今回の大阪府知事選挙は、やはり下馬評通り橋下徹氏が当選しました。しかし、まさか20時の投票締め切り後僅か4分で最初の当確のニュースが流れるとは、思ってもみませんでした。余りにも当確が出るタイミングが早すぎるので、一瞬出来レースを疑ったぐらいです。何でも、投票所での出口調査の結果によって、既に早い段階から橋下に当確が出ていたとの事です。
それを受けて、マスコミでは「お笑い票が橋下当選を押し上げた」みたいな報道が為されていますが(例:28日付毎日新聞)、私は「これは少し違うのではないか」という気がします。何故ならば、今回の橋下氏の得票は、確かに民主党推薦候補の熊谷氏の得票をダブルスコアに近い形で上回っていますが、この前の参院選比例区の大阪府下での与党合計票と比べれば、僅か21万票余り上回っているだけだからです。そして何よりも、前回知事選よりも投票率が上回ったとは言え、それでも5割以上の有権者が棄権に回っているからです。
それとは対照的なのが、民主党などが推薦した熊谷候補の得票です。こちらの方は、政党が全面に出て戦ったにも関わらず、参院選比例区の得票から68万票余りも減らしています。事実、民主党支持層の約4分の1が橋下氏に流れました。それに対して橋下氏の方は、勝つには勝ちましたが、自陣営の票を固めて一定の上乗せがされた程度に終わっています。これは圧勝ではなく「普通の勝ち方」にしか過ぎません。熊谷陣営が全然票を固める事が出来ずにボロ負けしたから、圧勝したように見えるだけなのです。
そして、投票率こそ前回知事選比で8.46ポイント上昇したものの、それでも有権者の半数以上が今回も棄権に回りました。この棄権層の中には、ミーハーだけでなく、「劇場政治批判票」もかなり含まれている様に思えます。実際、自分の身の回りにもいるこれらの人たちの中には、「橋下って何か軽いし、おちゃらけた感じで、余り府政の事など考えていないのでは?」という人も結構いましたから。実はこれらの人たちは、橋下の胡散臭さも、熊谷の公約が財界寄りで、自民党・関西財界が実は橋下と熊谷の両方に二股を掛けていた事も、理屈ではなく庶民の皮膚感覚で感じとっていたのではないでしょうか。だから橋下にも入れずに棄権に回ったのです。(以上、下記参考資料参照)
では何故これらの棄権層が動かず、熊谷氏や梅田氏に投票しなかったのか。それは両氏とも「旧来型の政治家」のイメージを払拭出来なかったからに他なりません。
熊谷氏について言えば、以前の記事にも書いた通り、基本的には関西財界の本命候補にしか過ぎません。自民・公明も本音では熊谷氏を推したかったのでしょうが、ここで安直に民主党に相乗りして不戦敗に終わったのでは、与党の権威は更に地に落ち、到底次の総選挙は戦えない。だから知名度に勝る橋下氏を引っ張り出してきたのでしょう。
共産党推薦の梅田氏について言えば、確かに有力3候補の中では一番公約がしっかりしています。後の2候補みたいに客寄せパンダみたいな公約で誤魔化すのではなく、大型開発や予算の問題もきちんと指摘しています。だから私も支持したのですが、しかし如何せん、無党派からすれば、やっぱり従来型の党人候補でしかないのです。「真面目さは認める、だけど勝てないでしょ」で終わり。
橋下は確かに何か胡散臭い。でも熊谷も自民党と似たり寄ったりで、梅田も良い事言っていても所詮は共産党、どちらも従来型の政治家でしかない。それならば、未知数で確かに胡散臭いけれど、若くて何かやってくれそうな橋下に一縷の望みを託そうか。確かにバックについているのは自民党だが、彼なら是々非々を貫いてくれるだろう・・・無党派の人が抱く今回の選挙のイメージは、大方こんな所ではないでしょうか。それを与党は上手く利用したのです。長年政権についているだけあって、狡猾さにおいては野党の比ではありません。
だから、今回は民主党・共産党の戦術負けです。橋下はその敵失に助けられて逃げ切ったに過ぎません。橋下への風も確かに少しは吹きましたが、決して無党派が押し上げた訳ではありません。野党が今までの殻を打ち破りさえすれば、決して勝てない相手ではないのです。
民主党は自民党の物真似など止めて、もっと野党色・革新色・対決色を鮮明にする事です。自党の政権獲得だけに汲々として自民党との裏取引に走るのではなく、自民党の悪政に対する国民の怒りにもっと本気で向き合う事が、この党には求められています。若し本気で向き合っていたならば、今回の様な「告示間際になってやっと即席候補を立てる」愚は犯さなかった筈です。
共産党は「真面目さ」だけに安住するのではなく、もっと良い意味で「ずる賢く」なる事。この党はよく「与党の横暴にしてやられた」という批判をしますが、そんなに与党が横暴なのが分かっていて、何故十年一日の如く「真面目一辺倒」の選挙戦術に固執しているのかが、全然分からない。相手がネオナチみたいなタレント候補を擁立してきたら、こちらも反自民・反ネオナチ・反格差社会のタレント(有名人)候補を擁立すれば良いじゃないか。それで眠っている無党派層・棄権層を立ち上がらせてこそ、本当の多数者革命であり革新統一戦線ではないのか。
まあ橋下は所詮タレント弁護士で、それが周回遅れの小泉チルドレンとして当選してきただけです。どう見ても大阪府政に一見識ある人物には見えないし、石原慎太郎ほど詐術に長けているようにも見えません。政治家としては小物の部類に属する。案外近いうちに、下ネタか差別発言で馬脚を現して、最後は安倍と同じ末路を辿るんじゃあないですか。それを私は密かに期待しているのですが。
(参考資料)
●今回(2008年1月27日投票) 参院比例区票との対比
無所属 橋下 とおる 1,832,857 +214,185
無所属 熊谷 さだとし 999,082 -686,418
無所属 梅田 章二 518,563 + 41,905
無所属 高橋 正明 22,154
無所属 杉浦 清一 20,161
合計 3,392,817 -446,469
開票率(%) 100.00
投票率(%) 48.95
●参院比例区・大阪府計(2007年7月29日投票、按分票切捨て)
自民党 885,294
公明党 721,848
維新政党・新風11,530 橋下系計 1,618,672
民主党 1,312,016
社民党 156,149
新党日本 134,531
国民新党 82,804 熊谷系計 1,685,500
共産党 461,706
9条ネット 14,952 梅田系計 476,658
女性党 49,189
共生新党 9,264
合計 3,839,286
開票率(%) 100.00
投票率(%) 55.80
http://www.pref.osaka.jp/senkan/
それを受けて、マスコミでは「お笑い票が橋下当選を押し上げた」みたいな報道が為されていますが(例:28日付毎日新聞)、私は「これは少し違うのではないか」という気がします。何故ならば、今回の橋下氏の得票は、確かに民主党推薦候補の熊谷氏の得票をダブルスコアに近い形で上回っていますが、この前の参院選比例区の大阪府下での与党合計票と比べれば、僅か21万票余り上回っているだけだからです。そして何よりも、前回知事選よりも投票率が上回ったとは言え、それでも5割以上の有権者が棄権に回っているからです。
それとは対照的なのが、民主党などが推薦した熊谷候補の得票です。こちらの方は、政党が全面に出て戦ったにも関わらず、参院選比例区の得票から68万票余りも減らしています。事実、民主党支持層の約4分の1が橋下氏に流れました。それに対して橋下氏の方は、勝つには勝ちましたが、自陣営の票を固めて一定の上乗せがされた程度に終わっています。これは圧勝ではなく「普通の勝ち方」にしか過ぎません。熊谷陣営が全然票を固める事が出来ずにボロ負けしたから、圧勝したように見えるだけなのです。
そして、投票率こそ前回知事選比で8.46ポイント上昇したものの、それでも有権者の半数以上が今回も棄権に回りました。この棄権層の中には、ミーハーだけでなく、「劇場政治批判票」もかなり含まれている様に思えます。実際、自分の身の回りにもいるこれらの人たちの中には、「橋下って何か軽いし、おちゃらけた感じで、余り府政の事など考えていないのでは?」という人も結構いましたから。実はこれらの人たちは、橋下の胡散臭さも、熊谷の公約が財界寄りで、自民党・関西財界が実は橋下と熊谷の両方に二股を掛けていた事も、理屈ではなく庶民の皮膚感覚で感じとっていたのではないでしょうか。だから橋下にも入れずに棄権に回ったのです。(以上、下記参考資料参照)
では何故これらの棄権層が動かず、熊谷氏や梅田氏に投票しなかったのか。それは両氏とも「旧来型の政治家」のイメージを払拭出来なかったからに他なりません。
熊谷氏について言えば、以前の記事にも書いた通り、基本的には関西財界の本命候補にしか過ぎません。自民・公明も本音では熊谷氏を推したかったのでしょうが、ここで安直に民主党に相乗りして不戦敗に終わったのでは、与党の権威は更に地に落ち、到底次の総選挙は戦えない。だから知名度に勝る橋下氏を引っ張り出してきたのでしょう。
共産党推薦の梅田氏について言えば、確かに有力3候補の中では一番公約がしっかりしています。後の2候補みたいに客寄せパンダみたいな公約で誤魔化すのではなく、大型開発や予算の問題もきちんと指摘しています。だから私も支持したのですが、しかし如何せん、無党派からすれば、やっぱり従来型の党人候補でしかないのです。「真面目さは認める、だけど勝てないでしょ」で終わり。
橋下は確かに何か胡散臭い。でも熊谷も自民党と似たり寄ったりで、梅田も良い事言っていても所詮は共産党、どちらも従来型の政治家でしかない。それならば、未知数で確かに胡散臭いけれど、若くて何かやってくれそうな橋下に一縷の望みを託そうか。確かにバックについているのは自民党だが、彼なら是々非々を貫いてくれるだろう・・・無党派の人が抱く今回の選挙のイメージは、大方こんな所ではないでしょうか。それを与党は上手く利用したのです。長年政権についているだけあって、狡猾さにおいては野党の比ではありません。
だから、今回は民主党・共産党の戦術負けです。橋下はその敵失に助けられて逃げ切ったに過ぎません。橋下への風も確かに少しは吹きましたが、決して無党派が押し上げた訳ではありません。野党が今までの殻を打ち破りさえすれば、決して勝てない相手ではないのです。
民主党は自民党の物真似など止めて、もっと野党色・革新色・対決色を鮮明にする事です。自党の政権獲得だけに汲々として自民党との裏取引に走るのではなく、自民党の悪政に対する国民の怒りにもっと本気で向き合う事が、この党には求められています。若し本気で向き合っていたならば、今回の様な「告示間際になってやっと即席候補を立てる」愚は犯さなかった筈です。
共産党は「真面目さ」だけに安住するのではなく、もっと良い意味で「ずる賢く」なる事。この党はよく「与党の横暴にしてやられた」という批判をしますが、そんなに与党が横暴なのが分かっていて、何故十年一日の如く「真面目一辺倒」の選挙戦術に固執しているのかが、全然分からない。相手がネオナチみたいなタレント候補を擁立してきたら、こちらも反自民・反ネオナチ・反格差社会のタレント(有名人)候補を擁立すれば良いじゃないか。それで眠っている無党派層・棄権層を立ち上がらせてこそ、本当の多数者革命であり革新統一戦線ではないのか。
まあ橋下は所詮タレント弁護士で、それが周回遅れの小泉チルドレンとして当選してきただけです。どう見ても大阪府政に一見識ある人物には見えないし、石原慎太郎ほど詐術に長けているようにも見えません。政治家としては小物の部類に属する。案外近いうちに、下ネタか差別発言で馬脚を現して、最後は安倍と同じ末路を辿るんじゃあないですか。それを私は密かに期待しているのですが。
(参考資料)
●今回(2008年1月27日投票) 参院比例区票との対比
無所属 橋下 とおる 1,832,857 +214,185
無所属 熊谷 さだとし 999,082 -686,418
無所属 梅田 章二 518,563 + 41,905
無所属 高橋 正明 22,154
無所属 杉浦 清一 20,161
合計 3,392,817 -446,469
開票率(%) 100.00
投票率(%) 48.95
●参院比例区・大阪府計(2007年7月29日投票、按分票切捨て)
自民党 885,294
公明党 721,848
維新政党・新風11,530 橋下系計 1,618,672
民主党 1,312,016
社民党 156,149
新党日本 134,531
国民新党 82,804 熊谷系計 1,685,500
共産党 461,706
9条ネット 14,952 梅田系計 476,658
女性党 49,189
共生新党 9,264
合計 3,839,286
開票率(%) 100.00
投票率(%) 55.80
http://www.pref.osaka.jp/senkan/
との事ですが、国政選挙の選挙区選挙で「共産党はいい事言うけど力がない」とも言われているし、「共産党に入れても勝てるわけがないから…」といった理由で応援されている民主党こそ「政権交代」を声高に叫ぶ政党として空(むな)しくないですか?と言いたいですね(笑)。
>まあ橋下は所詮タレント弁護士で、それが周回遅れの小泉チルドレンとして当選してきただけです。…案外近いうちに、下ネタか差別発言で馬脚を現して、最後は安倍と同じ末路を辿るんじゃあないですか。
私もそうなると予想します。っていうか、彼は4年も持つとは考えていません(笑)。しかし、「周回遅れの小泉チルドレン」とは貴方もなかなか上手いこと言いますね。
~たしかな野党 支え続けて 上げ潮めざす!~