ウチの会社が元請の顔色ばかり伺って従業員の安全や健康を顧みず、法の上に胡坐をかいて「違法でさえなければどんなに搾取しても構わない」との態度に出てくる以上、こちらも自分の身を守るべく、法を盾に順法(残業拒否)闘争に決起する事にした。しかし、何やるにしても、生きていくためにはカネは必要だ。という事で、今日一日有休を取って、減収分補填のために副業バイトの面接に臨む事にした。
まずは上記の例の「あやしい求人」から。ここの面接は午前11時から大阪・ミナミ某ターミナル付近にある雑居ビル2階の事務所であった。尤も、より正確には雑居ビルではなくマンションだろうが。何故なら、オフィスとして使用されていたのはエレベーター各階横の一室だけで、後はもう吹き抜けのフロアに分譲住宅が立ち並んでいたから。しかも、オフィスも入居しているにも関わらず、ご丁寧にも入り口はオートロック。
そんなマンションだか雑居ビルだかの、外から寒風が容赦なく入り込むエントランスに、私も含めて10人ほどの応募者が30分近くも待たされたのだ。まさか入社してもこんな扱いを受けるのではないだろうな。
そうこうしているうちに11時が来て、応募者が事務所に招き入れられた。事務所は土足厳禁で全員靴を脱いでソファーに座らされた。スリッパの類もなく靴下のまま。小さな事務所でソファーにも全員が座れなかったので、室内をカーテンで仕切って5人ずつ二手に分かれて面接が始まった。
最初に、会社の事業内容についての説明が社員からあった。ネクタイを締めて作業服姿の恰幅のよいオッサンが、あれこれと説明。それによると「営業会社でホームセキュリティ関係の商品を扱ってはいるが、営業は正社員がやるので、みなさんはアンケート回収に専念して欲しい」「3人1組でチームを組んでの直行直帰で、残業も一切なし」「但しあくまでも対面業務なので、恥ずかしくない身なりで仕事に励んで欲しい」との事。どうやら飛び込み営業をやらされる事はないようだ。
その次に自己申告アンケートを各自書かされた。そのアンケートには、勤務可能な曜日・時間帯や、希望する収入、応募動機などの項目に混じって、説明の疑問点や、自分の「正義感・責任感・やる気度」などを自己申告する欄まであった。この会社では、どうやら応募アンケートの回収も仕事としてやっているようだ。
そして最後に質疑応答。履歴書と先ほど出した自己申告アンケートを基に、社員が応募者に質問を投げかけ、応募者からの質問も同時に受け付けるという流れになった。私は「本業勤務先の翌月度の出勤シフトがまだ未定なので、今月度最終の日曜日は空いているが、それ以降はシフト決定後でしか返事できない」旨を伝え、幾つか質問させて貰った。多分、応募者の中で私が一番よく質問したのではないか。
質問は二つ。一つは、アンケート回収のみで日給1万2千円以上も弾める理由如何。「どう考えても話が上手過ぎる、必ず裏があるに違いない」という懸念が最後まで払拭出来なかったので。質問の二つ目は留守対策。今や専業主婦よりも共働き家庭の方が圧倒的に多く、平日の昼間に訪問しても8割方不在なのに、どうやってアンケートに応えて貰えるのか。
それに対する回答は、一つ目には「数をこなす事で充分ペイ出来る」、二つ目には「残り2割の在宅データでも塵と積もれば山となる」というものだった。どうも抽象的な回答の域を出ないが、それでもまあ「ノルマもないし、最初からいきなりダメと決め付けて首を切ったりもしない」とは言っていたので、一応好しとするか。
合否連絡は、採用者についてのみ明日午後1時に連絡が入るとの事。念のために、同じ今日の夕方に、また別の会社の面接も滑り止めに受けてみる事にした。しかし、若しこちらで採用されれば受けてみようと思う。何といっても高時給だし、いつまでも肉体労働ばかりやってられる歳でもないと思うので。
但し、今はまだ本業もある事だし、そこまでしてまで、こんな胡散臭い副業に、無理に固執する気はない。だから、ダメモトのつもりで質問を何度も繰り返したのだ。「それでも若し受かったら、それも好いかな」と。あくまでも、それぐらいの気持ちでいる。
そしてこちら(上記の求人広告)が、その滑り止めの派遣会社のもの。こちらは大阪キタから程遠くない下町の一角にあった。
しかし、職種として3つほど書き並べているが、こちらもやはり応募者を確保するための単なるエサでしかなかった。今日はこの派遣会社にスタッフ登録しただけで終わる。これも翌月度の本業出勤日程さえ決まっておれば、仕事自体はあるので今日から紹介して貰えたのだが。
でも、今さらまた前日コール・当日出発コール・到着始業コール・終業コールに、作業確認票の記入・提出と、二度手間・三度手間を味わうのも、何だかなあ。それにこの派遣会社、何と数年前に俺に暴行を加えた森何とかいう奴がいた派遣会社の系列企業で、ネットでも悪い噂がチラホラ流れていた。登録手続き中の社内の雰囲気も、軽薄な感じのBGMが室内に流れ、奥では体育会系と思しき管理職の罵声電話も聞こえてきたりと、まるでバブル時代の中小サラ金の社内風景を彷彿させるような感じで。
おまけに、求人誌に掲載していた地図もデタラメだったし(普通は上が北なのに、この地図は右が北で、しかも何の断りも無かったので、道に迷いまくってしまった)。こちらはあくまで滑り止めという事で、派遣登録だけに止めておく事にする。
↑正に「21世紀の蟹工船」とも言うべき書。しかも原作「蟹工船」よりもずっと読みやすい。
中でも表題作と「千川フォールアウト・マザー」「池袋クリンナップス」が特にお薦め。マコトやGボーイズが発する何気ない言葉の数々が、そっくりそのまま、政府・財界が進める弱肉強食資本主義への強烈なアンチテーゼとなっている。
まずは上記の例の「あやしい求人」から。ここの面接は午前11時から大阪・ミナミ某ターミナル付近にある雑居ビル2階の事務所であった。尤も、より正確には雑居ビルではなくマンションだろうが。何故なら、オフィスとして使用されていたのはエレベーター各階横の一室だけで、後はもう吹き抜けのフロアに分譲住宅が立ち並んでいたから。しかも、オフィスも入居しているにも関わらず、ご丁寧にも入り口はオートロック。
そんなマンションだか雑居ビルだかの、外から寒風が容赦なく入り込むエントランスに、私も含めて10人ほどの応募者が30分近くも待たされたのだ。まさか入社してもこんな扱いを受けるのではないだろうな。
そうこうしているうちに11時が来て、応募者が事務所に招き入れられた。事務所は土足厳禁で全員靴を脱いでソファーに座らされた。スリッパの類もなく靴下のまま。小さな事務所でソファーにも全員が座れなかったので、室内をカーテンで仕切って5人ずつ二手に分かれて面接が始まった。
最初に、会社の事業内容についての説明が社員からあった。ネクタイを締めて作業服姿の恰幅のよいオッサンが、あれこれと説明。それによると「営業会社でホームセキュリティ関係の商品を扱ってはいるが、営業は正社員がやるので、みなさんはアンケート回収に専念して欲しい」「3人1組でチームを組んでの直行直帰で、残業も一切なし」「但しあくまでも対面業務なので、恥ずかしくない身なりで仕事に励んで欲しい」との事。どうやら飛び込み営業をやらされる事はないようだ。
その次に自己申告アンケートを各自書かされた。そのアンケートには、勤務可能な曜日・時間帯や、希望する収入、応募動機などの項目に混じって、説明の疑問点や、自分の「正義感・責任感・やる気度」などを自己申告する欄まであった。この会社では、どうやら応募アンケートの回収も仕事としてやっているようだ。
そして最後に質疑応答。履歴書と先ほど出した自己申告アンケートを基に、社員が応募者に質問を投げかけ、応募者からの質問も同時に受け付けるという流れになった。私は「本業勤務先の翌月度の出勤シフトがまだ未定なので、今月度最終の日曜日は空いているが、それ以降はシフト決定後でしか返事できない」旨を伝え、幾つか質問させて貰った。多分、応募者の中で私が一番よく質問したのではないか。
質問は二つ。一つは、アンケート回収のみで日給1万2千円以上も弾める理由如何。「どう考えても話が上手過ぎる、必ず裏があるに違いない」という懸念が最後まで払拭出来なかったので。質問の二つ目は留守対策。今や専業主婦よりも共働き家庭の方が圧倒的に多く、平日の昼間に訪問しても8割方不在なのに、どうやってアンケートに応えて貰えるのか。
それに対する回答は、一つ目には「数をこなす事で充分ペイ出来る」、二つ目には「残り2割の在宅データでも塵と積もれば山となる」というものだった。どうも抽象的な回答の域を出ないが、それでもまあ「ノルマもないし、最初からいきなりダメと決め付けて首を切ったりもしない」とは言っていたので、一応好しとするか。
合否連絡は、採用者についてのみ明日午後1時に連絡が入るとの事。念のために、同じ今日の夕方に、また別の会社の面接も滑り止めに受けてみる事にした。しかし、若しこちらで採用されれば受けてみようと思う。何といっても高時給だし、いつまでも肉体労働ばかりやってられる歳でもないと思うので。
但し、今はまだ本業もある事だし、そこまでしてまで、こんな胡散臭い副業に、無理に固執する気はない。だから、ダメモトのつもりで質問を何度も繰り返したのだ。「それでも若し受かったら、それも好いかな」と。あくまでも、それぐらいの気持ちでいる。
そしてこちら(上記の求人広告)が、その滑り止めの派遣会社のもの。こちらは大阪キタから程遠くない下町の一角にあった。
しかし、職種として3つほど書き並べているが、こちらもやはり応募者を確保するための単なるエサでしかなかった。今日はこの派遣会社にスタッフ登録しただけで終わる。これも翌月度の本業出勤日程さえ決まっておれば、仕事自体はあるので今日から紹介して貰えたのだが。
でも、今さらまた前日コール・当日出発コール・到着始業コール・終業コールに、作業確認票の記入・提出と、二度手間・三度手間を味わうのも、何だかなあ。それにこの派遣会社、何と数年前に俺に暴行を加えた森何とかいう奴がいた派遣会社の系列企業で、ネットでも悪い噂がチラホラ流れていた。登録手続き中の社内の雰囲気も、軽薄な感じのBGMが室内に流れ、奥では体育会系と思しき管理職の罵声電話も聞こえてきたりと、まるでバブル時代の中小サラ金の社内風景を彷彿させるような感じで。
おまけに、求人誌に掲載していた地図もデタラメだったし(普通は上が北なのに、この地図は右が北で、しかも何の断りも無かったので、道に迷いまくってしまった)。こちらはあくまで滑り止めという事で、派遣登録だけに止めておく事にする。
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↑正に「21世紀の蟹工船」とも言うべき書。しかも原作「蟹工船」よりもずっと読みやすい。
中でも表題作と「千川フォールアウト・マザー」「池袋クリンナップス」が特にお薦め。マコトやGボーイズが発する何気ない言葉の数々が、そっくりそのまま、政府・財界が進める弱肉強食資本主義への強烈なアンチテーゼとなっている。
そりゃあ、そうですわね。いつシフトに入れるか分からないような人では、企業としても採用し辛いのは当然でしょう。たとえ次のシフト未定が現勤務先の都合によるものであっても、そんな都合なぞ採用側にとっては与り知らぬ事。しかも、最初から採用側の姿勢を疑ってかかって、企業を「敵地」呼ばわりするような人では、向こうも採り辛いですわね。
でも、これで逆に好かったのかも。下手に色気づいて、欲に絡んで入り込んでも、入り込んだ先がブラック企業だったら、何してる事か分からないですから。そんな事をするぐらいなら、順法闘争なぞ止めて、今の境遇に甘んじていた方がまだマシです。