民進党・両院議員総会 2017年9月28日
民進党は、9月28日の常任幹事会と両院議員総会で、今回の総選挙への対応方針として、以下の三点を決定しました。
①今回の総選挙における民進党の公認内定は取り消す。
②民進党の立候補予定者は「希望の党」に公認を申請することとし、「希望の党」との交渉及び当分の間の党務については代表に一任する。
③民進党は今回の総選挙に候補者を擁立せず、「希望の党」を全力で支援する。
そして、党員・サポーター・国民向けに、以下の文書を発表しました。
党員・サポーター、そして国民の皆様へ(民進党HP)
平素より、民進党の活動に対しご理解・ご支援を頂きまして、ありがとうございます。特に党員・サポーターの皆様におかれましては、民進党が厳しい環境にある中、様々なご意見そして心温まるご支援を頂き、心より感謝申し上げます。
さて、本日、民進党は両院議員総会において、別紙「総選挙の対応について」を決定いたしました。これにより、民進党は10月に行われる衆議院議員選挙において候補者を擁立せず、民進党から立候補を予定していた候補者は「希望の党」に公認申請を行います。
今回の判断の主たる目的は、この選挙で安倍政権を終わらせることです。アベノミクスは、一般の国民の皆さんの暮らしの改善には繋がらない反面、その極端な低金利政策や放漫財政は非常に危険であり、何かのきっかけで皆さんの暮らしを崩壊に追い込む可能性があります。自衛隊や日米同盟の強化は必要ですが、そのために憲法違反の法律を強引に成立させることは許されません。森友・加計問題にみられるように、情報を隠し、国民に全く説明をしない姿勢は民主主義を否定するものです。国民生活を脅かし、憲法を軽視し、民主主義を否定する安倍政権を一刻も早く終わらせることが、わが国政治の最大の課題だと私は確信しています。
私は民進党に誇りと愛着を持っています。これまで築いてきた政策に自信を持っています。今回の判断はこれらを曲げるものではなく、さらなる力を得て、民進党の目指す社会を実現する第一歩です。二大政党制を確立し、政権交代を通じて理想の社会を創るための土台強化です。「希望の党」とは理念や基本的政策の方向性については一致をしています。今後、選挙に向けてさらに政策を具体化する中で、国民の皆様の理解と信頼を得ていきたいと考えています。
民進党は引き続き存続し、今回の総選挙では「希望の党」の選挙を全力で支援します。皆様におかれましても、民進党に頂いていたご支援を上回るご支援を「希望の党」に賜りたいと思います。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
2017年9月28日 民進党代表 前原誠司(以上引用)
https://www.minshin.or.jp/article/112648/%E5%85%9A%E5%93%A1%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%80%81%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E5%9B%BD%E6%B0%91%E3%81%AE%E7%9A%86%E6%A7%98%E3%81%B8
「希望の党」とは、小池百合子・東京都知事が、国政に進出するにあたり、自分達の地域政党「都民ファーストの会」を母体に立ち上げた新党の名称です。この地域政党は、この前の都議選で躍進し、前都政まで与党だった自民党を歴史的大敗に追い込みました。私は、とても「希望の党」なんて呼ぶ気にはなれないので、ここでは「小池新党」と呼ぶ事にします。
今やどん底の民進党は、自分たちが再び政権の座に復帰するには、共産・社民・自由など他の三つの「弱小野党」や戦争法(安保法制)反対の市民団体と共闘するよりも、人気もあり地方選挙で躍進した小池新党と組んだ方が手っ取り早いと考えたのでしょう。
小池新党は人気はあるが、出来て間もない新党なので資金も組織もありません。方や民進党は、不人気とは言えどもまだ野党第一党で、労働組合の連合(日本労働組合総連合会)がバックについています。小池新党よりは資金力も組織力もある。
こんな場合は、仮に合流するにしても、資金力・組織力にまさる民進党が小池新党を吸収するのが普通です。しかし、今の不人気な民進党のままでは到底、選挙に勝つ事は無理です。そこで、小池人気にあやかり、わらをもすがる思いで小池新党への合流を決めたのでしょう。
でも、そんな理由で合流したのでは、自民党や国民から「野合」と批判されるのは目に見えています。そこで、取って付けた様に、「安倍政権の暴走を止める為には、野党が一つにまとまらなければならない」と言い出したのです。既に、「戦争法・共謀罪反対」「沖縄・辺野古の米軍新基地建設反対」「アベノミクスによる貧困・格差の拡大ではなく国民生活重視の経済政策実現」を目指した、前述の他の三つの野党との共闘を進めていたにも関わらず。
では、小池新党は、それに対して何と言っているか。既に新党の綱領や公約らしきものもネットに公開され、そこでは「脱原発を目指す」などと、さも今の安倍政権を批判する様なポーズを取っているようです。しかし、小池代表や他の幹部の言動を聞いていると、この新党が、とても安倍政権への批判の受け皿にはならない事が、はっきりと分かります。
「リベラル派は排除する」希望・小池百合子代表が明言(産経新聞)
新党「希望の党」代表の小池百合子東京都知事は29日の記者会見で、希望の党からの出馬を望む民進党の立候補予定者の絞り込みについて、「リベラル派を『大量虐殺』するのか」と問われ、「(リベラル派が)排除されないということはない。排除する」と言い切った。
その上で、小池氏は「安全保障、憲法観といった根幹部分で一致していることが、政党構成員としての必要最低限」と重ねて強調した。(以上引用)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170929-00000548-san-pol
「安倍首相の交代は許されない」希望の党で出馬意向の中山成彬氏(同上)
小池百合子東京都知事が代表を務める国政新党「希望の党」から衆院選に出馬する意向の中山成彬元文部科学相が28日、自身のツイッターに「安倍(晋三)首相の交代は許されない」と投稿した。政権交代を目指す戦いを控え、現政権の存続を求める異例の訴えだ。
衆院選に向け民進党は希望の党に事実上合流するが、これについても中山氏はツイッターで「私達の小池新党合流から始まった今回の騒ぎに前原(誠司)代表は右往左往。言うだけ番長の面目躍如」と民進党のトップを痛烈に揶(や)揄(ゆ)した。
その上で「(民進党の)辻元(清美)氏等と一緒なんて冗談じゃない」とし、希望の党のバラバラ感を早くも露呈させた。
中山氏の妻は日本のこころを離党した中山恭子参院議員で、27日の希望の党設立の記者会見にも参加し、オリジナルメンバーに名を連ねている。(以上引用)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170928-00000569-san-pol
そこでは、はっきりと「リベラル派を排除する」「政権交代なぞ、もっての外」と言っているのです。戦争法や共謀罪、格差拡大に反対する人たちに対して、「リベラル派」と、十把一からげにレッテル張りして、切り捨てているのです。これでは、安倍首相が東京都議選の応援に立った時に、自分を批判する人に対して「こんな人たち」と切り捨てたのと、全く同じじゃないですか。
こんな小池新党が、安倍政権批判の受け皿になんかになるはずがないじゃないですか。小池新党は、どこから見ても、「自民党の補完勢力」「安倍政権の別動隊」でしかない。
そういう私も、都議選直後は、自民党の大敗ぶりに目を奪われる余り、「都民ファーストの会」躍進を過大評価してしまいました。「都民ファーストの会」議員の大半が元自民党や元民進党の右派議員であるにも関わらず、「たとえ、そんな人達でも、うまく『左』に誘導すれば、自民党を更に窮地に追い込む事が出来るんじゃないか」と、ツイッターでつぶやいたりしました。
しかし、それはとんでもない間違いである事が、この間の小池新党の動きを見て、改めて思い知らされました。たとえ一時と言えども、また条件付きとは言えども、こんな勢力に期待してしまった自分の至らなさを反省します。
しかし、それにしても、不甲斐ないのは民進党です。
「安倍政権の暴走にストップをかける」と言いながら、戦争法も改憲も賛成の、「自民党の補完勢力」「安倍政権の別動隊」でしかない新党に、事実上合流すると言うのですから、お話になりません。「民進党は無くさない」なんて言っていますが、政策も公認も新党の言いなりでは、党が消滅したのも同じじゃないですか。
元々、自民党寄りだった党内右派の前原や蓮舫、野田がこれを言うなら、まだ分かります。しかし、それに先立つ民進党代表選挙で、その右派を批判して闘った枝野や辻元などの「党内左派」「リベラル」までもが、民進党常任幹事会や両院議員総会で全然抵抗しなかったのは何故なのか?
それまでの野党共闘路線を突然反故にして、他党や市民団体との約束も反故にして、代わりに、得体のしれない新党にすり寄る。自分たちの保身の為だけに。しかも、あろうことか、それを「安倍政権を倒す為だ」と強弁して取り繕うとする。
これではまるで、「ヒットラーを倒すためにムッソリーニの配下に入ろう」と言っている様なものじゃないですか。同じ右派・保守派でも、ヒットラーと対決していたチャーチル(第二次大戦時の英国首相)と組むと言うなら、まだ話は分かります。しかし、ヒットラー・ナチスと一緒になって世界征服に乗り出していたイタリアのムッソリーニの配下に入って、どうしてヒットラーを倒す事が出来るのか?
確かに、大阪市長選や府知事選、堺市長選では、共産党や民進党も、自民党系や保守系の候補を応援しました。しかし、それは、「大阪都構想の是非」という大阪独自の争点や、大阪では維新が安倍政権の別動隊として傍若無人に振る舞っており、自民党はむしろそれに抵抗しているという、地方独自の事情があったからです。そして、自民党系や保守系候補も、多少のぶれはあっても、終始一貫して都構想反対の立場に立っていたからこそ、共産党や民進党も自民党系の候補を応援したのです。
少なくとも、大阪の地方選挙においては、「都構想反対」という大義名分があり、候補者もその大義に沿って行動し、維新以外の全ての政党がその一点で団結出来たからこそ、大阪市長選・府知事選では残念ながら勝つ事が出来ませんでしたが、堺やその他の府下自治体では勝つ事が出来たのです。
ところが、小池都知事の場合はどうでしょうか?「情報公開」とか「築地市場の豊洲移転見直し」などの耳触りの良い公約を掲げながら、いずれも尻すぼみに終わりました。それに対する説明もないまま、今度は「都知事から国政に進出する」と言い出す有様です。これでは、都知事選挙で小池に期待して投票した人は、単に小池個人の出世に利用されただけではないですか。
しかも、戦争法も共謀罪も憲法改正にも賛成で、どこから見ても「自民党の補完勢力」「安倍政権の別動隊」でしかない小池を、民進党はあろうことか、「安倍政権の暴走を食い止める為」だと言い繕って、自分からその配下に入ろうとしているのです。こんな事で、今度の国会解散・総選挙を「安倍政権による解散権の私物化、党利党略解散」と批判する事なぞ出来るでしょうか?党員・サポーターの意見も聞かず、自分達の「党利党略」だけでさっさと解党してしまって、散々党を「私物化」しておいて。
安倍政権がこれだけ無法の限りを尽くしても、何故、人気がなかなか急落しないのか。それは、ひとえに野党第一党の民進党が、自民党以上にだらしないからです。民進党のだらしなさが、安倍政権を裏から支えてしまっているのです。橋下維新や小池新党の様な「ニセ野党」ではなく、真の野党による共闘でなければ、安倍政権を倒す事は出来ません。
心ある民進党員・サポーターの皆さん、今こそ安倍・自民党という「毒親」の支配を断ち切り、本当の「オール・フォー・オール」「みんながみんなの為に」生きられる社会や国を実現しようではありませんか。党を見捨てた幹部なぞ放っておいて。それを「リベラル」「左」だとレッテル張りするなら言わしておけば良いのです。「リベラル、左で一体何が悪いのか?」と