イーストウッドの底力。ファンシーで派手な装飾を好まない。
サクセスに焦がれるアメリカン・ドリームにも興味を持たない。
決して恵まれて景気が良かった時代では無かった中に生まれて、裏の汚れた仕事やブルーカラーの若者たちが野暮ったく努力し、有名になったあとでも、人生の浮き沈みを味わうという行程を、50年代風に描いている。
派手なアメリカンドリームでもないのであれば、ダーティな斜面やスキャンダラスな部分をことさらに強調しない理由も解る。
「そんなもの、あって当たり前」と。
普通の映画みたいに、いい事ばかりはありゃしない。
好々爺の遊びの達観なのだろう。
巨匠と呼ばれようが、自分の流儀は貫く。
そんなイーストウッドに拍手。