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留学生には一切責任がないのか?

2016年08月21日 09時44分08秒 | 職場人権レポートVol.3


 今職場で働いているベトナム人留学生の扱いに手を焼いています。
 私の勤務時間帯には、2人のベトナム人が一緒に働いていますが、2人とも日本語がほとんど喋れません。
 1人は全く喋れず、もう1人もあいさつ程度の会話しかできません。当然ながら、2人とも文字は平仮名・カタカナすら全然読めません。

 ベトナム人のバイトが来た当初は、まだそこまで酷くはありませんでした。
 大抵の人は平仮名・カタカナは読めましたし、漢字を読める人も少しはいました。
 その当時も、会話は片言で意思疎通に苦労しましたが、まだ日常会話は何とか交わせていました。
 その中で、私がベトナム人用に作った全文振り仮名付の作業マニュアルが、役に立ったりもしていました。
 ところが、最初の頃にやって来たベトナム人達は、次第に欠勤が目立つようになり、今では主だったメンバーは全員クビになってしまいました。

 今働いているベトナム人達も、基本作業は一通りこなせます。
 日本語が通じないのに、なぜ仕事をこなせるのかというと、先輩のベトナム人から、仕事の手順を口づてに教わったからだと言われています。
 業務内容自体も、基本的には商品に張られた出荷先番号や出荷個数の数字を見て、商品を出荷していくだけなので、別に商品名や宛先の漢字が読めなくても、数字さえ読めれば何とか仕事はこなせるのです。
 ところが、日本語が全く通じないので、作業内容が変更されたら、もう対応が取れなくなります。応用が全然ききません。
 作業手順の変更、置き場所の移動、レイアウト変更、新しい備品の導入等があるたびに、それをベトナム人に伝えるのが一苦労です。
 また、彼らがこなせるのは最低限の基本作業のみなので、それ以外の付帯作業・事務作業や、ラベル補充等の雑用は、全て日本人のバイトだけでやらなければなりません。

 それに対して、現場の社員は見て見ぬ振りです。新しいベトナム人バイトが来ても、現場の日本人バイトに丸投げするだけで、自ら率先してベトナム人に仕事を教えようとは全然しません。現場の社員自身が、バイト管理や作業管理、在庫管理について、今まできちんと教育されて来なかったので、そのツケが今になって一挙に噴出している状況です。日本人のバイトもろくに管理・指導できなかった社員が、外国人バイトの管理・指導なぞ出来る訳がありません。
 さすがに管理職サイドともなれば、一定問題意識を持って、ベトナム語のマニュアル作成等も進めてくれているようですが、今の状況ではいつになったら整備されるのか見当もつきません。
 そういう状況なので、ミスやトラブルは日常茶飯事で、今までなら考えられなかったようなミスもあちこちで起こるようになりました。
 仕事の質も、完全な「やっつけ仕事」になってしまっていて、ゴミは散らかり放題で、業務改善にまでとても手が回らないのが現状です。

 当初は仲間だと思っていたベトナム人留学生バイトも、ここまで質が落ちて来ると、もう正直言って、やっかい者扱いせざるを得なくなります。
 人手が足りない時は、そんなベトナム人でも猫の手も借りたい程ですが、日本人バイトだけでとうにか回せるようになると、もう「お荷物」にしかなりません。ベトナム人バイトを丸投げしてくる社員に対して、「たった時給900円しか給料もらっていないのに、なぜ外国人の通訳みたいな事までさせられなければならないのか?」と食って掛かり、ベトナム人バイトを突き返した事も、実際何度かありました。

 これは一体誰が悪いのでしょうか?
 勿論、一番悪いのは、そんないい加減な労務管理しかして来なかったウチの会社やその社員です。
 しかし、ベトナム人留学生バイトも、日本で働く以上は、日本語の日常会話ぐらいは喋れるようになってから来るべきではないでしょうか?

 ベトナム人留学生の多くが「偽装留学生」である事は、今や公然の秘密です。
 実態はただの出稼ぎ労働者でしかないのに、今の法律(出入国管理及び難民認定法、略して入管難民法という)では外国人は単純労働には就かせられないから、形だけ留学生という事にして、形だけ日本語の授業を受けさせているのです。外国人留学生は、学費支払いの為に、週28時間以内に限って就労が認められていますが、現実には、たったそれだけの労働では、とても食べてはいけません。それを承知の上で、留学生を受け入れる国や留学あっせん機関(いわゆるブローカー)も、留学生に日本語を教える専門学校も、受入先企業も、留学生を使い捨ての労働力として、低賃金で酷使しているのです。

 出井康弘(いでい・やすひろ)さんの著書「ルポ ニッポン絶望工場」(講談社プラスアルファ新書)には、そんな事例が一杯出て来ます。
 留学生を風呂・トイレ共用のタコ部屋みたいな所に何人も住まわせて、月数万円もの家賃をぼったくる。そうして、日本語学校で形だけの授業を受けさせて、バカ高い学費を徴収する。留学生はそこで初めて騙された事に気付くが、今さら母国に帰った所で、渡航に要した数百万円もの借金を返すアテもない。国も受入先企業も、その実態を薄々知っていながら、「いくら日本人を募集しても全然来ないから」という口実で、入管難民法や労働基準法、最低賃金法に表向き違反していない事を好い事に、知らん顔。
 安倍政権に至っては、「留学生30万人計画」と称して、今まで以上に留学生の受け入れを進めようとしています。でも、その実態は、留学生を一人の人間、有為の人材と見なすのではなく、単なる「使い捨ての駒」としか見ないものです。昔の「蟹工船」「女工哀史」や今の「派遣切り」「ブラック企業」と同じです。その結果、留学生の中には、せっかく夢を抱いてやって来たのに、次第に日本に失望し、借金逃れの為に不法就労に手を染め、犯罪者やテロリストの手先になり下がってしまう者も少なくありません。

 2001年に中国人留学生の不法就労あっせんの罪に問われて学長が逮捕された旧・酒田短大(山形県)の例でも、少子化や過疎化の影響で学生が集まらなくなった地方の私立大学が、外国人留学生を大量に入学させ、大学の授業も受けさせずに東京で掛け持ちのアルバイトをさせていました。仮に学生に授業を受けさせていたとしても、授業も卒業証書も形だけです。肩書こそ大卒や専門学校卒でも、実際は日本語も満足に喋れない、そんな外国人留学生が、各地の配送センターや新聞配達店、ドラッグストアやコンビニ等で目につくようになりました。
 また、外国人の就労に際しては日本語能力試験N5レベル(平仮名・カタカナが読めて簡単な会話が出来る程度)の語学力が求められるはずですが、実際にはカナも読めないアルバイトも大勢います。これでは、いくら全文漢字にルビ付きの作業マニュアルを作っても意味がありません。小学生程度の語学力もない人に仕事を教える事なぞ出来ません。 

 だから、一番悪いのは、留学生を食い物にしてきた、これらの国や企業やブローカーですが、他方で、留学生自身も、外国で働く以上は、最低限その国の言葉を喋れるようになってから、来日するのが筋ではないでしょうか?たとえ「ブローカーに騙された、言いくるめられた」という実態があるにせよ、その甘言を無防備に受け入れてきた留学生自身にも、一定の責任があるのではないでしょうか?そもそも、異国で働き生活する以上は、その国の公用語を覚えようとするのは、最低限の常識でありマナーではないでしょうか?「外国にさえ行けば、たとえ、その国の言葉が喋れなくても一かく千金」なんて甘い話なぞ無い事ぐらい、少し考えれば分かりそうなものを。
 私は、右翼が扇動するような外国人排斥の主張には決して組するものではありませんが、他方で、留学生に対しても、「もう少し仕事という物を真面目に捉えて欲しいし、日本語もある程度喋れるようになって欲しい」と言う事を、今回敢えて書かせてもらいました。
コメント (1)
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