3たびコロナ感染拡大緊急事態宣言が発令されました。宣言により、「不要不急の外出自粛」要請が出され、劇場も映画館も再び休業に入りました。確かに映画なんて見なくても人間は死にません。しかし娯楽が無くては社会は窒息死してしまいます。もっと先に休業させなければならない物があります。GoToや五輪に現を抜かして感染広げ、補償もまともにせず自粛要請ばかり繰り返すしか能のない、コロナ無策の菅政権こそ真っ先に休業、退陣させるべきではないですか。
「不要不急の外出自粛」などの形で「不要」と「不急」はセットで語られる事が多いです。しかし映画館も美術館も、「不急」ではあっても「不要」では決してありません。1ヶ月位なら無くても我慢できますが、1年以上も無しでなんて、とてもいられません。なら何が一体、不要不急か?コロナ無策の菅政権、浪費でしかない商業五輪こそ、最大の不要不急ではないですか。
最近のマスコミ報道には頭に来ます。何かと言えば「繁華街の人手が増えた」と、まるで我々が悪いみたいな報道がされています。しかし、1ヶ月や2ヶ月ならいざ知らず、半年や1年以上も自宅に引きこもってなぞいられません。我々は家畜じゃありません。たまの休日に繁華街でショッピングを楽しんで一体何が悪いのか?コロナ感染防止のために庶民が出来る事なんて限られています。三密回避とアルコール消毒、マスク着用ぐらいしかありません。後の休業補償や医療支援は政治家の仕事です。その政治家が無能だから何度も自粛しなければならなくなってしまったのではないですか。
NHKか何かで、「中国で日本のワインが売れている」というニュースが流れました。そして中国国内のバーで富裕層がワインを飲む映像が流れました。私はそれを観てため息が出ました。それは、ワインバーの中でマスクしている人間なんて誰もいなかったからです。どの国もコロナ対策に苦労しているのは事実です。しかし、その中でも、コロナ禍から抜け出しつつある国と、いまだに抜け出せない国の差が、徐々に現れて来ているように思います。
コロナ対策で成功しつつあるのは、中国・台湾・ニュージーランド・イスラエルなどの国々です。いずれも、感染初期の段階で、ロックダウンに踏み切ったり、PCR検査を徹底的に行ったり、ワクチン普及に努めたりして、コロナ対策に力を注いだ国ばかりです。逆に、いつまでもコロナ禍から抜け出せないのが、米国・ブラジル・インド・日本などの国々です。いずれも、過去に福祉予算を削減して、保健所や医療機関の統廃合を推し進めた国ばかりです。これらの国々は、コロナ対策でも経済優先で中途半端な施策しか講じなかった為に、コロナ対策にも経済対策にも失敗してしまったのです。これは明らかに人災です。
先の4月25日に投開票された衆参補欠選挙、参院出直し選挙でも、政府のコロナ対策への不満が現れました。いずれの選挙でも野党が全勝し、菅政権に痛打を与える事が出来ました。まずこの点については素直に喜びたいと思います。でも、中身をよく見ると、必ずしも手放しでは喜べないとの感を強くしました。何故そう思うか順を追って述べます。
まず衆議院北海道2区補欠選挙。ここでは自民・公明の連立与党が、吉川農水副大臣収賄辞任の影響で候補者も擁立できず、野党統一候補(立憲民主党に共産党・国民民主党・社民党が相乗り)の松木謙公氏が当選しました。しかし、投票率は僅か30%。前回衆院選の57%から大幅に落ち込みました。松木氏の得票も、前回の7万4千票から今回5万9千票に減らしました。前回、共産党新人候補が集めた5万2千票が今回、松木氏に流れなかったとすると、一体どこに流れたのでしょうか?(鶴羽氏も山崎氏も保守系で、いわば自民党の別動隊です)もう候補者の顔ぶれに嫌気がさして棄権に回ってしまったのでしょうか?いずれにしても、「希望の党」出身で元保守系の松木氏では結集力に限界があるように思います。
次に参議院長野選挙区補欠選挙。ここは言わずと知れた「羽田(はた)王国」です。補選のきっかけも国民民主党現職・羽田雄一郎氏の新型コロナ死去に伴う物で、野党は弔い合戦として有利に戦いを進める事が出来ました。叔父の羽田孜(つとむ)氏も元は自民党です。「元自民vs現自民」の争いでは、「所詮どっちもどっち」と捉える有権者も少なくなかったのではないでしょうか?ここも投票率は前回54%から今回44%に大幅に落ち込んでいます。
最後に参議院広島選挙区の出直し再選挙。ここは河井夫妻の逮捕・議員辞職がきっかけで再選挙となりました。ここは元々、岸田政調会長の地元で自民党の強かったところですが、「政治とカネ」の問題で追い詰められ、市民団体「結集ひろしま」が擁立した野党統一候補の宮口治子氏に敗北してしまいました。その一方で、金権政治批判以外では政策もバラバラで、原発反対や消費税廃止を訴えきれなかった宮口氏に飽き足らない層が、より革新的な政策を掲げる佐藤周一氏の支援に回る動きも見られました。被爆地・広島の反核世論vs原発推進の電力総連(中国電力労働組合)・連合労組の軋轢が現れた格好です。
自民党の一強支配を打ち破るには野党共闘しかないのは確かです。でも元自民の希望の党・国民民主党出身者が野党統一候補では、幾ら立憲民主党に衣替えした所で、自民党政治を払しょくできなかった旧民主党の愚を再び繰り返すだけではないでしょうか?その立憲民主党も、多いのは国会議員数だけで、肝心の組織は国民民主党の(御用)労働組合出身候補におんぶの状態では、市民の結集なぞまず無理です。
私は何も「保守系や御用組合出身だからダメ」と言っているのではありません。現に保守系でも沖縄の故・翁長(おなが)知事のように、米軍基地の県内たらい回し(普天間基地の辺野古移設)反対に体を張って頑張って来られた政治家も大勢います。だからこそ沖縄では保革の枠を超えて多くの人が彼らを支持するようになったのです。しかし先の4月25日投票の当選者に、翁長氏やその後継者の玉城デニー氏と同じ魅力があるか否か?問われると甚だ心もとないです。自民党と似たり寄ったりの政治の下で、いつまでもコロナ禍から抜け出せず、いつまで経っても我慢ばかり強いられるのは、もう沢山です。
小池・東京都知事や吉村・大阪府知事も、今まで自民党と一緒になって病院の統廃合を進めて来たくせに、コロナの時だけ野党ずらして、パフォーマンスばかりに明け暮れています。小池知事はテレビの前でパネルを掲げて言葉遊びにふけるばかり。吉村知事も、松井・大阪市長と一緒になって雨ガッパ集めに市役所職員を駆り出し、「イソジンがコロナに効く」と嘘八百の宣伝に明け暮れるばかり。それで今や医療崩壊で手術も後回し。
都民ファーストや「維新の党」も基本政策は自民党と同じです。菅政権の進める憲法改正、五輪・原発推進、福祉削減にも大賛成です。その中で自民党との違いを打ち出そうすれば、もう「行政改革やっているふり」するしかありません。だからコロナ禍の中でも都構想の住民投票を強行したのです。その挙句に、大阪を日本一のコロナ感染源にしてしまい、その責任を飲食店に擦り付け、今や「見回り隊」で飲食店虐めに精出す有様です。飲食店の中にはもう居直って「罰金さえ払えば良いのだろう」と、「罰金セール」に走る所も出て来ました。
それでも、マスコミが小池知事や吉村知事を余りにも持ち上げるので、この2人をまるで「脱自民の救世主」みたいに錯覚している人が多いですが、こいつらも「自民党と似たり寄ったり」という意味では、前述の「希望の党」と同じです。もういい加減にしてほしいです。