「働き方改革」関連法案が来週にでも衆院で強行採決されようとしています。法案と言っても一本のまとまった法律がある訳ではありません。労働基準法などの一部について「一括改正」するという法案の寄せ集めです。「一括改正」で「四の五の言わせない」という所にも、この法案の胡散臭さがにじみ出ています。その中には悪名高い「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」導入の規定もあります。
「改正」と言うが実際は「改悪」です。月100時間まで残業を認める「形だけの残業規制」と引き換えに、高プロ導入で「8時間労働や休日の規定を全て取っ払ってしまおう」と言うのですから。今はまだ「適用されるのは一部の職種に限られる」「年収1075万以上の労働者に限られる」とされていますが、職種なぞ後で幾らでも拡大できます。年収も後で幾らでも引き下げ可能です。現に提唱者の厚労相自身が「小さく産んで大きく育てる」と、その狙いをあけすけに語っています。
経団連も「最終的には年収400万以上の労働者には全て適用出来るようにしたい」と言っています。現に米国では、最低、年収269万円から適用対象になっています。たったそれだけの年収で、死ぬまで働かされても文句も言えない。そんな世の中にされようとしているのです。
ふざけるな安倍政権【5・23】「高プロ法案」強行採決 年収400万円でも適用 不祥事のドサクサに紛れて 高プロは、データ捏造で提出が見送られた裁量労働制よりタチが悪い。しかも、安倍政権が強調する「成果主義」や「高年収要件」には巧妙な罠が仕掛けられている(日刊ゲンダイ)https://twitter.com/Trapelus/status/996281180029767682
「働き方」法案 採決するな 地獄の苦しみ誰にもさせぬ 過労死遺族・弁護士ら会見(しんぶん赤旗)http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-05-17/2018051701_01_1.html
政府はこの法案の狙いについて、①少子高齢化による労働人口減少への対応②長時間労働と賃金格差の是正③労働生産性向上の3点を上げています。だったら、「労使で36協定さえ結べば幾らでも残業させる事ができる」等の、今の労働基準法の抜け穴を無くし、女性や非正規の低賃金、地方と東京の賃金格差も是正して、誰でも安心して働きやすいようにしなければ、労働生産性も上がらないと考えるのが普通でしょう。
ところが、政府は、「窓際族が意図的にダラダラ残業をしている」「効率の良い働き方をしているエリートこそ、もっと評価されなければならない」と言って、逆に8時間労働や休日の規制を取っ払おうとしているのです。「これからは労働時間ではなく仕事の成果で評価されなければならない」とか何とか言って。
しかし、「働き方改革」関連法案の条文には、「仕事の成果で評価する」なんて、どこにも書いていません。書いてあるのは「適用される労働者には、8時間労働や休日保障の規定も全て無くなる」、これだけです。そうなれば、もはや労働時間や時間外労働の概念も無くなり、際限のないノルマが押し付けられる事になります。「ノルマを達成するまで帰るな!」という働き方が当たり前になってしまうのです。
その歯止めとして、「年間休日を最低104日は与えなければならない」等の規定がありますが、これとても一週間に換算すれば週休2日にしかなりません。後は祝日も盆も正月も関係なし。土日さえ休みにすれば、後の5日は24時間×5日=120時間ぶっ通しで働かせても違法にはならなくなるのです。
今後ますます少子高齢化が進み、人手不足が酷くなる。産業用ロボットや人工知能の導入も始まっているが、完全実用化はまだまだ先だ。人手不足の穴埋めとして、低賃金の外国人労働者を雇う様になったが、ろくに教育もせず使い捨て同然に扱ってきたからミス連発。これでは全然戦力にならない。このままでは、企業は一生、労働者に頭が上がらなくなる。折角、今まで何十年もかけて、野党や労働組合を骨抜きにして来たのに、これでは折角の苦労も水の泡だ。
もはや、労働基準法そのものを完全に骨抜きにする以外にない!今まで、憲法9条の戦争放棄や、憲法24条の「誰でも健康で文化的な最低限度の生活を送る権利」を骨抜きにしてきたように!…それが「働き方改革」の真の狙いだろうと、私は思っています。
その「働き方改革」関連法案(高プロ法案)廃止を求める緊急署名の内容をこちらに転載します。皆さんも是非、署名にご協力をよろしくお願い致します。
(ここからウェブ署名の転載)
「高プロ廃案」求める緊急署名をスタートしました。賛同・拡散を大至急お願いします!
2018年5月17日 — 「わたしの仕事8時間プロジェクト」から、みなさんへ緊急のお願いです。
緊急署名「 #高度プロフェッショナル制度 は現代の奴隷制!今すぐ廃案に!」をスタートしました。
緊急署名はこちら↓
http://chn.ge/2wHOTVV
政府与党は5月23~25日にも衆議院厚生労働委員会で法案を強行採決しようとしています。強行採決を阻止するために賛同・拡散を大至急でお願いします。
(以下、新しい緊急署名と同一です)
#高度プロフェッショナル制度 は現代の奴隷制!今すぐ廃案に!
5月2日、政府与党は、野党6党の強い反対を押し切り、働き方改革関連一括法案の審議入りを強行しました。
その中には:
・究極の働かせ放題となる「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の創設
・過労死ライン(月100時間未満)の時間外労働の上限導入
など、働くものの命にとって危険な法案が盛り込まれています。
特に「高プロ」は、労働者に「働き方の裁量」を与えることもなく、時間外・深夜割増手当も支払わずに、週休2日にあたる年間104日の休みさえあれば、24時間労働を48日間連続させても違法にならず、年間6144時間(※フルタイムで働く労働者の2017年の総実労働時間は年間2016時間ですから、その3倍)の就労を命じても合法という、とんでもない過労死促進制度です。まさに「現代の奴隷制」と呼ぶべきものです。
年収が高い人に限定すると政府は言いますが、24時間就労を命じておいて、働けなかった分を賃金カット(欠勤控除)することも禁止されていません。つまり、年収1075万円の要件はまやかしです。
また、「高プロ」に同意しないことを理由に労働者を「解雇してはならない」と法案に書いてあるものの、実際に解雇された場合、行政や司法による救済の可能性は「一概にはいえない」と政府は答えています。結局、解雇が嫌なら拒否できない制度ということです。
法案の重大な問題点を、野党が指摘しても、加藤厚生労働大臣は「そうしたことは想定していない」などと、質問に向き合わない答弁を繰り返しています。しかし、大臣が想定していないような制度の悪用を防げないならば、それは欠陥法です。
政府は、この法案を今国会会期中(6月22日まで)に成立させようとしていますが、野党の指摘を素直にみとめ、法案を撤回するべきです。
私たちは、政府・与党に、以下を求めます。
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1.高度プロフェッショナル制度は廃案にしてください。
2.月の残業上限80~100時間は過労死が発生する水準です。もっと短くしてください。
3.「働き方改革一括法案」は徹底審議をしてください。
首相や厚生労働大臣、政府参考人は、野党の質問に誠実に答弁してください。隠ぺい、捏造、はぐらかし答弁は、国会と国民を欺くもので、許されません。
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