Viedel/KukiHairDesign/ヴィーデル/クキヘアデザイン 四条烏丸 美容室

ヴィーデルは四条烏丸の美容室です。フランス仕込みの技術 ナチュラルで優しく ふんわりとしたヘアスタイル

フェア・ゲーム

2011-11-14 07:25:30 | 映画
03年3月に開始されたイラク戦争のきっかけとなった大量破壊兵器の存在。米外交官はその存在そのものを否定するレポートを発表したが、米政府はそれを無視。
さらに報復なのか、フセインと戦争をしたいアメリカにとって都合が悪いからなのか、外交官の妻が現役のCIAのエージェントであることマスコミに暴露する。
イラク戦争開戦をめぐり実際に起こった「プレイム事件」を完全映画化した実録もの。
実話だけに、ハラハラどきどきは少ない。
そりゃそうでしょ、実際はそんなことありえないからね。
フィクションよりも理不尽で奇なる事実に満ちた“スパイ抹殺事件”の映画化であっても、退屈な展開かもしれませんよ。
でも、今流行の池上さん並みに面白いと思います。
スパイ映画には謀略や裏切りが付きものだ。
ジェームズ・ボンドやミッションインポッシブルのイーサン・ハントはたびたびその危険に脅かされるが、捨て身の反撃で黒幕を打ち倒す。
しかし、これはあくまで荒唐無稽なフィクションでの約束事。
現実世界のスパイは生身の人間であり、国家がその気になれば彼らを“葬る”のは赤子の手を捻るより簡単なんだろう。
主人公は、イラクの大量破壊兵器の有無を探っていたスパイ=CIA諜報員だ。
彼女は「大量破壊兵器は存在しない」との結論に至るが、夫とともにスケープゴートにされ、国家の敵に仕立てられてしまう。
スパイひとりを抹殺するのに、殺し屋や秘密兵器を駆り出す必要はない。
「諜報員である」との一文が新聞紙上にのった瞬間、スパイの秘密の二重生活は崩壊し、無力な晒し者となる。
しかも、これは実話の映画化だ。
イラク戦争の舞台裏を駆け足でえぐり出すこの映画は、スパイ映画の“お約束”よりもはるかに理不尽で納得の出来ない事実を観る者に印象付ける。
また劇中には、主人公が知人から「人を殺したことあるの?」と問われて返事に窮すシーンや、新人時代に恐ろしい疑似拷問の研修を受けた過去を夫に告白するといった際どいシーンがある。
さすがは苦境に立たされた傷だらけの女性を演じさせたら天下一品のナオミ・ワッツだ。
実在のヒロインの苦悩と勇気、夫婦愛を体現した彼女は、実にスリリングな迫真の演技で現実世界のスパイの“闇”をみせてくれる。
でも僕は、最後の最後まで実話とは知らずに見ていた。
正直、たいくつだな~と思ってみていた映画がエンドロールで一気に沸騰してしまった。