Viedel/KukiHairDesign/ヴィーデル/クキヘアデザイン 四条烏丸 美容室

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世界に一つのプレイブック

2013-03-04 05:26:37 | 映画
黒いゴミ袋を、主人公はポンチョのようにかぶる。
袋の底と両脇に穴を開け、頭からすっぽりとかぶる。
家の近所を走りまわるとき、彼はかならずこの恰好をしている。
その恰好がなぜかよく似合う。
減量のためなどない。
汗取りだけなら、ほかに手がある。
8カ月入っていた精神病院からたったいま出てきた。
妻の浮気現場を目撃し、大暴れして入院させられた。
妻に対する未練は深い。
躁鬱の波も大きい。
そんな彼が出会う。
妻の友人の妹だ。
こちらもちょっと危ない。
夫が事故死したショックの反動で、会社の同僚11人と寝てしまった過去がある。
妻宛ての手紙を託す。
するという。
ね、ダンス・コンテストの相棒になってくれない?
ああ、その手の話か、と思わせつつ、「世界にひとつのプレイブック」は通常のロマンティック・コメディの関節を外していく。
もちろん、定石は押えている。
ふたりの男女の突飛な性格と強力な化学反応。
彼らを支えるカラフルな脇役とストーリー展開。
監督に手ぬかりはない。
ユニークなのは、主人公を躁鬱病に設定したこと。
これはリスクが大きい。
「一期は夢よ、ただ狂え」の大混乱が生じた場合、収拾がつかなくなるから。
カオスの取り扱いに長けている。
この映画も嵐のなかに飛び込む。
ヒステリアは暴発寸前にまで沸騰する。
が、踏みとどまる。
尻餅をつかず、希望を絶やさず、崖っぷちできわどいステップを踏んでみせる。
痛くておかしいコメディは、十八番になりつつある。