アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

当ブログへようこそ

 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

 これが、当ブログの主張です。
 詳しくは→こちらを参照の事。
 「プレカリアート」という言葉の意味は→こちらを参照。
 コメント・TB(トラックバック)については→こちらを参照。
 読んだ記事の中で気に入ったものがあれば→こちらをクリック。

正しくなくても切れざるを得ない時もある

2010年03月27日 23時34分06秒 | 職場人権レポートVol.1
  

 ブログ更新が滞り、申し訳ありません。実は水曜日ぐらいから風邪を引いてしまい、殆ど身動きがとれませんでした。一時は熱が38度以上も出て、その日は帰ってからずっと寝ていました。それでも、朝目覚めたら平熱に下がっていたので、どうにか欠勤せずに済みましたが。自分のブログ管理の「仕事」も、もっぱら携帯で済ませていました。

 本日は急遽予定を変更して、以下の話を書かせて貰います。先日、私のブログで社会フォーラムの報告をした際に、地域労組関係者の「どうせ切れるなら、労働法を盾にとって正しく切れよう」という発言を紹介しました。その伝でいけば、今から私が書く事は、必ずしも「正しい切れ方」ではないかも知れません。でも場合によっては、「正しくなくても切れざるを得ない」、寧ろ「切れなくてはいけない」時もあるのではないでしょうか。

 実は私、今の仕事を今月限りで辞めようと思っています。その理由は、今の勤務先で業務を請負っている某大手スーパーのやり口が、余りにも人をバカにしたものだからです。具体的に言うと、今までは納品業者が毎日午後から店別に仕分けしていた(我々は検品のみ)牛乳を、4月からは自前で仕分けしなければならなくなったからです。クライアント(業務発注元)の某大手スーパーが、今まで納品業者(乳業メーカー)に支払っていた委託作業(牛乳仕分け)手数料を、けちって削減してきました。そして、その作業を、二次下請けの、私の勤務先の業務請負会社に押し付けてきたのです。下請けには、「既にそちらに支払済みの委託手数料(=私の会社の収入源)から費用を捻出しろ」と、幾らでも言えますから。
 何のことは無い。仕事の成果は追及するが、それに伴う雇用や労働安全衛生上の義務については、一切頬かむり。そういう事に他なりません。

 しかし、毎日数千ケースからあるリッター牛乳の仕分けを、何でたった時給880円そこらの、重労働とはとても引き合わないような低単価で、朝7時から出てきている人間が、夜6~8時位までかかって(多分それ位かかるだろう)やらされなければならないのか。
 その様な、あからさまな労働条件の不利益変更が、何故いきなり出てきて、それがすんなり通るのか。今の話は数日前からあったものの、あくまでも一部の噂でしかなかった。本日退勤時点でも、その噂が単に表面化しただけにしか過ぎません。もう直ぐ数日後に始まる重大な業務変更であるにも関わらず、今に至るも人伝の噂でしか情報が来ないというのは、一体どういう事か。

 しかも、今回の様な不利益変更は、決して今回に限った事ではありません。一々ここには書かなかっただけで、これまでも類似の事例は多々ありました。外部(業者)仕分けを減らして自社(自前)仕分けがどんどん増やされたり、前に書いたハンディ検品の様に、全然作業の合理化にならずに、現場の手間だけが増やされる、そういう事がずっと続いていました。
 何のことは無い。上から一方的に命令だけして、下の意見は一切聞かない。そういう事ではないですか。一応、元請・下請けの正社員が集まってのミーティングも毎週ある訳ですが、同じ下請け同士で傷口舐め合うだけで、発注元に意見具申一つする訳でもない。それは、私の会社の社員らの、「そんな事言っても仕方が無い」という、普段の口癖からも明らかです。しかし、発注元のスーパーにとっては、そのミーティングが、「意見もちゃんと聞いていますよ」という、アリバイ作りの格好の場となっている。

 そして、スーパーもスーパーなら、下請けも下請けで、うちの契約社員も契約社員です。どう仕事を乗り切ろうかとか、どれだけ残業代掠め取ってやろうかとか、そんな話ばっかりで、誰もこの急な不利益変更に対して、愚痴は言っても本気で怒ろうとはしない。果ては、「皆を見捨てて自分だけ定時では帰れないから、自分も残業する」とか言い出す始末で。
 バカバカしい。奴隷根性も大概にしろよ。幾ら業務請負先(発注元)と下請けの関係でも、労働者・人間として許せる事とそうでない事があるでしょう。それとも、客や上司から「お前死ね」と言われたら死ぬのですか。それでは、戦時中の特攻・玉砕・集団自決の発想と何ら変わらない。心中相手が国から客・上司・会社に変わっただけで。

 たとえ、若いうちは無理が効いても、そのしわ寄せは必ず後で来ます。私の腰痛の様に。とりあえず明日の休みは、日曜も開いている大阪市内のハローワークに直行して職探しです。そして、次の仕事が見つかっても見つからなくても、月曜日には今月限りでの退職を申し出るつもりです。それで向こうが、就業規則違反(自己都合退職の2週間前申告)を云々して来たら、それこそ労働法を盾に「正しく切れてやる」。その足で地域労組に駆け込む事も当然考えています。手前らが思い切り好き勝手やっておきながら、2週間前ルールも糞も無いでしょう。折角、快方に向かっていた風邪も、これですっかり、ぶり返してしまった様です。

(追記)
 今日行って来たハローワークでの求人状況や、非公式の場でいただいた助言も参考にして考えた結果、しばらく冷却期間をおいて相手の出方を伺う事にします。辞めるのはいつでも出来ますし、そのフリーハンドの「伝家の宝刀」を自ら捨て去ってまで、「物流・運輸関係で、大阪市内勤務の、フルタイム勤務で、出来れば月収18万円以上」という程度の、ごくありふれた希望条件すら殆ど聞き入れない様な(該当件数僅か2件!)冷酷な労働市場に、みすみす自分の方から飛び込んでいく事もないだろうと、判断しました。
 今後は、合間を見て求職活動をしつつ、地域労組とも何かあれば連絡を取り合いながら、引き続き今の仕事を続けていこうと考えています。但し、もう若くはないですし、腰痛も抱えている身なので、何よりも自分の安全と、次に仲間の安全確保を最優先に考えながら。

※参考資料
・日雇い派遣原則禁止ってどう?~四トロ二次会での議論(1)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/bad03cd251488aa4a711390b926e4b73
・日雇い派遣原則禁止ってどう?~四トロ二次会での議論(2)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/efa1b34df75adc3a530972fe0259828b
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

参考資料:日雇い派遣原則禁止ってどう?~四トロ二次会での議論(2)

2010年03月27日 23時34分01秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を
(以下、第1部からの続き)

■労働者派遣業について
■投稿者:伊達 純 投稿日:2010年 3月26日(金)14時56分51秒

 そもそも労働者派遣業そのものが、労働基準法の禁止した中間搾取(ピンハネ)ではないかと思う訳です。

 最近、『昭和史』(遠山 茂樹、藤原 彰、今井 清一 岩波新書)を読んだのですが、昭和初期、やはり日雇いやピンハネが盛んに行なわれていたのですね。戦後、労働基準法で中間搾取を禁じたのは、そういった歴史的な経過を踏まえてのことではないでしょうか?

 それから、これは派遣ユニオンの関根秀一郎さんが広島で講演をした時に言っていたことですが、派遣先も、マージン(まさに中間搾取であり、ピンハネ)を支払わなければならないので派遣労働者を雇うのは高くつくと言っていたということを聞きました。

 考えてみれば日雇いや短期のアルバイトは昔からあった訳で、その際に派遣会社を通していたのでしょうか? 通していませんでしたよね。

 確かにインターネットと派遣会社を利用することで日雇いや短期の仕事を見つけやすくなったということは言えるかもしれないけれども、別に派遣会社を通さずにインターネットで仕事を見つけるということも可能ではないでしょうか?

 例えば日雇いや短期の仕事情報を書き込むことの出来るインターネット掲示板を派遣ユニオンやフリーター全般労組などの労働組合がボランティアで運営する。別に派遣ユニオンやフリーター全般労組に限らない。日雇いや短期アルバイトを募集している会社(複数の会社の連合体も含めて)が運営したってかまわない訳ですよ。これならインターネットを利用はするけれども、派遣会社を通したら取られる中間搾取(マージン、ピンハネ)なしで日雇いや短期の仕事を見つけることが出来ますよね?

 あるいは労働組合が職業紹介を無料で行なう。これだと中間搾取にはなりません。

 こうなると派遣会社は存在そのものがムダではないか、とすら言える訳で。

 登録型派遣は、確かに日雇いや短期の仕事を自分で見つける手間を省いてくれるということはあるかもしれません。しかし、やはり労働者派遣業が中間搾取であるということを踏まえると、問題ありと言わざるをえません。

 私も詳しい訳ではありませんが、そもそも職業紹介や職業教育(訓練)をヨーロッパでは労働組合が行なっているということを聞きました。ところが日本の労働組合が職業紹介や職業教育(訓練)を行なっているという話はついぞ聞きません。そういうところにも日本の労働組合、労働運動の弱さがあるのではないでしょうか?

※しかし、まことさんの問題提起へは私もレスをつけようと思っていたんだけど、人民食堂で「あ」法師やプルトニウム猫を相手にしていて、よねざわさんに先を越されちゃったな~(苦笑ひ)。

■労働者供給業者としての労組
■投稿者:dk 投稿日:2010年 3月26日(金)16時33分1秒

労働組合は、現行派遣法以前から、労働者供給業(派遣に近い)を営むことができたはずです。理由は伊達さんが言われているように、中間搾取の阻止のためですね。
一部組合が実施しているはずですが、正社員クラブの性格が強い大きな組合連合には期待できないかも知れません。案外、労働組合には色々な可能性もありそうです。
http://www.asahi-net.or.jp/~RB1S-WKT/qa7040.htm

■Re: 労働者派遣業について
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)18時19分40秒

伊達 純さんへのお返事です。

>  こうなると派遣会社は存在そのものがムダではないか、とすら言える訳で。
>
>  登録型派遣は、確かに日雇いや短期の仕事を自分で見つける手間を省いてくれるということはあるかもしれません。しかし、やはり労働者派遣業が中間搾取であるということを踏まえると、問題ありと言わざるをえません。


その通り!
就労斡旋業務の資本主義的企業化こそが「先祖返り」としての新自由主義の究極の姿なんです。そして、このような「民営化」こそは「所得介入」を行うという点でマクロ経済観点から不生産的・寄生的な資本主義の典型。


>  私も詳しい訳ではありませんが、そもそも職業紹介や職業教育(訓練)をヨーロッパでは労働組合が行なっているということを聞きました。ところが日本の労働組合が職業紹介や職業教育(訓練)を行なっているという話はついぞ聞きません。そういうところにも日本の労働組合、労働運動の弱さがあるのではないでしょうか?


日本の労組が労使協調的な企業別組合として長らく過ごしたことによる限界(ツケ)ですね。
(ちなみに、オレは、労働組合というものは、企業別どころか産別や地域別でももう古いと思いますね。
産別労組の限界については自動車産業の黄昏みたいな業界丸ごとのスクラップ&ビルドが起こることを資本主義の歴史は証明したし、地域別にしても「職場」という空間概念が成立しない業種が近年多く登場してきていますからね)

■労働組合による労働者供給事業
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)23時09分10秒

労働組合による労働者供給事業は新運転(新産別運転者労働組合)などが展開していますね。

http://www.sinunten.or.jp/

以下、濱口桂一郎氏の「新しい労働社会-雇用システムの再構築へ」(岩波新書)に掲載されているコラム「日雇い派遣事業は本当にいけないのか?」より引用します。

『実は、労働組合による労働者供給事業や臨時日雇い型有料職業紹介事業においても日雇いという雇用形態が一般的です。そして、そのこと自体がそこで働く労働者にとって問題とされたことはありません。むしろ、日雇いが悪いという一方的な決めつけによって、労働組合の労働者供給事業が弾圧されたことがあるのです。

新運転は一九六〇年以来、労働者供給事業を行ってきましたが、翌年運輸省が旅客自動車運送事業運輸規則の改正により日雇い運転者の使用を禁止したため、反対運動を繰り広げたことがあります。当時、国会で社会党の議員は「日雇いのどこが悪いのか。そもそも運輸省が雇用関係を規制するのはおかしいではないか」と運輸行政を責めていました。結局、貨物輸送については日雇い禁止を適用しないこととされ、同労組はそちらに活路を見出していきます。しかし、日雇いが悪いという単純な発想で政策を立案することがもたらす問題点が言いがたいようです。

ちなみに、上記法案(※二〇〇八年に国会に提出された労働者派遣法改定案)は日雇い派遣事業の原則禁止を定めていますが、政府は一方で物流やイベント設営などこれまで日雇い派遣事業を活用してきた分野には日雇い職業紹介事業で対応するという意向を示しています。これは、法的構成を抜きにしていえば、日雇い派遣事業に派遣先の使用者責任とマージン規制を導入してそのまま認めることと社会的実体はほとんど同じです。』

http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0907/sin_k479.html

■労働組合による労働者供給事業(2)
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)23時30分44秒

>あるいは労働組合が職業紹介を無料で行なう。これだと中間搾取にはなりません。

とは言っても、現実に労働者供給事業を行っている労働組合も組合費という形で組合員からお金を集めているのではないでしょうか。で無ければ、継続的に労働者供給事業を行うことは不可能ですから。

労組の職業紹介にしても、それが現在の派遣会社を代替するほどの機能を有するものであるならば、現実問題としてやはり運営コストという問題を考えることは避けられないでしょうね。

この点についても、前掲の濱口桂一郎氏の著書は以下のように指摘しています。少し長くなりますが、引用します。

『実態として登録型派遣事業における登録状態に最も近いのは、労働組合の行う労働者供給事業における組合員としてのメンバーシップでしょう。(略)

登録型派遣事業とは、労働組合以外によるものであっても、一定のメンバーシップに基づく労働者供給事業には弊害がないから認めたものなのではないでしょうか。そして、そう考えれば、登録型派遣事業についても労働者供給事業と基本的に同じ規制を行えば足りるはずであり、逆に同じ規制を行うべきであるということになるはずです。

労働者供給事業については、極めて乏しい議論しかされていませんが、いくつかの裁判例は存在します。鶴菱運輸事件(略)、渡辺倉庫運送事件(略)、泰進交通事件(略)といった地裁レベルの判決はいずれも、供給先と供給労働者の関係を「使用関係」としながら、供給組合と供給先の間の供給関係が存在する限りで存続する特異な使用関係としています。(略)登録型派遣事業における派遣先と派遣労働者の関係も、社会的実態としてはこれと同じであると考えられ、同じような特異な使用関係と捉えることが最も適切であったはずです。ところが、一九八五年に労働者派遣法が制定される頃には、実態的に労働者供給事業と類似する登録型派遣事業を、請負や出向と類似する常用型派遣事業と全く同じ法的構成(「自己の雇用する労働者を……」)の中に押し込めてしまったのです。(略)

現在の仕組みでは、労働者供給事業を行う労働組合と供給先の企業が労働協約を締結し、これが供給契約になるとされていますが、そうすると供給先と供給先の間の商取引契約である供給契約が、同時に供給労働者の労働条件に規範的効力(略)を有する労働協約でもあるということになってしまい、労働法規制のあり方として問題をはらんでいます。(略)

登録型労働者派遣事業、労働組合の労働者供給事業、臨時日雇い型有料職業紹介事業を横に並べて考えると、社会的実態として同じ事業に対して異なる法的構成と異なる法規制がなされていることの奇妙さが浮かび上がってきます。そのうち特に重要なのは、事業の運営コストをどうやってまかなうかという点です。労働組合の労働者供給事業は法律上は「無料」とされていますが、組合費を払う組合員のみが供給されているのですから、実質的には組合費の形で実費を徴収していることになります。これと同じビジネスモデルである登録型派遣事業では、派遣料と派遣労働者の賃金の差額、いわゆる派遣マージンがこれに当たります。正確にいえば、法定社会保険料など労働者供給事業や有料職業紹介事業では供給先や紹介先が負担すべき部分は賃金に属し、それ以外の部分が純粋のマージンというべきでしょう。』

私見では今の派遣制度の問題点の一つには、派遣会社がどれだけ中間マージンを引いているのかが派遣労働者には分からないというところだと考えています。派遣会社には中間マージンに対する法的規制を負わせるべきですし、派遣労働者への開示を義務付けるべきだと考えます。

(転載終了)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

参考資料:日雇い派遣原則禁止ってどう?~四トロ二次会での議論(1)

2010年03月27日 23時34分00秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を
 この後の記事とも関係すると思いますので、読者のまことさんがミクシイでまとめてくれた、標記の掲示板での議論内容を、参考資料として、こちらにも転載させて貰います。尚、このまま転載したのでは、当レンタル・ブログでの制限字数を超過してしまいますので、2つに分割して転載させて貰います。

(転載開始)

日雇い派遣の問題について、いま四トロ二次会(注:下記リンク参照、各人の投稿には■印を添付・明示)で議論になっています。ちなみに、私は現時点での日雇い派遣原則禁止には問題があると考えております。

http://6305.teacup.com/mappen/bbs?

■派遣法改定で本当にハケンは「保護」されるのか?
■投稿者:まこと@日雇い派遣会社登録者 投稿日:2010年 3月24日(水)16時33分37秒

●「労働者派遣法改正で失業者が増える!? 中小企業は対応に苦慮、派遣女性も困惑」(MSN産経ニュース)

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100321/biz1003210701003-n1.htm

今回の労働者派遣法の「改正」の目玉は、いわゆる26業務を除き登録型派遣を原則禁止する点でししょうが、これ、本当に派遣労働者の「保護」に繋がるのでしょうか?

というのも、私は前職の頃から時間の合間にいわゆる日雇い派遣副業として従事してきたのですが、その経験から言えば、日雇い派遣労働者の多くは働き方の一つとして日雇い派遣を有効に活用していますし、いわゆる「運動」に関わっていない普通の労働者で「日雇い派遣を禁止すべきだ」と言っている人に私は出会ったことが無いのですね。

それに、今回の法改正によって、日雇い派遣で食っている人達は確実に収入を減らすか、あるいは仕事を失うでしょう。ここ昨今、全面禁止を見込んで、日雇い派遣業界では仕事が減っていましたし、こうした流れに拍車を掛けるでしょう。

一体どうすれば良いのでしょうか。
まさか、日雇い派遣を生業としている人々が全て正社員などの直接雇用に置き換えられると、本気で考えているのでしょうか。

確かに今の派遣に問題があるのは事実ですし、日雇い派遣を生業にせざるを得ない状況は私もおかしいとは思います。が、安直な全面禁止論は派遣労働者の「保護」どころか、派遣労働者を窮地に追い込むだけではないでしょうか。

■エリートの言い分
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)08時45分51秒

登録型派遣がどれだけ理不尽な首切りを正当化してきたのか、合同労組に関わる人たちからすれば歯ぎしりと悔しさばかりが思い出されます。

まことさんがそうおっしゃるのは、端的に言えば、まことさんがそのような危機にさらされたことがない「エリート」派遣労働者だからなんじゃないでしょうか。でもそれは幻でしかない。エリートでも奴隷は奴隷ですから。

■Re: エリートの言い分
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)10時26分13秒

いずみさん、こんにちは。

> まことさんがそうおっしゃるのは、端的に言えば、まことさんがそのような危機にさらされたことがない「エリート」派遣労働者だからなんじゃないでしょうか。でもそれは幻でしかない。エリートでも奴隷は奴隷ですから。

確かに、私自身は登録型派遣を本業にしている訳ではないです。が、でも今は派遣での収入に「かなり」依存している面があるのが実態です。

ただ、私がこれまで出会ってきた日雇い派遣労働者の中には日雇いを生業としてきた人もいますが、 いわゆる運動に携わっていない人の中で、「日雇い派遣廃止」を切実な声として訴える向きはこれまで殆ど耳にしたことが無いのですね。

それに、日雇い派遣というシステム自体は労働者の側にも支持されている側面もあるのは否めない現状に対しては、どう思われますか?他に本業なり学業なりがあり、スポット的にアルバイトをしたい人は日雇い派遣を「便利」に活用しているんじゃないですか。

■古典的労働観と現代の労働
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)11時09分30秒

現在問題になっている非正規雇用や変則労働条件について、それらの問題を資本の剰余価値追求手段に「のみ」解消して理解し、非難するような態度は教条主義の一種でしょうね。
もちろん、資本の貪欲性は基本的に絶対押さえておかなければならない原因ですが。

しかし、資本とは、全ての人間活動を自己の下に包摂し賃労働に転化することによって、賃労働自体の解体にもまた従事せざるを得ないような矛盾です。
マルクスは、このことを著作の中では詳しく展開しませんでしたが予見だけはしていました。『要綱』や『諸結果』の中には、現代をも射程に入れた労働論が散見されます。

例えば、他に志望する「本業」をもち、当面はあくまでも「副業」として就労しているような若年層などの問題は、単純な企業規制だけでは解決しえない。
また、本来は「賃労働」に適さない(「公務」とすべき)分野まで、現在では資本の下に賃労働として包摂されている。

単純な「資本=悪」説だけでは問題は解決しないでしょうね。
私見ですが、問題は、投下労働価値説が妥当しないような分野まで資本が包摂してしまっていることにより起こっているのだと思います。資本の胃袋が消化不良を起こしているというのが現代でしょう。

■時代の変遷
■投稿者:まこと 投稿日:2010年 3月26日(金)11時17分21秒

派遣問題を考える上では、労働を巡る環境変化も考えなければならないと私は思うのですね。

高度成長期以降の日本の(少なくとも大企業)の賃金思想は生活給という考えが背景にありましたよね。独身の若い頃には安い賃金で抑える代わりに、配偶者や子供を抱え物入りになる世代になればその分賃金を上げていく。だから、長年同じ企業で働いていないと労働者の側も損ですし、資本の側も企業内福祉や教育制度を拡充しつつ、労働者を囲い込んでいたのですし。これが、労使協調という名の下の労使馴れ合い・労働貴族と資本の癒着に陥った一因でもあるでしょう。

しかし、昨今の労働現場では、同じ企業で長く働く熟練労働者を以前ほど必要としていません。だから、生活給思想や企業内教育思想を捨ててきている。また、労働者の側も状況の御変化に併せ、「終身雇用」を信じなくなってきています。

現在の派遣制度はこうした時代状況の中で捉えられるべきだと思いますね。
例えば、日雇い派遣にしても、「会社から縛られるのがイヤだ」という思いで、敢えてそういう働き方を選択している人達もいることを見過すべきではないでしょう。

私は「社会化」がキーワードになると考えています。
派遣にみられるような労働現場の流動化を否定するのでは無く、社会全体のシステムとして労働者の生活を保障していくことが必要なのではないでしょうか。

「派遣断固廃止!」ではなく、「派遣でも安心できる社会を!」をスローガンにしたいものです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(追記 11時50分ころ)

連続投稿になるといけないので、追記の形にしますが。

現在の日雇い派遣が労働者の願望(好きな時間に働きたいとかいずみさんが指摘されるトランスジェンダー等々)を利用・搾取している面も多分にあるのは否めないと思いますよ。

ただ、とりわけ第三種産業には正社員による常時雇用を困難にしている業種が少なくないという現実も一面にはあると思いますよ。例えば、今の時期日雇い派遣業界では引っ越しの仕事が増えていますが、引っ越しなんて「季節商材」みたいなものなので、全て正社員で雇用することなんて出来ません。人手が要る時だけ集められる日雇い派遣は経営側にとってはありがたいし、また、そうした需要と「空いた時間だけ働きたい」という労働者側のニーズが合致することもあるわけです。

問題は、今の日雇い派遣というシステムが基本的に雇用主にとって有利になっていることだと思います。例えば、都合の良い時だけ労働者を雇うのだから、むしろ時給は正社員よりも高く支払うよう義務付けるとか、派遣会社や登録型派遣を常用するような企業からは割り増しの法人税なりを取り、その分を派遣労働者の生活保障に回すようにするなど、企業にとって都合の良い働き方をさせる企業にはそれなりの社会的責務を負わせるようなシステムは早急に必要だとは思います。

■Re: エリートの言い分
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)11時25分54秒

> 確かに、私自身は登録型派遣を本業にしている訳ではないです。が、でも今は派遣での収入に「かなり」依存している面があるのが実態です。

私も、今は請負受注が低値安定しているのでやってませんが、かつて乱高下していたときは仕事の合間合間でかなり助けられました、日雇い派遣に。

そのとき私が感じた日雇い派遣のメリットは、自分のぶろぐにも書きましたが、
(1)ニコニコ現金払い
(2)性別問題
(3)普段出会わない人との休憩時間の会話とかが勉強になる
といったあたりです。

ただ、他のあらゆる出会いの場にあてはまる(3)はともかく、(1)はそのことで正規雇用の機会を奪っているわけですし、(2)はそのことでトランスジェンダーの「願望」を搾取しているだけです。もちろん、私はそのおこぼれでよい思いをしたわけですが。

> ただ、私がこれまで出会ってきた日雇い派遣労働者の中には日雇いを生業としてきた人もいますが、 いわゆる運動に携わっていない人の中で、「日雇い派遣廃止」を切実な声として訴える向きはこれまで殆ど耳にしたことが無いのですね。

これはおっしゃるとおりです。というか日雇いでない登録派遣でもほぼ同じような印象です。

> それに、日雇い派遣というシステム自体は労働者の側にも支持されている側面もあるのは否めない現状に対しては、どう思われますか?他に本業なり学業なりがあり、スポット的にアルバイトをしたい人は日雇い派遣を「便利」に活用しているんじゃないですか。

繰り返しになりますが、これはまさに「イスの奪い合い」そのものであって、そうすることによって労働者総体の雇用状況を悪化させています。もちろん、悪化させようが何しようが個人個人は食べていかないといけませんから、個人個人がそういう働き方を選ばざるを得ないのは仕方がないことですが。

私が登録型派遣を絶対悪だと思うのは、それが、解雇という本来緊急時にしか認められない手法を、堂々と、胸張って行うことができる方法だからです。
日雇い登録派遣は、まさに、毎日解雇されています。究極の解雇です。

■Re: 時代の変遷
■投稿者:よねざわいずみ 投稿日:2010年 3月26日(金)11時31分54秒

> 現在の派遣制度はこうした時代状況の中で捉えられるべきだと思いますね。
> 例えば、日雇い派遣にしても、「会社から縛られるのがイヤだ」という思いで、敢えてそういう働き方を選択している人達もいることを見過すべきではないでしょう。

まるで財界人のコトバを聞いているようでびっくりしてしまうのですが。
コトバが生まれた頃のフリーターの多くはまさにそうでしたが、いまやそういう向きはかなり減少しています。
同様に、日雇い派遣しかできないという人も増えています。

> 私は「社会化」がキーワードになると考えています。
> 派遣にみられるような労働現場の流動化を否定するのでは無く、社会全体のシステムとして労働者の生活を保障していくことが必要なのではないでしょうか。

これだけ取ればそのとおりです。
で、私は、日雇い派遣を認めることが社会全体のシステムとして労働者の生活を保障することにはつながらず逆向きだと考えるから、日雇い派遣廃止に賛成しています。

> 「派遣断固廃止!」ではなく、「派遣でも安心できる社会を!」をスローガンにしたいものです。

これに「失業者、障碍者、病者でも安心できる社会を」とつけ加えるなら大賛成です。

もう1つ、なんで女性の労働問題がこの議論で出てこないのかが不思議なんですが。

■主意主義的な「撤廃」ではなく、
■投稿者:バッジ@ネオ・トロツキスト 投稿日:2010年 3月26日(金)12時32分46秒

賃労働の「死滅」の必然性までを射程に入れた労働観、労働政策をこの際一緒に考えてみませんか?そう、賃労働も、国家同様にやがて死滅するからです。
マルクスは、生産過程での科学(的労働)の比重増大が労働時間に基づく価値生産という資本の存立基盤自体を掘り崩す(『要綱』)とか、サービス部門などの非物質的生産の領域の発展は資本の下では「考慮する必要はない」(『諸結果』)などと錯綜した書き方もしてますが、賃労働が解体して行く道程を明確に認識していました。

現在論議されている問題も、このような普遍性の地平に据え置かれてこそ理解を誤らないと思います。
自説に都合の良い事実を投げ合うだけのような実証主義的認識態度では、歴史の問題を解決出来ませんよ!


なお、資本の下での賃労働を人間能力の全面発達に資する肯定面もあると考えるマルクスの立場からは、「日雇い」の対立的究極である「終身雇用」を擁護するという主張は当面の改良政策としてさえ出てこないと思いますよ。

(以下、第2部に続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする