アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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本土の商業メディアが黙殺する沖縄現地からの報道

2016年08月31日 21時57分12秒 | 沖縄の犠牲の上に胡坐をかくな
 前回記事でも取り上げた沖縄の基地問題ですが、最近は本土の商業メディアは、ほとんど報じようとしません。たまに報じても、読売・産経のように、警察・公安情報の請け売りや、官邸・自民党筋からの単に反対運動の揚げ足取りとしか思えないような記事ばかりで。それは、読売・産経のような御用メディアだけでなく、朝日・毎日のような、今までどちらかと言うと左派・リベラル系と目されてきたメディアも同様です。その結果、どの新聞・テレビを見ても、同じような当たり障りのないニュースや、どうでもよい三面記事ばかりが目に付くようになってしまいました。これでは、新聞の購読部数やテレビの視聴率が年々低下するのも当然です。選挙の投票率が低下するのも当然です。そこまでしてまで、よっぽど安倍政権の目が怖いのでしょうか。それでは、もはや政府広報や昔の大本営発表と同じです。そこにはジャーナリズム精神のかけらもありません。
 その中で、地元・沖縄の地方紙や一部の本土地方紙、共産党機関紙の赤旗など、一部の限られたメディアだけが、今も沖縄のニュースを細かく伝えてくれています。そのニュースの中から一部を紹介します。

以下、地元紙「琉球新報」の記事より

高江の警備「過剰」 翁長知事、抗議排除を批判 2016年8月26日 05:02

 翁長雄志知事は25日、県庁で定例記者会見を開いた。米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)工事の現場で市民と機動隊のもみ合いが続いている状況について「機動隊を500人とも800人ともいわれる形で動員すれば、過剰警備であることは間違いない」と指摘した。県外の機動隊員が、翁長知事が任命権を持つ県公安委員会の要請で派遣されている点について「その意味では大変忸怩(じくじ)たるものがある」と述べた。
 政府が参院選の翌朝に移設工事を再開したことにも触れ「(国は)県民に寄り添い、しっかり話し合いをする姿勢とはほど遠い」と政府姿勢を批判した。
 機動隊派遣を巡る県公安委員会の判断に関連しては「公安委員会の在り方は公正公平、独立性も含めて中立の要素を持っていると認識している」とも述べた。
 ヘリパッド建設に伴う森林伐採や赤土流出防止については「森林伐採や赤土の問題などは法律条例の問題にも関わってくる。法治国家なのだからしっかり対応してほしい」と国に注文した。その上で「県はオスプレイの配備撤回も求めている。これも丁寧な説明がなければ、信頼関係という意味ではおかしいのではないか」と語り、改めてオスプレイの配備撤回を求めた。

http://ryukyushimpo.jp/news/entry-344510.html

強固「金網の壁」設置 ダンプ10台で砂利搬送も 北部訓練場ヘリパッド工事 2016年8月27日 12:30

 【ヘリパッド取材班】東村から国頭村に広がる米軍北部訓練場の新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設を巡って、通称「N1裏」から100メートルほど離れた所に25日に設置された金網を、ヘリパッド建設に反対する市民らが26日午前に一部撤去した。防衛局は同日午後、同じ場所へ金網をさらに強化して再設置した。金網は4~5メートルの木の板で内側から覆われ、有刺鉄線を張り巡らせるなど、厳重な壁のようになっている。
 沖縄平和運動センターの山城博治議長は「あまりにも厳重なゲートができており、常識では考えられないことが起きるのでは」と国側のさらなる強硬な動きを警戒した。
 沖縄防衛局は26日午前、新たなヘリパッド建設地の一つであるN1地区ゲートにダンプカー約10台分の砂利を搬入した。市民らは同日早朝、建設作業に携わる作業員の車両を約2時間止め、進入を遅らせた。
 さらに東村高江から国頭村安波にまたがる県道70号の複数箇所で工事車両が通れないよう市民らが車を道路に止める行動を展開した。機動隊員らが市民らの車を移動させ、工事車両の通行路を確保した。
 抗議中の女性(39)=うるま市=が投げた小石が警察車両に当たり、警察が事情を聴くため女性を近くの交番へ移動させた。午後には解放された。女性は取材に、道路脇の雑木林の方向へ投げたら警察車両に当たったとして意図的ではなかったと主張した。

http://ryukyushimpo.jp/news/entry-345445.html

72歳女性頭打ち搬送 高江、公務執行妨害疑いで男性逮捕 2016年8月24日 13:29

 【ヘリパッド取材班】東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場の新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設工事で24日、建設に反対する市民らの抗議行動中に1人が逮捕され、1人がけがをした。
 名護署によると24日午前6時50分ごろ、東村高江の県道70号で警備中の警察官の腹部を蹴ったとして男性を公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。男性は建設工事の作業員が乗った車両に対する抗議行動中に逮捕された。現場では「蹴っていない」などとして不当逮捕を主張した。
 けがをした女性(72)は午前10時すぎ、N1ゲートとメインゲートの間で、砂利を搬入するダンプカーに抗議している最中、警察とのもみ合い中にあおむけに倒れた。プラカードを掲げていたため、倒れた時、地面に後頭部を強く打ち付け出血した。午前10時40分ごろ、救急車で病院に搬送され、治療を受けた。
 女性によると、抗議行動中、警察が女性の前で抗議していた男性を押したため、後方にいた女性も男性に押される形で倒れたという。
 沖縄防衛局はこの日、10時5分から10時28分の間にダンプカー10台で砂利をN1ゲートに搬入した。23日と異なり、東村方面から国頭村方面に向ける南側のコースで運ばれた。市民らは約60人で抗議したが、警察に囲い込まれ動きを封じられた。【琉球新報電子版】

http://ryukyushimpo.jp/news/entry-343437.html

以下、地元紙「沖縄タイムス」の記事より

米軍ヘリパッド工事に自衛隊ヘリ投入を検討 村道使用拒否で沖縄防衛局 2016年8月28日 09:47

 沖縄県東村高江周辺の米軍北部訓練場のヘリパッド建設で、沖縄防衛局が機材搬入のために自衛隊ヘリコプターの使用を検討していることが分かった。27日、複数の防衛省関係者が明らかにした。市民らの反発に加え、東村の伊集盛久村長がH、G地区につながる村道の工事車両の通過を拒否しているため工事の大幅な遅れが避けられず、早急に進めるために機材空輸の検討に入った。(政経部・大野亨恭)
 ただ、米軍が管理する施設内での飛行は日米合同委員会合意が必要。さらに、ただでさえ反対意見が強い工事に自衛隊ヘリを投入すれば住民のさらなる反発は必至で、防衛省関係者は「自衛隊機使用のハードルは高い」との認識を示した。
 工事関係者によると、使用を検討しているのは自衛隊のCH47輸送ヘリ。ショベルカーなどの重い機材をCH47で空輸し、小型クレーンなどの軽めの機材を民間のヘリで運ぶことを検討している。
 防衛省筋によると、空輸は工事着工前に一時検討したものの、重い機材をつり下げて輸送できる民間の機材が国内に数機しかなく、賃料も高額なため見送る方針が固まった。
 だが、伊集村長がH、G地区への村道使用に反対したことで防衛局は機材搬入ルートの見直しを迫られ、N1地区表の通行路(通称・Fルート)から新たなルート建設を検討したが相当の時間を要するため空輸の再検討に入った。
 本紙が入手した防衛局が県へ今年7月に提出した環境影響評価検討図書では、来年1月までに全工事を完了させるため、必要に応じてヘリを使用すると明記。具体的には「工事の初期段階」でG地区に2回、H地区近くの作業ヤードに18回の合計20回程度の使用を予定するとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/59455

警察官が抗議する市民に「ばか」「気持ち悪い」 沖縄・名護署 2016年8月25日 09:26

 24日午前、沖縄県東村高江周辺のヘリパッド建設に反対する男性の逮捕を受け、名護署前で抗議する市民2人に対して、男性警察官2人が別々に「ばか」「気持ち悪い」と発言した。警官による言葉や物理的な暴力の訴えが増えている。
 警官1人は名護署の敷地内に入った50代女性を排除。記者の前で女性が「恥ちらー(恥知らず)」、警官が「ばか」と3回ののしり合った。
 もう1人の警官は顔をスマートフォンで撮影しようとした40代女性に対して「触らんで、気持ち悪いから」と言う場面が動画で録画された。
 40代女性は高江での抗議行動の最中、警官に「ばばあ」と言われたことがあるという。「暴力があっても証拠さえ残らなければ許されるという土壌が警察の中にあるのではないか」と語った。
 50代女性も高江で路上に倒され、膝で押さえ付けてきた警官に「おまえなんか殴る価値がない」と言われたと訴える。「県警は辺野古で暴力に慣れてしまっている。最初はおとなしかった他府県の機動隊もそれを見て徐々に暴力的になっている」と危惧した。
 警官ともみ合いになった末のけがが増えているほか、10日には20代女性のTシャツが警官によって破られたこともあった。

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/59026

車いす87歳女性「傷深く、肉見えた」 高江の強制排除で5針縫うけが 2016年8月23日 09:54

 沖縄県東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設に反対する市民らは22日午前9時半ごろ、県道70号の高江橋に車約20台を道幅いっぱいに並べて封鎖した。機動隊が市民や車を排除し、工事用トラック10台が北部訓練場内に入った。市民らはトラックが通過するまで、約2時間にわたり機動隊のバス2台の間に押し込められた。
 市民と機動隊のもみ合いで、名護市辺野古の島袋文子さん(87)が小指を切って5針を縫うけがをし、男性(63)が機動隊員の膝で胸を押さえつけられて打撲を負った。2人は救急車で搬送された。
 市民による県道70号の封鎖は、高江橋のほかに2カ所でもあり、その都度機動隊に排除された。車はタイヤを浮かして車を移動する道具を使い、1台ずつ動かし、トラックが通る車幅を確保した。市民らは「工事強行やめろ」などと建設反対を訴えた。
 県道70号では警察による交通規制も行われた。

■「触るな!」と怒鳴られ負傷

 島袋文子さん(87)は高江橋の近くで機動隊員に右腕をつかまれ、強く振り下ろされたため、右手小指を機動隊バスのどこかに強打したと話す。「傷が深く、肉が見えた。血が止まらなかった」。右腕には機動隊員の指が残したというあざが赤黒く残った。
 島袋さんによると、機動隊バス2台の間の「監禁場所」に押し込められようとしたため、車いすに乗ったまま右手でバス後部の取っ手をつかんで抵抗していた。後ろから機動隊員に「触るな!」と怒鳴られ、けがに至った。「県外の機動隊員のようだった」という。
 利き手をけがして包丁もつえも持てず、既に生活に支障が出ている。それでも、「戦(いくさ)で左半身を焼かれても生き延びた。これくらいでひるんではいられない」と気丈に振る舞った。
 胸を打撲した男性(63)は、高江橋を封鎖する車の間でほかの市民3人と縦1列に座っていた。男性や目撃者によると、前の人の両肩を押さえていたところ、前の人を引きはがそうとした機動隊員が男性の胸に靴を置いて踏ん張った。男性の抗議を受けて膝に変えたが、男性は完全に横たわり、押え付けられた状態が2~3分続いた。
 男性の胸には夕方になっても赤い打撲痕がくっきりと残っていた。「息苦しさもあり、骨が折れたと思って救急車を呼んでもらった」と振り返り、「機動隊はずっと暴力的だったが、きょうはあまりにもひどかった」と憤った。

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/58718

以下、共産党機関紙「しんぶん赤旗」の記事より

機動隊がテント内撮影 沖縄・高江 抗議する市民押しのけ 伊波参院議員が現地調査に 2016年8月31日(水)

 沖縄県東村高江の米軍北部訓練場周辺で30日、米軍ヘリパッド=オスプレイパッド(着陸帯)の建設工事が本格化することを警戒し、市民による抗議行動が続きました。沖縄防衛局は工事を急ぐため、9月以降はN1地区とH地区、G地区の工事を同時に進める方針を示しています。
 資材搬入に抗議する市民を機動隊が強制的に排除し、午前10時すぎに砂利を積んだダンプカー10台とトレーラー4台がN1地区ゲートに進入。午後2時半には「N1裏」のテントに60人以上の機動隊が押し掛けて内部をビデオカメラで撮影し、市民が「テントに入るな」と詰め寄るなど緊迫した状況になりました。
 この日、伊波洋一参院議員(無所属)が調査に訪れ、抗議行動を支援する土木建築の専門家から、工事で懸念される環境への影響について聞き取りました。
 調査を終えた伊波氏は「住民の声や自然環境への配慮を無視して工事が進められています。専門家の知見を生かして政府を追及したい」と述べました。
 29日からテントに泊まり込んでいる那覇市の下地勝博さん(69)は「重機を使って貴重な自然が破壊されている現状に怒り心頭です。工事を止めるため、座り込みを続けたい」と語りました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-08-31/2016083104_01_1.html

着陸帯阻止 集中行動へ 沖縄県民会議 毎水・土は高江に 2016年8月31日(水)

 沖縄県の政党や労組、市民団体でつくる「基地の県内移設に反対する県民会議」は29日、幹事会を開き、東村と国頭(くにがみ)村にまたがる米軍北部訓練場のヘリパッド(垂直離着陸機オスプレイが使用する着陸帯)建設阻止に向けた集中行動に取り組むことを決めました。
 9月から毎週水曜日と土曜日を集中行動日として、資機材の搬入口となっているN1ゲート前に集合し、抗議行動を展開します。最初の行動日は9月3日(土)です。
 県民会議は「これ以上の沖縄の基地機能強化を許さず、やんばるの自然を守り、高江地域の安心・安全な生活を取り戻すため、最後まであきらめることなく建設阻止の行動につなげていく」としています。
 現地からは「辺野古新基地建設の反対運動では、毎週水曜、木曜の集中行動で工事中止にまで追い込んだ。高江でも週2回工事を止めれば辺野古と同じ状況をつくれる」と意気込む声が上がっています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-08-31/2016083104_02_1.html

主張 オスプレイとF35 沖縄・本土一体の基地強化ノー 2016年8月31日(水)

 沖縄本島北部で無法な米軍基地の増強が次々と図られようとしています。北部訓練場(東村、国頭村)では、住民らが強く反対する侵攻輸送機MV22オスプレイなどのヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設工事の再開が強行されています。伊江島補助飛行場(伊江村)では、最新鋭ステルス戦闘機F35Bや特殊作戦機CV22オスプレイなどの訓練場の拡張工事が始まりました。名護市辺野古の米軍新基地建設や、本土の米軍基地へのF35BやCV22の配備計画に連動した動きです。深刻な基地被害を新たに強いる、沖縄と本土一体の基地機能強化は許されません。

軽減どころか大幅負担増

 機動隊を大量動員し、反対住民を強制排除して無法な工事が7月に再開された、東村高江のヘリパッド建設工事―。防衛省沖縄防衛局が工期短縮のため、環境にも配慮し1地区ずつ工事を進めるとしていた当初の計画を改変し、3地区同時に実施しようとしていることが明らかになり、沖縄では怒りの声が上がっています。北部の自然豊かな「やんばるの森」の破壊をさらに深刻にする大問題です。
 ヘリパッド建設工事は、北部訓練場の「過半」を返還する代わりに、4地区6カ所にヘリパッドを新設するという計画です(うち1地区2カ所は完成)。政府は「沖縄の基地負担の軽減」になると宣伝しています。しかし、この計画は「約51%が使用不可能な北部訓練場を日本政府に返還する一方、新たに利用可能な訓練場所を開発する」(米海兵隊太平洋基地司令部の報告書「戦略展望2025」)というのが実態です。
 海に近い地区(G地区)のヘリパッドは、完成すれば、日本政府が米軍に新たに提供した訓練水域とつながり、これまではできなかった、海兵隊による陸海空一体の上陸訓練が可能になります。
 日米両政府が辺野古に建設を狙う新基地には、海兵隊のMV22の部隊が配備され、敵地への上陸侵攻作戦で使用する強襲揚陸艦が接岸可能です。LCAC(エアクッション型上陸用舟艇)も駐機できます。北部訓練場のヘリパッド建設と辺野古の新基地建設が直結していることは明白です。
 米軍が今月、伊江島補助飛行場で、海兵隊のF35BやMV22、米空軍のCV22などの離着陸訓練を行うため、強襲揚陸艦の甲板を模した着陸帯(LHDデッキ)を2倍に拡張する工事に着手したのも重大です。横田基地(東京都)にCV22(17年から10機)、岩国基地(山口県)にF35B(17年に16機)を配備する計画に伴うものです。
 北部訓練場と新基地ばかりでなく、伊江島補助飛行場までも一体化し、海兵隊などの海外“殴り込み”訓練が実施される―。「基地負担の軽減」どころか、基地負担の大幅な増強に他なりません。

たたかいをさらに広げて

 F35Bの配備に伴い、沖縄本島中部の嘉手納基地(嘉手納町、沖縄市、北谷町)での格納庫拡張や、辺野古の新基地予定地と重なるキャンプ・シュワブ(名護市、宜野座村)など「中部訓練場」の訓練空域拡大が計画されているのも看過できません。北部訓練場のヘリパッドはCV22の使用も想定されています。
 米軍基地の強化を許さない沖縄と全国のたたかいをさらに発展させていく必要があります。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-08-31/2016083101_05_1.html
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今日の高江こそが明日の日本だ

2016年08月31日 13時40分53秒 | 沖縄の犠牲の上に胡坐をかくな


 この前の日曜日に、大阪・天満橋のエルおおさか(府立労働会館)で開かれた沖縄・高江の講演会に行ってきました。
 講演会を主催したのは、「辺野古に基地を絶対につくらせない大阪行動」という団体です。今までもJR大阪駅前などで、沖縄・辺野古への基地移設に反対してビラまきなどをやって来た団体です。この団体の事は私も今まで何度かブログなどで紹介して来ました。
 最近はマスコミもオリンピックやSMAPの解散騒動ばかり取り上げ、沖縄の事なぞほとんど取り上げないので、「今の辺野古や高江の動きを知る良い機会だ」という事で、急きょ参加する事にしたのです。
 ちょうど同団体も加入する共闘組織の結成2周年という事で、沖縄の歌を歌ったり今までの活動を振り返ったりした後、沖縄から来られた北上田毅(きたうえだ・つよし)さんの講演が行われました。
 この北上田さんというのは、沖縄の辺野古で、普天間基地の移設工事を止める為に、抗議船の船長の一人として活躍されてきた方です。「チョイさんの沖縄日記」というご自分のブログで、日々の活動を紹介しておられます。沖縄の基地反対運動にとっては、なくてはならない人のうちの一人です。



 ここで、まず高江の紹介をしておきます。沖縄本島北部の東村(ひがしそん)にある高江は、山原(やんばる)と呼ばれるジャングルに囲まれた人口150名ほどの集落です。本島南部にある県庁所在地の那覇市から来るには、自動車でも片道3時間ぐらいかかるそうです。(ちなみに沖縄では、行政区画の村も「むら」ではなく「そん」と発音します)
 この自然豊かな高江は、周囲を米軍の北部訓練場に取り囲まれています。米軍がゲリラ戦の訓練を行なう場所で、ベトナム戦争の時期には集落全体がゲリラ戦の標的とされた事もありました。「標的の村」という映画に、その当時の事が詳しく描かれています。私も地元の上映会で、この映画を見て、その感想をブログに書きました。最近では、安倍首相夫人の昭恵さんも、この映画を観た後、知人と一緒に高江の座り込みテントをお忍びで訪問した事で、ちょっとした話題になりました。
 現在、その高江で、集落を取り囲むようにして、米軍のヘリパッドが6ヶ所も作られようとしています。ヘリパッドとは小規模なヘリポートの事ですが、飛来するのが、彼の悪名高いオスプレイです。オスプレイは、回転翼が離着陸時にはヘリコプターモードに、飛行中はプロペラ機モードに変わる事で、即応性に優れているという触れ込みで、米軍や自衛隊が本格導入を検討しています。しかし、モード切り替え時に事故が多発する事から、別名「未亡人製造機」とも呼ばれ、米本土では住宅地上空の飛行が禁止されている機種です。離着陸時の騒音も半端ではなく、6ヶ所のうち2ヶ所のヘリパッドが稼動しただけでも、既に騒音で逃げ出す住民が出ています。そんなヘリパッドを、住民にはろくに知らせないまま建設しようとしているので、もう20年ぐらい前から、住民や支援者が訓練場のゲート前にテントを張って、抗議の座り込みを続けています。それに対して、安倍政権は全国から警察官や機動隊、民間の警備業者を総動員して、座り込みの排除やテント撤去を強行しようとしているのです。





 しかし、このヘリパッド建設強行には様々な違法性が指摘されています。講演会場で配られた上記の地図を基に、その違法性について説明していきます。

(1) 県警・機動隊の私物化
 現在、国は全国から500名を超える警察官や機動隊員を沖縄・高江に動員し、高江の座り込みを阻止しようとしています。しかし、都道府県警を統率できるのは、本来は各都道府県の知事しかいないはずです。沖縄・普天間基地の辺野古移設反対を掲げて当選した今の翁長(おなが)・沖縄県知事が、同じ沖縄・高江の米軍基地拡張に賛成するはずがありません。では、なぜ、国は全国から応援部隊を増強できるのか?実は、形式上は沖縄県公安委員会の要請によって行われたとされる応援部隊の増強も、その予算が国から支給されている事が最近明るみになりました。実際は、国が沖縄県の頭越しに、勝手に他県に応援要請をしていたのです。沖縄の高級ホテルに滞在して豪勢な食事を堪能しながら、住民弾圧に明け暮れる他府県(その中には大阪も含まれる)の警察官・機動隊員の滞在費に、私たち国民の税金が違法に使われているのです。これを「私物化」と言わずして一体何と言うのでしょうか?

(2) 県道の不法占拠
 国が米軍ヘリパッドを作ろうとしている北部訓練場を縫って、県道70号線が北に延びています。沖縄本島最北端の国頭村(くにがみそん)と他の市町村を結ぶ唯一の生活道路です。そこを国が、工事車両を通すために、ここでも沖縄県の頭越しに、違法に通行規制を行っているのです。工事車両が通る間は、他の車両は一切通過できません。今や、工事車両は「警備員に守られて運ばれる世界一高価な砂利」「大名行列」と皮肉られる有様です。
 しかも、生活道路の公道でありながら、別に犯罪捜査の必要もないのに、警察が恣意的に検問を行い、工事車両だけを通して住民の通行を禁止する。そして、反対運動を「犯罪者」呼ばわりし、憲法で保障された住民の請願権を踏みにじっているのです。これが、果たして法治国家のする事でしょうか?

(3) 村道の違法使用
 北部訓練場内の道路はほとんどが農道ですが、一部は村道となっていて、地元の東村が管理しています。上記の地図でも、県道70号線から分かれて新川ダムに至る区間が村道になっています。東村の村長は工事の村道使用を今も拒否しています。本来なら、村道を工事車両が通る事はできないはずです。

(4) 国有林の違法伐採
 北部訓練場内には国有林が広がっていて、世界遺産の「やんばるの森」として、天然記念物の希少生物ヤンバルクイナやノグチゲラの貴重な生息域となっています。工事の際も、一定以上の大きさの樹木を伐採するには、沖縄森林管理局の許可が必要です。工事区間の一部で、その許可を取らずに国有林の伐採を行っていた事が明らかになりました。

(5) 過積載ダンプのダム堰堤通過
 6ヶ所のヘリパッド建設予定地(上記地図の赤丸を付した場所。今はその中のN1、H、Gの3地区で工事が行われている)に入ろうとする工事用車両は、新川ダムの堰堤を必ず通過しなければなりません。ところが、ダムの堰堤には10トンの重量規制がかけられているので、本来なら土砂や工事用資材を満載したダンプは通過できないはずです。ところが、実際は重量ダンプが我が物顔に通行しています。これでは、いつダムが崩壊しても不思議ではありません。正に危険と隣り合わせの杜撰(ずさん)な工事です。
 その危険解消の為に、上記地図の北(上)の方のN1ゲート(この前座り込みのテントが強制撤去された)からN1裏(ここでは今でも座り込みが続けられている)に延びる旧林道の拡張工事や、工事用モノレールの設置、自衛隊ヘリでの資材搬送などが計画されています。旧林道とは名ばかりの獣道の使用や、人力で支柱を埋め込んで作るとされるモノレール建設は、実際はあり得ないので、最後の自衛隊ヘリによる緊急搬入が、最も可能性が高いと言われています。

(6) 基地拡張工事に伴う赤土流出
 先述したように、工事予定地の北部訓練場は、米軍のゲリラ戦訓練場であると同時に、希少生物の生息域でもあります。工事に際しては、国有林伐採の許可や、沖縄県の赤土流出防止条例に違反しない事が求められています。わざわざ、取って付けたような工事用モノレールの設置まで考えなければならないのも、ひとえに、この貴重な自然が残されているからです。ところが現実には、工事が最優先なので、ジュゴンの生息域が脅かされている辺野古と同様の事態が、高江でも繰り返されようとしています。

 私も高江の事は既に知っていましたが、まさか、これほどの違法行為を国が行なっていたとは思いませんでした。
 元はと言えば、沖縄の北部訓練場も普天間基地も、米軍が占領期間中に、「銃剣とブルドーザー」で住民から土地を奪い、勝手に線引きして造成した物です。条件付きではなく無条件で沖縄県民に返還すべき物です。ところが、当時の自民党政権(橋本龍太郎内閣)は、1995年の米軍兵士による少女暴行事件で、全県ぐるみの基地撤去運動が盛り上がった際に、それをSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意で「条件付き返還」の話に巧妙にすり替え、実際は老朽化した基地の返還と引き換えに、最新鋭の基地を作ろうとしてきました。よく言われる「普天間基地の辺野古移設」も、実際は「移設」なんかではなく「新基地建設」なのです。
 高江のヘリパッド建設も、北部訓練場内の中で、使用価値の低い山がちのジャングルだけを返還し、重要部分は継続使用できるようにする為のものです。その為に、宇嘉(うか)川河口の水域を米軍に提供して海兵隊の上陸訓練も可能にし(上記地図の青色部分)、垂直離着陸機オスプレイも使用できるヘリパッドを作ろうとしているのです。

 しかし、悲惨な沖縄戦を体験し、戦後も米軍占領下で基地の重圧に苦しめられてきた沖縄県民には、そんなマヤカシは通用しません。だから、辺野古でも高江でも、もう20年以上も座り込みによって、新基地増設を阻止してきたのです。
 その結果、今や米国の政権内部からも、沖縄からの基地撤退を容認する声が上がり始めています。ところが、あくまでもSACO合意に固執する安倍政権は、工事をせかす米政権内部強硬派の目を気にして、中国脅威論なども煽りながら、反対運動弾圧に血眼になっているのです。
 現在、普天間基地の辺野古移設を巡って、国と県が訴訟合戦を繰り返しています。県が前知事の移設承認を取り消したのに対し、国がそれを無効にしようと、行政不服審査法の手続きを悪用して、国が県を訴えるという前代未聞の事態になりました。今は裁判所の和解案に沿って、国地方係争処理委員会で審査が続いています。
 もし、ここで仮に同委員会で国よりの審査結果が出ても、実際に国が移設を行うには、公有水面埋立法に基づく設計変更や、県から岩礁破砕許可をもらったり、流入河川の流路変更申請をしなければならないのです。工事に伴う赤土流出防止条例に基づく県との協議も必要です。もはや北朝鮮やアフリカの独裁政権と変わらない姿となった安倍政権でも、これらの手続きをことごとく無視する訳には行きません。もし、国が辺野古移設や高江のヘリパッド建設強行に固執し続けても、泥沼のような裁判闘争に絡み取られて身動きが取れなくなるだけです。
 それ以外にも、台風の来襲や、辺野古の海底で新たな遺跡や希少生物が発見されたり、高江でも天然記念物の野鳥ノグチゲラの繁殖期に入れば、そのたびに工事中断を余儀なくされます。追い詰められているのは住民や県ではなく、むしろ国の方なのです。

沖縄タイムス記者も拘束 高江で取材中、機動隊聞き入れず(2016年8月21日 14:28 沖縄タイムス)
 20日、沖縄県東村の高江橋で機動隊が市民らを排除する様子を取材していた本紙記者ら報道関係者も拘束され、バスとバスの間に押し込められた。「記者である」ことを訴えたが最終的に聞き入れられず、取材活動を制限された。
 本紙記者は午前10時26分すぎ、排除の様子を取材していたところ、機動隊4人に囲まれた。背中を強く押されながらバスとバスの間に連れて行かれ、すでに拘束されていた市民ら15人と一緒に押し込められた。
 県警に「取材中である」ことを訴えると、一度は解放された。だが午前10時41分すぎ、別の機動隊に再び拘束され、バスとバスの間で身動きが取れず、取材活動を制限された。他社の記者も同じく拘束された。
 小口幸人弁護士は、記者の拘束について「主権者が知るべきことを報道する権利を侵害する行為で許されない」と話した。交通を妨げるなど、排除される理由がなかった中での拘束に「法律に基づいた行動だとは思えない」と述べた。
 沖縄平和運動センターの山城博治議長は「マスコミを萎縮させることにつながりかねない行為で、あり得ない」と語気を強めた。
 県警警備2課は、バスとバスの間に市民や記者を拘束したことについて「危険防止や安全確保のため。取材を規制する目的ではない」と答えた。(以上引用)
注:この他にも、本土では余り報じられない沖縄現地のニュースを、次回記事でまとめて紹介しています。関心のある方は是非そちらもお読み下さい。



 講演終了後はデモにも参加しました。講演会場のエルおおさかを出て、天満橋から梅田新道に出て、御堂筋を大阪市役所前まで総勢200名で歩きました。途中、淀屋橋の米国総領事館前では、警察の過剰警備によるトラブルもありました。赤信号で停止中だったので、デモ隊が領事館に向かって「アメリカは出て行け!」と一段と声を張り上げたのに対して、警備の警察が「早く進め!」と挑発してきたのです。どうやら事なきを得たようですが、ここにも安倍政権の狼狽(ろうばい)ぶりが見て取れました。「参院選にも勝った」という事で、一見強大そうに見える安倍政権ですが、沖縄の基地問題やTPP、年金削減、残業規制撤廃などで、ますます国民との間に矛盾を広げつつあります。追い詰められているのは我々ではなく、むしろ安倍政権の方だという事を、この講演会でも痛感しました。
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