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これで終わり、気持ちを切り替えよう

2018-04-28 08:05:16 | ボクの私生活
ハリルホジッチの事績
(1)戦略・作戦・戦術・個々のプレーを密接に結びつける事例を残した
(2)相手のやり方に対応してプレーする柔軟な戦略・戦術を実践してみせた
(3)フィジカルコンタクトから逃げるな、というメッセージと強化の実践
(4)満足なスケジュールが取れない代表強化における合理的なプロジェクト遂行

 これらは、日本代表・日本サッカーが、その発展過程において追求してきた数々の課題と、正面から向き合ったものであり、具体的な方法、引出を示した。
 (1)「戦略・作戦・戦術・個々のプレーを密接に結びつける」は、組織と個、戦術と個を高いレベルで結びつけようという試みでした。
従来、日本サッカーでは「組織」か「個」かといった不毛な二項対立の議論が往々にして起こってきました。
 ハリルホジッチは、そこに試合展開上、至るところで生じるボールの争奪戦、目の前の相手を出し抜くための攻守両面での駆け引き、肉弾戦
すなわち「デュエル」(1対1)の力を高めよというメッセージ、世界サッカーの最前線とも結びついた根拠を持ち込んで議論を明確化する足場を築きました。
 そして、W杯出場を決めたホームでのオーストラリア代表戦をはじめとして、最終予選の強敵相手にモデルケースとなるような試合を演じ、戦術(組織)と個(1対1)が緊密に結びついた具体的な事例を残しました。

ハリルは戦略家
 また、過去の日本代表チームでは、「自分たちのプレースタイルにこだわりすぎ、相手を見て戦えない」「特定のプレーエリアでしか効果的にプレーできない」という弱点がしばしば露呈してきました。
 (2)「相手のやり方に対応してプレーする柔軟な戦略・戦術を実践」の課題もまた、日本サッカーが世界の舞台で勝利を得るために乗り越えなければならないものだったといえます。
 ハリルホジッチは、相手の長所を消し短所を突くだけではなく、相手のやり方を機能不全にさせるプレーエリア、プレーの仕方を選択し、戦略的優位性を得て試合を進める術に長けていた監督でした。
 例えば、W杯最終予選の突破を決めたホームでのオーストラリア代表戦では、敵の攻撃面での手筋を全て読み切り、「この手筋さえ抑えれば、残る全ての手筋を無効化できる」という急所を見つけ出し、公式戦では90分以内に勝利したことのない宿敵に完勝しました。

技術力が高くても…
 (3)「フィジカルコンタクトから逃げるな、というメッセージと強化の実践」は、世界と互角以上に戦う力を得るためにはどうしても通らなければならないプロセスでした。
 「日本人の特徴」「大柄な外国人に対する優位性」として良く例に挙がるのは「巧緻な技術」「敏捷性」ですが、ラグビー日本代表に大躍進をもたらしたエディ・ジョーンズ監督は具体的なデータを挙げて「それを発揮する前にフィジカルコンタクトで後手を踏んで潰されては意味がない」と論じ、身体面で強豪に勝てぬまでも負けない事の重要性を説きました。
 その上で「自分たちの特徴」を活かすべきと訴え、「世界のスポーツ史上最大のアップセット(番狂わせ)」とまで評された南アフリカ代表戦での勝利に日本ラグビーを導きました。
 ハリルホジッチの考えも同様だったと思われます。

 日本人が「技術」「敏捷性」を看板にして回避しようと考えがちな身体同士の衝突である「デュエル」(1対1)の強調と、そこで後手を踏まないための数値的な指標、トレーニングメニューを個々の代表選手に提示し、長期的視点で改善と向上を促そうとしていました。
 世界サッカーの最前線では、「デュエル」の成否が戦略面・戦術面の成否を占う重要な要素として認識されているため、ハリルホジッチのメッセージは日本サッカーが世界にキャッチアップしていく基礎になったかもしれません。
 また、この実践を通じてハリルホジッチは「日本人はフィジカルで劣る」というコンプレックスからの解放をも目指していました。
そのことにより、世界でまみえる強豪にひるまないメンタリティの獲得を意図していたと思われます。

すべてにおいて合理的であった
 最後に、(4)「満足なスケジュールが取れない代表強化における合理的なプロジェクト遂行」について。ハリルホジッチの仕事は、プロジェクト遂行のやり方としては極めて論理的でした。
 プロサッカーの世界では、国内外のリーグ戦や各種大会によって年間のほとんどの日程が埋められています。
そのため、代表チームでは年間30~50日前後しか活動期間を取ることができません。
 チーム全員が毎日練習を共にできるクラブチームで行うような、緻密なサッカーを即時実現することは不可能です。
 それを前提とし、同時に最終的なアウトプットまで日時があることからレギュラー選手を固定せず、「W杯に臨む最終選考時点」でのプレーレベルやコンディションを重視して様々な選手を試し、個々の能力についての情報を収集しながらチーム作りを進めていました。
 そのため、一試合単位で見ると選手達は明らかに迷っていることもあり、それが「低調な試合内容」につながることもありました。
しかし、大枠となるチームコンセプトはトレーニング指標と共に明確に示していたので、大筋としては「このチームでは何が必要か」を、選手達は意識できる状態でいたと思われます。

 かといって途中経過のアウトプットをないがしろにしていたわけではありません。
業務上、当然示されるべきマイルストーンは、定期的に見事なものをプレゼンテーションしていました。
 最終予選のアウェイUAE代表戦、ホームサウジアラビア代表戦、アウェイ・ホームのオーストラリア代表戦など、予選突破の直接のライバルとなる相手との試合では周到な準備と整備された戦術で臨み、「W杯での完成形」を占うに十分な内容・結果を演じていました。
 興行としてはエンターテインメント性に欠けたとしても、最終的にW杯本戦で勝つ、というファイナルアウトプットには確実に向かっていました。
ハリルホジッチは、「一体どういう仕事をしていたのか」を論理的に振り返れるプロセスを描けていたと言えます。

日本はどこへ向かうのか…
志半ばでW杯への道を絶たれたハリルホジッチ。彼はいかに戦い、日本サッカーに何を残したのか。
解任に正当性はあったのか。
 これらの事績、実践については、本来であればロシアW杯終了後、ハリルホジッチの退任時にノウハウ移転のためのヒアリングを行ったり、準備段階の資料などを通じて詳細に記録されておくべきメソッドでした。
 残念ながら、ハリルホジッチとこのような別れ方をしてしまったことから、本戦の結果を持って分析・総括・記録する機会は永久に失われてしまいました。
 ハリルホジッチの後を襲った西野体制は「緊急事態」を唱えつつ「オールジャパン」を標榜。
ロシアW杯後も「日本人監督」での継続が技術委員会から提言されるなど、ハリルホジッチが託され解決しようとした課題の克服が為されぬまま、「脱・外国人監督」「日本人に合った日本人らしいサッカー」「日本サッカーの日本化」がはかられつつあるように思えます。
 当然、非難が集中したハリルホジッチのメッセージ、例えば「デュエル」の追求などは「日本人に合わない」ので少なくとも二の次とされていくでしょうし、ハリルの論理的なワーキングプロセスも、まともに顧みられることなく捨てられていくことでしょう。
 志半ばに終わった仕事を顧みることなく、「次、次!」とばかりに貴重な教訓を含んだ経験を捨て去っていく愚は、サッカーの世界のみならず日本社会の至るところで見られます。
が、もちろん進んでそんな愚を繰り返す義理は誰にもありません。

 残されたハリルホジッチの仕事を虚心坦懐に見つめ、有用な知見を抽出していくことが、日本サッカー界には求められるのではないでしょうか




②何を思う

2018-04-28 00:22:16 | ボクの私生活
不思議なお話
明日4月27日、ハリルホジッチが東京で会見を開くという。
とても不思議なことだ。
解任であれ退任であれ、既に職を離れたサッカー指揮官が何かしら わざわざ場を設けて弁明するというのを、過去に見たことがないと思う。
次の就職先が決まっている場合は別だが、人前にはでてこないというのが、少なくとも辞めた監督のスタンダード。
解任されたことについて「ゴミ箱に捨てられたようだ」と言い、事情暴露会見をするなんて 痴話喧嘩の成れの果てのようです。
今回来日時、成田空港での旧知のスポーツ記者たちによる囲み取材も異様。
通訳が泣き出し、つられるようにハリルも涙。
それを隠すようにサングラスをかけ、上を向いた。
その姿が日本人の判官贔屓を刺激したのか同情論まで聞こえてくる始末。
会見には多くの関心が集まるだろう。
日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「選手との信頼関係、コミュニケーションが薄れた」ことを解任の大きな理由にあげた。
選手と監督の軋轢なんてよくあるもので、本当にそれが最大の理由なのか少々疑問ではある。
人間のやることは世界共通で、コミュニケーション不足で監督交代ということは多々ある。
たとえば16/17シーズン、ドルトムントのトーマス・トゥヘルはドイツ杯優勝の直後に解任された。
契約期間を1年間残していたが、クラブは違約金を払ってでも彼を切りたかった。
バイエルンの逆解任劇
盟主バイエルンでもそういうことはある。13年夏、グアルディオラは迎えられた。
だが、バイエルンでは古株のメディカルスタッフが退団するなど内部での確執は早い段階から伝えられていたし、バイエルン生え抜きのミュラーら選手たちからも不満も漏れてきた。
クラブ側は契約延長を申し出たが、ペップがプレミアリーグへのチャレンジを望み3年間で満了した。
これによりペップと対立する人気選手を失わずに済んだという側面が強調された。
3年間の在籍中にリーグ3連覇しても、そんなものである。
ペップに続くアンチェロッティは今季のCL1次リーグ第2戦でパリSGに0-3で敗れた直後に解任された。
これは解任の大義となっただけで、本来アウェイでの敗戦はそこまで大きな問題ではない。
過去にはイタリア代表やユベントス、チェルシー、レアルマドリードなどでスター選手を束ね、戦術のみならず人物に定評のある監督だったが、ヘーネス会長によれば5人の選手と対立していたという。
名将とビッグクラブでさえ、うまくいかないことはある。
ハリルの件は、個人的には日本サッカー協会のくだす決断にもそのプロセスにも大いに非があると思っている。
W杯が終わったら、2度の監督解任劇を含むこの4年間を外部の視点も入れて検証することはマスト。
今、過去の監督の話すことに興味はない。本大会前の大事な時期。
どんな準備をするか、誰が選ばれるのか、どう戦うのか、 たとえ妄想に近くてもそれらを考える方がよっぽど重要で、楽しいはず。