アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

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 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

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今の「救う会」に果たして人権を語る資格が在るのか?

2009年05月31日 16時03分37秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 高田純という人物がいます。札幌医科大学教授・物理学者で、かつて広島大学原爆放射能医学研究所に在職していた事もありました。核物理学・放射線防護学の専門家で、「核爆発災害 そのとき何が起こるのか」(中公新書)などの著作があります。また、NGO・放射線防護情報センターの代表として、中国・ロプノール核実験場周辺の核被害・核汚染の実態を告発してきました(下記参照)。

・中国の核実験 シルクロードで発生した地表核爆発災害(放射線防護情報センター)
>中国は地下核実験を1990年代に11回を実施した。その1回は、1メガトンと大型だった。特に、一部の浅い地下実験は、地表実験と同様に分類されるべき、危険な実験である。これらが、胎児影響による奇形の発生や、若い世代の白血病発生を引き起こしている可能性がある。現在進行形のこうした健康被害が多数、シルクロードの地にあると考えられる。
 http://www15.ocn.ne.jp/~jungata/NEDonSilkRoadJap1.html

 しかし、その同じ口で、日本の靖国右翼や米国のネオコンを露骨に擁護し、日本の再軍備・核武装を主張しているのですから、開いた口が塞がりません(同上)。

・どうする日本!「核と刀」(放射線防護情報センター)
>現代の黒船は核武装している
核兵器の威力は、携帯型の1キロトン以下から大型のメガトン級まで色々
憲法9条により竹光以下との説もあるわが国の自衛隊
核兵器の拡散により、米国の核の傘の効果は低下している
>核爆発に対しても防護は可能!
諦めるな、知恵を持とう!
広島でも空襲警報後に防空壕退避さえしていれば、
半数近くは生存でたはずである。
 http://www15.ocn.ne.jp/~jungata/DosuruNippon1.html

 「核戦争恐れるに足らず」「爆心地で戦闘を継続せよ」なぞと言っているのですから、お話になりません。万が一核爆発の熱線・爆風をやり過ごせたとしても、放射能でやがて全員死んでしまいます。アトミック・ソルジャーの悲劇も知らないとは、とんだ「核の専門家」です。
 これを荒唐無稽のトンデモ話と、一笑に付す事は簡単です。しかし、では次の例はどうでしょうか。

・[CML 000095] Fw:[調査会NEWS 781](21.5.25)記者会見(河嶋さん情報・核実験・しおかぜ)
 http://list.jca.apc.org/public/cml/2009-May/000092.html
・[CML 000096] Fw:★☆救う会全国協議会ニュース★☆( 2009.05.25 )北朝鮮の核実験に全面制裁の発動を-家族会・救う会声明
 http://list.jca.apc.org/public/cml/2009-May/000093.html
・[CML 000097] Fw:守る会NEWS :北朝鮮核実験は政治犯収容所囚人の犠牲の上に行われている
 http://list.jca.apc.org/public/cml/2009-May/000094.html

 いずれも、RENK・「救う会」・「守る会」などの北朝鮮・拉致問題関連NGOの重複会員である原良一さんのCML投稿です。上記3本の投稿とも、CML運営委員会の判断で非表示扱いとされてしまいましたが、いずれの投稿とも、殆ど当該表題に掲げられた北朝鮮関連NGO団体ニュースからの転載です。転載元ニュースへのリンクも併せて表示しておきます。

・[調査会NEWS 781](21.5.25)記者会見(河嶋さん情報・核実験・しおかぜ)
 http://www.chosa-kai.jp/090525.html
・★☆救う会全国協議会ニュース★☆( 2009.05.25 )北朝鮮の核実験に全面制裁の発動を-家族会・救う会声明
 http://www.sukuukai.jp/mailnews.php?itemid=1901 
・守る会NEWS :北朝鮮核実験は政治犯収容所囚人の犠牲の上に行われている
 http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00102

 原さんが上記3本の投稿をCMLで配信した動機は、以下の通りです。原稿自体は非表示で読めませんが、それに対する別の会員からの返信投稿に、その原文が残っていましたので、そこから引用します。

>北朝鮮の核実験から半日が経っても、こちらでは広島在住の伊達 純氏のコメント一本のみ(呆)。
>CMLに変わっても、護金派どものお花畑に変わりはないようで、当方もこのテーマでは、敵対的な関与を続けることにします。
>暴金膺懲!
>○○○○に刃物、麻原にサリン、金正日に核兵器はあってはならない悪夢です。
>北朝鮮とは「核兵器を持ったポルポト派」です。
 http://list.jca.apc.org/public/cml/2009-May/000095.html

 要するに、「北朝鮮では、政治犯強制収容所に囚われた良心の囚人が、核実験の人身御供にまでされたというのに、お前ら左派リベラルの無関心ぶりは一体何だ!」と言いたいのでしょう。しかし、その後に続いて「非核三原則の見直し」や「日本核武装」を主張している「家族会・救う会声明」も一緒に投稿するに至っては、もう何をか況やです。これでは、前述の高田純の立場とも、そう変わらないではないですか。
 原さんは、おそらく「家族会・救う会はこれだけ怒っているのだ」と言うつもりで、この投稿を配信したのでしょうが、これでは逆効果にしかなりません。只管「目には目を、歯には歯を」と、北朝鮮に対する復仇感情を煽っているだけなのですから。実際に核戦争にでもなれば、単に拉致被害者だけでなく、多数の朝鮮半島の人々が犠牲になると言うのに。これでは、それをごり押しする為に、徒に拉致被害者や脱北者を踏み絵に利用しているだけと、言われても仕方ないでしょう。
 しかも、その腹いせに、場違いな場で「八つ当たり」に及ぶに至っては、お門違いも甚だしいと言わざるを得ません。一体全体、これが「救う会」の活動スタイルなのでしょうか。

 そんな一見勇ましい「非核三原則見直し」「日本核武装」論ですが、それが実際には、どれだけ非現実的な空論であるか、冷静に国際政治の現実に照らし合わせてみれば、直ぐに分かります。
 まず、「核武装」を主張するからには、当然NPT(核拡散防止条約)脱退も織り込み済でしょうが、そうなれば、米国も含め現在の核保有国全てを敵に回す事になります。かと言って、イランの様に「米帝やイスラエルの蛮行を非難する」のでもなく、引き続き米国の属国に止まり、アフガン・イラク戦争にも加担していくのでしょうから、非核保有国や第三世界諸国も、敵に回りこそすれ、味方になる事はまず在り得ない。
 斯様に、核兵器は、実際の戦争には事実上使えないのですから、幾ら持っていても意味がありません。下手に戦略核を使おうものなら地球滅亡、たとえそれが戦術核・小型核であったとしても、使ったが最後、その国は「核戦争の引き金を引いた戦争犯罪人」として、世界から完全に孤立してしまいます。そんな「無用の長物」の為に、国民生活は全て犠牲にされる。消費税も10%位の増税では済まなくなる。旧ソ連が崩壊し米国経済がガタガタになったのも、偏にこの軍拡の所為では無かったのか。

 そもそも、それ以前の問題として、「そんな主張が人権問題解決の手段として、果たして成り立つのかどうか」という疑問も在ります。
 広島・長崎の原爆被爆者や沖縄集団自決の遺族が、果たして同じ様な事を口にするでしょうか。また、それらの犠牲者・遺族に対しても、「また同じ目に遭え」と、果たして口に出来るでしょうか。
 こんな主張は、かつての「米国の核は汚いが、ソ連の核は清い」の、全く裏返しでしかありません。「北朝鮮の核は汚いが、米国・イスラエルの核は清い」という、ダブル・スタンダードの際たるものです。
 それはまた、「欧米のアジア侵略は悪だが、日本のアジア侵略は善だった」とする、安倍・靖国派の主張とも重なります。なるほど、原さんは、一方では「日本の戦争責任資料センター」会員の顔も併せ持ち、そういう意味では、他の「救う会」会員とは異色の立場に在りますが、これではもう靖国派と全く同じではないですか。

 そして、忘れてはならないのは、これは別に過去の話でもなければ、単に「戦争と平和」に限った話でもないという事です。軍拡論者は「財源は消費税で」位に考えているのかも知れませんが、その消費税の負担に、庶民がどれだけ汲々としているのか、これらの政治家は考えた事があるのでしょうか。今のワーキングプアや「派遣切り」の実状を、果たしてどれだけ知っているのでしょうか。
 知っていたら、国民には偉そうに道徳や愛国心の説教を垂れながら、自分は平気で公務中に泥酔したり、公舎に愛人を住まわせたりなぞ、出来ない筈です。そんな自民党政治を、幾ら「拉致被害者救出の為だから」と言われても、そう簡単に支持なぞ出来ない筈です。国民の人権・生存権要求に対して、上から目線で「生活よりも国防」だの「奴隷の平和」だのと、一方的に貶める様な真似なぞ、出来ない筈です。

 しかし、それが出来るという事は、これらのうちの少なくない部分が、実際は「平和」でも「人権」でも「正義」でもなく、「戦争」と「搾取」を望んでいるからに他なりません。だから、かつての被爆者や今の劣化ウラン弾被災者も含めて、全国民に対して、「再び同じ目に遭え、それでも戦え」と、平然と言ってのける事が出来るのです。また、自分の気に入らない者は全て「反日分子」「北朝鮮工作員」と看做しているので、北朝鮮・拉致問題とは何の関係も無いカルデロンさん一家やDV被害者への嫌がらせなぞと言う、ファッショ紛いの行為に及んだりも平気で出来るのです。「北朝鮮・拉致問題に冷淡な左派リベラル」よりも、寧ろこちらの主張の方が、よっぽど冷淡で非人間的ではないでしょうか。
コメント (5)
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