夫。海で洗えば泥も落ちる。
雨が多い村に住んでいて、感謝。



カイルアビーチの朝日

2023-03-18 18:13:50 | ハワイの自然
仕事がある日の朝は、4時45分に起きる。
休日の朝も、5時半には起きている。
休みだというだけで開放感がみなぎり、たっぷりその日を楽しみたくて、寝ていられないのだ。
休日はお昼近くまで寝ている、という人もいるが、なんともったいない!と思ってしまう。

その日は5時ごろに起きて、まずは猫たちに朝ごはん。
そして窓から煌々と輝く月を眺めながらコーヒーを淹れた。
夫が降りてきて、夫はアイスコーヒー、私はあついコーヒーを飲む。外はまだ暗いが、東の空がうっすらピンクになりかけてきて、庭の樹で寝ている鳥たちが起きだしてくる。

仕事の日は二人とも同じ朝食をとるけれど、休日はそれぞれの好きにする。
起きたら何か食べたい私は、エゼキエルブレッドをチーズトーストにしたのとヨーグルトを食べたりし、夫は9時過ぎに、卵を料理して食べたりしている。

晴れそうなので、朝日を見ながら泳ぐことにした。

ビーチについたら、まさに太陽が出てくるところ!間に合った!






秒単位で色が変わってゆくから、瞬きするのも惜しい。

海水に浸かって空を眺める。
オレンジ色が薄くなり、下地の青が少しずつ鮮やかになってゆく。
空の高い所でがんばっていた月が、ゆっくりと山の稜線に向かって降りてゆく。
海底に足をしっかりつけて立っていると、引く波が足の下の砂をさらっていき、寄せる波が新たな砂を足の上にそっと残してゆく。
小さな魚が、束になってすいすいと泳いでいる。
10mほど先に、ウミガメがひょっこりと海面から頭を出すのが見える。

「地球、ありがとーーーーーーー!!!!!!」

まわりにそれほど人もいないので、大声で言ってみる。(怪)
この肉体は、いいこともそうじゃないことも、ただ体験するための借り着であり、ほんとうの私は自然の一部だということを思い出す、貴重な時間。




強風注意報

2023-03-06 07:27:47 | ハワイの自然
しばらく強風注意報が出ていたハワイだが、風はいくらかおさまったものの、晴れたかと思えば横殴りの雨、かと思えば青空、という天気が続いている。

先週から、シアトルから義兄夫婦が来ている。
この兄弟、180度性格が違うのでおもしろい。
義兄は、とにかく予定をぎっちり詰めて200%動き回りたい人。
たとえば午後にハワイに降り立ったあと、夕食までにビーチに泳ぎに行き、義父の自転車でツーリングする。
翌朝早く起きて、コーヒーを買いがてらハイキングに行き、そのあとビーチで泳いで、友達に会い、夕食は家族が外食して、夜は映画をみにいく、といった具合。
みているこちらが疲れてくる。
彼らは旅行先だからそうなのではなくて、地元のシアトルでも同じペース。
義兄のヨメも同じペースなのでうまくできている。


さて、この日、義兄たちがマウイ島に行って留守の間に、夫とビーチに出かけた。
泳ぎたいところだけれど、風が強い日にはマナウォー(毒クラゲ)がたくさん発生するので、波打ち際を歩くだけにする。
マナウォー
身体に風船のようなものがあり、毒がある長い紐がついている。
水面を漂っていて、この紐に触れると赤く腫れて痛くなる。
こんなふうに波打ち際にたくさん打ち上げられていて、足元を見て歩かないとうっかり紐部分を踏んでしまい、痛い目にあう。
以前、気泡の部分を踏んでしまったことがあった。「パチン」という音がした・・・

日焼け予防に買った帽子
折りたためて便利だけど、ツバが大きすぎて風にあおられてしまい、紐をつけようと思う。

雨の晴れ間。



「すごいでかいマナウォーがいた!」と夫。
このマナウォー、ポルトガルには車ぐらいの大きさのがいて、それに刺されると、確実に死ぬらしい。ほんとか?そんなのがハワイにいなくてよかった。

のんびり歩く。こういうゆったりしたのが、私はいい。
ビーチに行ったら、ハイキングは別の日に行く。
お、虹。

打ち上げられていたココナツを器にして、歩きながらゴミを拾う。

魚や亀が間違って食べないように。
ビーチに行くときはいつもゴミを拾う。私が拾うゴミの量など知れているけど。

マウイ島に行っている義兄たちは、ハレアカラにいる。
気温0度、横殴りの雨と風。
「楽しいよぅーーー!!」
どんなことも楽しい義兄が、ちょっとうらやましい気もする。



ガーデニングには程遠いが

2023-03-01 07:55:48 | ハワイの自然
庭のことは、毎週来るガーデナーと義両親に任せきり。
田舎の利点で庭が広い。
その上、建物の周囲にも隈なく植物が植えられており、やり始めたらキリがなくなりそうだ。
とっくにリタイアしている義両親は、ほぼ毎日庭に出て何かしらをやっている。
私と夫は、それを横目に仕事に出かけてゆく。
私も夫も週に三日も休みがあるのだから、時間がないわけじゃないのだが、庭は彼らの領分という気持ち半分、甘え半分。
いつかは私たちが引き継ぐ覚悟だけがある。

最近、ふとしたきっかけがあり、せめて我が家の周囲だけでも気を配ってみることにした。
普段は通り過ぎるだけの植え込みを、改めて確認。

左右にあるパームツリーが伸び放題。
家を建てた時には1mもなかったのが、今は植木鉢を破って地面に根付いている・・・もっと早くに植木鉢から出してあげればよかった。
冬前に刈り取ったブルージンジャーが伸びてきて、夏までには花をつけそうだ。
プルメリアの葉、発見!!

冬の間は丸坊主になるプルメリアの、今年初の第一葉。
プルメリアにはかなりの種類があり、葉が全部落ちて花だけつけているもの、花も葉もついているもの、丸坊主になるものもある。
香りがあるのも、ないのもあるし、レイを作るのに向いている花というのもあって、何の花でもレイになるわけじゃない。


建物を回っていったら、めちゃくちゃかわいいコが窓からのぞいていた。(猫バカ)
生い茂るモンステラ。モンキーポッドの幹を上に這うのはバニラだ。

モンキーポッドから透けて見える空が大好き。この樹のおかげで我が家は夏でも涼しい。

雨ばかりで、芝生がヘロヘロになっている。
クロトン
義父の父親がハワイに来た時に植えたクロトン。
私の背を軽く超えて、元気に育っている。この葉の模様はほんとに素敵だ。

枯れた草や折れたものを取り除き、落ち葉を掃いただけで初日は終了。
今度の休みに、何か新しい花を買ってきて表に植えようと思う。
ガーデニングにはまったくもって程遠いが、できることから始めよう。