「やめろ!安倍国葬9.9緊急アピール集会」に行って来ました。先週9月9日の金曜日18時半から大阪・天満橋の府立労働会館(エルおおさか)南館大ホールで開催された国葬反対の集まりです。会場には18時過ぎに着きました。まず入口で目に付いたのが次の説明書きです。「宗教法人法81条で、裁判所は公共の福祉を害する時は、所轄庁、検察の請求で解散を命じる事が出来る。なぜ解散させない?」統一教会は、これまで霊感商法で多大な被害者を生み出し、最高裁で不法行為の判決が確定しているのに、解散どころか逆に安倍政権下で家庭連合(世界平和統一家庭連合)への改称まで認められてしまいました。その結果、統一教会の影響力が政界中枢にまで広がり、宗教二世の山上徹也容疑者による安倍元首相銃撃事件を引き起こす事になってしまいました。統一教会は、別にわざわざ新法の反セクト法なぞ制定しなくても、現行法の範囲で十分規制できるのです。その後の自民党の党内アンケートで、党所属国会議員の少なくとも約半数が、統一教会に祝電やメッセージを送ったり、選挙で応援されたりしている事も明らかになりました。己の保身の為に、やるべき事をやらず、逆に反社会団体にお墨付きを与え、霊感商法の更なる被害拡大に加担してしまった自民党の罪は計り知れません。
集会は18時半きっかりに始まりました。その頃には、ホールの席はほとんど満席になっていました。今回の集会は、慰安婦問題や沖縄の基地問題、アイヌ先住民の生活権擁護、LGBT問題や非正規労働問題に取り組んで来られた団体が集まり、集会実行委員会形式で開催されました。その為、式次第も、それぞれの代表が5分間ずつ国葬反対をアピールする形で進められました。私は仕事帰りの疲れもあり、メモを取るのを怠ってしまいました。その為に、20名もの発言の詳細について、ここに完全な形で再現する事は出来ません。幸い、各団体からの挨拶が掲載されたパンフレットも参加者に配布されていたので、そのパンフレットを基に、集会に参加した感想を伝えようと思います。記憶違いや補足すべき点があればご指摘下さい。
まず最初の数名の発言者から指摘されたのが、今回の国葬と天皇制との関りです。安倍や統一教会との関りについては、今までもマスコミ報道などで散々指摘されて来ましたが、天皇制との関りについては、今まで余り指摘がなかったので、最初は奇異に感じました。でも、今までの国葬の歴史を振り返る中で、国葬が天皇制を補強する道具として機能してきた事が次第に明らかになりました。ウィキペディアによれば、明治以降に国葬された著名人は、皇族を除き次の9名です。伊藤博文、山県有朋、東郷平八郎、西園寺公望、松方正義、山本五十六、吉田茂、安倍晋三。うち松方より前は個別に国葬として葬られ、山本五十六は1926年公布の国葬令に沿って国葬が執行されました。戦後の吉田と安倍については、既に国葬令が失効していたので、吉田は国会の議決、安倍は閣議決定により国葬が行われる事になりました。特に安倍の国葬については、国会の議決すら経ずに一片の閣議決定だけで国葬が行われようとしています。権威付けの為に国葬が政治利用されたとの懸念を払拭する事が出来ません。
前述の9名は、いずれも安倍以外は歴史の教科書に載るような人物ばかりです。そして安倍も含めて全員に正一位や従一位の大勲位が与えられています。大勲位(大勲位菊花大綬章)とは天皇が国家功労者に与える勲章の一つで、内閣総理大臣よりも更に位が高いとされます。この点で、「同じ人間なのに、その死に優劣を付けるのは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するのではないか?」との指摘がされています。現に三浦瑠麗という評論家が、殉職自衛官の例を引いて「国葬とは政治そのものだ。国家功労者を国家が丁重に葬らなくてどうする?」という意味の事をツイッターで頻繁に呟いています。
これを森友事件被害者遺族の赤木雅子さんが聞いたら一体どう思うでしょうか?安倍のコロナ無策で殺された自宅療養者が聞いたら一体どう思うでしょうか?安倍政権が「働き方改革」の名で推進した「残業代不払い法案」によって過労死させられた女性社員、高橋まつりさんの遺族が聞いたら一体どう思うでしょうか?三浦瑠麗は、人間に優劣を付け、国家功労者のみを丁重に扱い、それ以外の人間は適当に葬られても仕方がないと言うのでしょうか?まるでナチスの優生思想そのものの差別思想の開陳に、怒りすら覚えます。戦時中もそうやって、「靖国神社に葬ってやるから」と騙されて、特攻作戦やガダルカナル、インパール戦線や沖縄戦で、大勢の兵士が見殺しにされました。
その上で今回の国葬です。統一教会は元々韓国の新興宗教であり、韓国が天国(エバの国)、日本は地獄(サタンの国)であるとされ、天皇ですら教祖の文鮮明からは下僕扱いされています。統一教会が自民党や靖国参拝の右翼に取り入り、家庭や親孝行を重視し、性教育や同性愛者を悪魔呼ばわりするのは、ひとえに自民党や右翼に良い顔をする為です。それを岸・安倍一家は百も承知で、統一教会を母体に勝共連合を結成し、反共の尖兵に仕立て上げて来ました。当の統一教会が、東西冷戦終結以降は、中国や北朝鮮にも進出し、イデオロギー抜きで各国の政権中枢に入り込んでいる事も知りながら。
普通に考えたら、統一教会は、共産党だけでなく自民党や右翼とも相いれない存在のはずです。ところが、安倍はそれをおくびにも出さず、選挙で当選する為なら、平気で統一教会の信者をボランティアとして受け入れて来ました。ボランティアなので当然、公職選挙法の規定にも引っかかりません。ただの支持者ならそれでも良いでしょう。しかし統一教会はそうではありません。霊感商法や信者洗脳・拉致監禁で数々の社会問題を引き起こして来た反社会的宗教カルトです。そのカルトに支配されながら、いかにも保守派気取りで愛国者ぶる。何故そんな「愛国詐欺師」に大勲位まで与えて国葬しなければならないのか?
三浦はそれに対して、「それが政治マター(案件)だ。時の政権が国家功労者として閣議決定までしたのだから、下々の人間はそれに素直に従え。それに異を唱えるなぞ生意気だ」と喚き散らし、国葬反対を嫉妬呼ばわりしているのです。「悔しかったら自分も国葬されるだけの身分になってみろ」と。自身は安倍に媚びへつらい、「桜を見る会」に招待された写真を自慢げにツイッターに投稿しながら。テレビドラマの水戸黄門は、悪人を懲らしめるために徳川将軍家の葵の御紋を振りかざしたが、三浦は逆に、悪をのさばらせる為に天皇家の菊の御紋を振りかざしているのです。何の事はない。いくら「人間天皇」「国民とともにある皇室」を装っても、皇室も結局はアベ政治を支える側の一つに過ぎませんでした。
それに対し、各団体の代表から5分間スピーチの形で、それぞれ異議表明がされました。沖縄・辺野古の米軍基地建設反対団体からは、「米軍が沖縄県民から銃剣とブルドーザーで土地を奪い作った普天間基地は、無条件返還されて然るべきなのに、それを辺野古移設(実態は新基地建設)の口実にして、安倍の見栄の為だけに、軟弱地盤の上に、沖縄戦の遺骨が混じった土砂を投入し、沖縄の自然を破壊して、際限のない埋め立て工事を続けている。この延長線上に、PCR検査軽視、科学無視のコロナ無策がある」との発言が為されました。
北海道アイヌ先住民の権利擁護の為に戦っている団体からは、「わが国固有の領土と言われる北方領土も、元はアイヌ先住民の土地だ。それを日本とロシアが奪い合って来た。どちらも先住民にとっては侵略者に過ぎない。日本政府は、いまだに先住民の遺骨を遺族に返さず、大学の研究材料や、慰霊名目の観光施設の展示品にしようとしている」との抗議の声が寄せられました。
安保法制を憲法違反として戦っている団体からは、「米国の戦争に自動参戦させられる安保法制は、憲法9条や専守防衛にも反する違憲の法律なのに、内閣法制局長官の首をすげ替え、言いなりになる長官の下で強行可決された。これはもう法治主義ではなく安倍個人による独裁、国家の私物化だ」という趣旨の発言がされました。
森友学園への国有地不当廉売の実態を明らかにした団体からは、「教育勅語や軍歌を推奨する為に、モデルとなる小学校に国有地を二束三文で叩き売ろうとした。その為に公文書まで改ざんし、それを苦にした公務員の自殺まで引き起こしながら、賠償だけで真実を闇に葬ろうとしている」と怒りの声が寄せられました。
過労死問題に取り組む遺族からは、自分たちの問題を散々「アベノミクスによる最賃引き上げ」「働き方改革」推進に利用しながら、「長時間労働規制だけでは逆にもっと働きたい人が困るから」との「真逆の論理」で、逆にいくら働いても残業代を払わなくてもよい悪法を国会で通過させてしまいました。雀の涙ほどの最賃引き上げと引き換えに。それに対する怒りの声が寄せられました。
原発に反対する団体からは、安倍政権が、福島原発の汚染水を薄めて海に垂れ流そうとしている事が告発されました。福島原発事故を巡っては、当時の民主党政権や菅直人首相だけを悪者にする議論が一部で横行しています。確かに、事故で右往左往するだけで、放射能汚染を少なく見せかけようとし、脱原発に舵を切れなかった民主党も悪いです。しかし、福島も含めた原発建設を推進し、老朽化した原発の稼働期間延長や、外国への原発輸出を推進しているのは、今も昔も自民党だったではありませんか。いくら二酸化炭素の排出量を削減しても、それ以上に害のある放射能や核のゴミを垂れ流していたのでは、地球環境にとって良くない事は明白なのに。
もはや嘘とデタラメのオンパレードではありませんか。歴代の自民党政権の中でも、これだけ日本の民主主義にダメージを与えてきた政治家は、もはや安倍しかいないのではないでしょうか。統一教会によって家庭崩壊させられた山上徹也容疑者も、元は安倍を支持するネトウヨ(ネット右翼)でした。そのネトウヨが、自分の崇拝していた安倍が実は統一教会の元締めだった事を知り、銃殺に及んだのです。私に言わすと、「身から出た錆」「自業自得」以外の何物でもありません。そんな奴を、よりによって「テロから民主主義を守り抜く」象徴として国葬にするとは。冗談にも程があります。
他にも一杯メッセージが寄せられましたが、書きだすとキリがないので、もうこれで止めておきます。集会の合間に、桜田淳子がかつて歌っていた「私の青い鳥」の替え歌が披露されました。非常によく出来た替え歌なので、ここで紹介しておきます。桜田淳子も、統一教会の信者にさえならなければ、後の二人の「華の中三トリオ」のように、きらびやかな人生を送る事が出来たのにと、悔やまれてなりません。
なんでも閣議 決定 決定
私は自民党
国会も 開かずに 決めてます
昭恵は私人 決定 決定
閣議が 開かれて
国葬も 税金で 開きます
どうぞ 聞かないで
このまま 何も
都合が悪いので
いちいち聞かずにいてね
決定 決定
決定 決定
閣議でね
この後、集会は各団体からの代表発言を全員終えて、集会決議を読み上げた後、全員で起立して、「やめろ!安倍国葬」「国葬NO!」と両面に書かれたプラカードを一斉に掲げて、20時半頃に閉会しました。参加者は全部で約250名との事でした。これから後も大阪を始め全国各地で国葬反対の集会やデモが行われる予定です。既に東京の国会前では毎週のように集会やデモが行われていると言います。その全てに参加する事は出来ませんが、出来る限り参加して、ここにその様子を報告していこうと決意を新たにしました。
昨今、日本の若者の「右傾化」「保守化」が叫ばれています。確かに今回の国葬でも、世論全体では既に反対が賛成を上回っていますが、20歳代の若い世代では賛成が多いようです。私は、この現象は別に「右傾化」でもなければ「保守化」でもないと思います。安倍や自民党の長期政権の下で、「もはや反対するよりも、うまく体制に順応しよう」とする、若者の処世訓に過ぎないと思います。若者が本当に保守化したなら、あんな韓国カルト言いなりの安倍政権を支持するはずありません。それを支持できると言うのは、たとえ相手が間違っていても、それに従う方が得だとする、打算的な損得勘定の発露に過ぎません。ネトウヨも、自分が本当に追い詰められたら、その中から、山上容疑者のように安倍を殺そうと思い詰める人間も出てくるでしょう。
この日本を、そんなサバイバルゲームのような荒涼、殺伐とした国にしてしまって、果たして良いのでしょうか?皆さんは、私と安倍の、どちらが本当の愛国者だと思われるでしょうか?少なくとも私は、安倍なんかよりも私の方が、はるかに愛国的だと自負しています。「自分さえ良ければそれで良し」「たとえ正しくなくても、自分が得になるならそちらを支持する」そんな国民ばかりでは、中国や北朝鮮に支配される前に、自滅してしまいます。中国や北朝鮮が攻めてくると心配する前に、自分の国をもっと良くする事を考えるのが先だと思います。