◎緑十字機の「燃料切れ」は破壊工作か
昨日の続きである。郷土史家の岡部英一さんに、『緑十字機の記録』という本があることを知って、まず、国会図書館のデータで調べてみると、どうもこの本は、自費出版らしい。
インターネットで検索してみると、著者のサイトがあり、購入方法についての記載があった。在庫の有無を、まずメールで確認してほしい、とあったので、翌日一五日にメールしたところ、すぐにお返事をいただいた。入金が確認された人から順に発送する、届くまで、一週間ほど、かかるかもしれないとのことであった。在庫があるらしいと知って安心した。
すぐに、銀行から送金。本の到着を待っていたら、一七日、早くも郵便受けに届いていた(レターパック)。
濃い緑色のカバー、表面には、番組でも見た緑十字機の写真、裏面には、白い鳩のマーク。奥付を見ると、初版は、平成二十七年八月十五日発行、届いたのは、同年九月二十日発行の「第二版」であった。
第一章「緑十字機、鮫島海岸に不時着す」、第二章「[検証] 緑十字機、不時着の謎」、第三章「資料(回想録、証言集)」という構成になっている。本文三五七ページ、図版多数、これで二〇〇〇円は安い。
一四日のテレビの番組では、帰路に起きた、「燃料切れ」という考えられないアクシデントについて、日本側のメンバーのうちの誰かが、サボタージュ(破壊工作)をおこなった可能性を匂わせていた。すくなくとも私は、何らかの破壊工作があったのだろうという印象を持った。
この問題について、『緑十字機の記録』の著者・岡部英一さんは、第二章で検証をおこなっている。第二章の最初で、岡部さんは、次のように言っている。
この第二章は、様々な資料や文献に基づいて記述してはいるものの、あくまでも筆者の推測で構成した「仮説」であり、回想録を時系列的につなぎ合わせて書き表した第一章とは大きく異なる。
そう断っておられるが、「仮説」の構成に至る岡部さんの手続きは慎重であり、その「仮説」には、十分な説得力がある。
第二章に限らず、本書は、非常に完成度が高く、出た瞬間、すでにノンフィクションの古典的名著となっているという感想を抱いた。
本書の内容についての紹介、あるいは、本書を読んで初めて知った史実の紹介などは、このあと、このブログで、順次おこなってゆきたいと思う。ただし、とりあえず明日は、話題を変える。
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