米大統領選の選挙人獲得状況。左が2008年、右が2016年。08年には青色(民主党オバマ支持)だった五大湖沿岸の工業地帯が悉(ことごと)く赤色(共和党トランプ支持)に塗り替わった事が分かる。もし民主党大統領候補がクリントンではなくサンダースだったら、この様な事にはならなかったのではないか?
(注)左からクリントン、トランプ、予備選挙で民主党候補の座を最後までクリントンと争ったサンダース。サンダースは、資本主義の牙城アメリカで社会主義者である事を敢えて名乗り、格差是正や給付型奨学金制度の拡充を訴えて若者の心をとらえた。
トランプが弱者の味方だと?NY一の不動産王、新興成金そのもので、経済政策もアベノミクスの引き直し。タックスヘイブンへの税逃れも華麗な節税と居直る。これの一体どこが弱者の味方か?トランプは立派な資本家階級の一員。彼に投票した白人貧困層は騙されて肉屋に投票してしまった豚みたいな物だ。
米大統領選と日本の都知事選。国こそ違えど選挙戦の構図は瓜二つ。米国は、サンダースでは勝てないとクリントンに一本化したのに貧困層の票はトランプに流出。日本も、宇都宮では勝てないと鳥越に一本化したのに小池に流出。格差批判票が左派ではなく極右に流れ、更に弱肉強食が強まる。何という皮肉か
残念ながら左派の中にもトランプ待望論があるのは事実。「トランプも反TPPで米軍撤退を望んでいる」と。でも、彼の根底にあるのはあくまで米国中心主義。だから実際の言動は「移民排斥、女性差別、核武装肯定」と、排外主義のオンパレード。こんな「米国の橋下徹」みたいな奴に何を期待するのか?
靖国参拝反対も米国頼み。憲法擁護も天皇発言頼み。こんな他力本願ではいけない。トランプなんかに期待している暇があるなら、左派リベラルとして「今、一体何が出来るのか?」を、もっと真剣に模索すべきでは?南米やギリシャ、スペインでの左派躍進も、そうやって初めて実現できたのではないか?
以上。ツイッターでの私のつぶやきを、そのままブログに載せたのでは印刷レイアウトが崩れてしまうので、画像の地図とツイートの文章をそれぞれ個別にコピーペーストした。
ついでに、これもコピーペースト。ハフィントンポストからの引用で、「華氏911」で痛烈にブッシュを批判した米国の映画監督マイケル・ムーアが言った「選挙に負けた今やるべき5つの事」。ムーアの「民主党、共和党、オバマ、トランプ、選挙人団」等々の文言を、日本の「民進党、自民党、鳩山、安倍、小選挙区制」等々に置き換えても、そのまま通用する内容だ。彼は米大統領選向けに「マイケル・ムーアのトランプランド」という反トランプの映画まで作ったそうだ。早く日本でも劇場公開してほしい。
(注)選挙人団:米国の大統領選挙は間接選挙制で、有権者は選挙人しか選べない。その選挙人が大統領候補に投票する仕組みになっている。投票場まで何日もかかって歩かなければたどり着けなかった18世紀の名残をまだ引きずっているのだ。おまけに、ほとんどの州で、一人でも多くの選挙人を獲得した候補が、州全体の選挙人を獲得できる「勝者総取り方式」を採用してしまっている為に、実際には得票では負けていながら、選挙人の数では勝っている為に当選してしまう逆転現象が、今までも繰り返されてきた。マスコミが何かともてはやす米国だが、民主主義と言う点では決して先進国ではないという事は、読者も肝に銘じておくべきだろう。
実際に米国市民は、選挙後も意気消沈する事無く、このマイケル・ムーアの言葉通りに、反トランプの抗議デモに続々と立ち上がっている。「アメリカ様のご命令だからTPP批准を」と迫る安倍に対して、「トランプ様も反対だからTPP批准撤回を」としか言えない山本太郎(自由党)や志位和夫(共産党)の他力本願と、何という違いか!勿論、「バスに乗り遅れるな」とばかりに安倍自民になびく奴隷・社畜どもや、棄権という形で安倍のペテンを黙って見過ごす怠け者どもは、もはや論外だが。
「一夜明けた朝のToDoリスト」
1. 民主党を乗っ取ろう。そして人々の手に戻すんだ。民主党の奴らは、我々の期待に情けないほど応えられていない。
2. 評論家や予想屋、世論調査員、その他メディアの中で、自分の考えを変えず、実際に起こっていることに目を向けようとしない奴らを首にしよう。偉そうに話をしていた奴らが今、「分裂した国を癒そう」とか「一つになろう」と俺たちに言うんだ。そんなクソ発言を、奴らはこれからもずっと言い続けるだろう。黙らせよう。
3. この8年間、オバマ大統領と闘い、抵抗し、闘ってきた共和党議員のように、これから闘う気概を持って今朝目覚めなかった民主党の国会議員は出ていけ。そのかわりに、これから始まる野蛮や狂気を止められる術を知っている奴らを、俺たちのリーダーにするんだ。
4. 「驚愕の結果だ」とか「ショックだ」と嘆くのをやめよう。そんな風に言ったって、自分の世界に閉じこもって、他のアメリカ人や彼らの絶望に目を向けていないだけだ。民主党・共和党の両方に無視された人たちの、既存のシステムに対する復讐心や怒りが大きくなっている。そこに現れたのが、両方の党をぶちこわして「お前はクビだ」というテレビスターだ。トランプが勝ったのは驚きじゃない。奴はただのジョークじゃなかったんだ。そして、支持を得て強くなっている。メディアに住む生き物で、メディアが作り上げた生き物だ。メディアは決してそれを認めないだろうが。
5. 今日会う人全員に、こう言わなきゃいけない。「得票数は、ヒラリー・クリントンの方が多かったんだ!」過半数のアメリカ人は、ドナルド・トランプじゃなくてヒラリー・クリントンを選んだ。以上。それが事実だ。今朝目覚めて「自分は最低の国に住んでいる」と思ったのであれば、それは間違いだ。過半数のアメリカ人は、ヒラリーの方が良かったんだ。トランプじゃない。彼が大統領になった、ただ一つの理由は、18世紀に作られた、難解でおかしな「選挙人団」と呼ばれるシステムだ。これを変えない限り、自分が選んでない、望んでもいない奴が大統領になる。この国に住んでいる人の多数が、気候変動を信じ、女性は男性と同じ賃金を払われるべきだと考え、借金をせずに大学に行くこと、他の国に武力侵攻しないこと、最低賃金を上げること、国民皆保険に賛成している。それは何一つ変わっていない。我々は、多数が“リベラル”な考えを支持する国に住んでいる。ただ、それを実現させるリベラルなリーダーがいないのだ(#1に戻って欲しい)。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/09/michael-moores-5-point-morning-after-to-do-list_n_12891776.html
新自由主義で貧困層が増える
↓
極右が没落した中産階級を煽る
↓
さらに新自由主義は終わるがさらに右傾化する
こうした悪循環を止める存在こそ、左翼やリベラルであるべきだと考えますね。
記事の中にある「トランプに期待する左派」というのもよく見かけますが、はっきり言って目障り。
自称するのをやめさせるのは無理ですが、できれば左派の看板を下して「国家社会主義者」でも名乗って欲しいですね。
右派の連中からは「サヨク得意の内ゲバが始まった」とか言われそうですが、あんな資本家で差別的でカスとしか言いようのない奴に期待する人を同志とか同盟者とは思えないし、思いたくもない。
それにしても、フランスのルペン、日本の安倍や橋下、アメリカのトランプと、大国の右翼政治家は揃いも揃って夜郎自大な奴ばかり。同じナショナリストでも、社会民主主義的な国造りを目指すスコットランドやカタロニアの政治家と比べると、その違いに歴然とします。
「負け」認めぬ野心の実業家=トランプの実像(時事通信)
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%e3%80%8c%e8%b2%a0%e3%81%91%e3%80%8d%e8%aa%8d%e3%82%81%e3%81%ac%e9%87%8e%e5%bf%83%e3%81%ae%e5%ae%9f%e6%a5%ad%e5%ae%b6%ef%bc%9d%e3%83%88%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%97%e3%81%ae%e5%ae%9f%e5%83%8f/ar-AAkic3E?ocid=st#page=2
>フレッド氏(注:トランプの父親)はトランプ少年に非情なまでの競争心、闘争心を持てと教え、「食う側」「王」になれと言い聞かせたとされる。「いじめっ子体質で暴力的な少年になったのも当然かもしれない」。
これなぞ、漫画「闇金ウシジマ君」に登場する主人公の闇金が作品の中でほざいた次の台詞にそっくり。「労働者は資本家に搾取され、小国は大国に搾取される。獲られる位なら俺は獲る方に回る!」
>自伝によれば、トランプ氏は小学生の時、音楽教師を殴ったことがあるという。「音楽のことを何も知らないくせに」と教師に反発したのが理由だった。「小学1年生のころの自分も今の自分も基本は同じ。性格はそれほど変わっていない」。
>素行不良のトランプ少年は13歳の時、父の意向で軍隊式教育で知られる全寮制私学ニューヨーク・ミリタリー・アカデミーに転入させられた。体罰が日常茶飯事で、トランプ氏は「生き残ることを学ばねばならなかった」と振り返っている。同氏の特質の一つに「権威主義への傾倒」を指摘する声があるが、スパルタ教育が影響しているとも考えられる。
これも、ヤンキー・ネトウヨ政務官の義家何某や戸塚ヨットスクールの暴力教官とそっくり。
トランプってわりと可哀想な生い立ちなんですねえ。全く同情しませんが(笑)
酒もタバコもコーヒーもやらないと聞いて「ヒトラーみたいだな」と思ったり、自分の吐いた暴言を批判するメディアに逆ギレしたり、自分への抗議デモを左翼の陰謀(しかもソースはネット)とか言っててまるでネトウヨみたいな奴だなと思いましたね。
誰だったか忘れましたが、確か20世紀のマルキストの本にこんなことが書いてありました。
資本主義の矛盾が隠しきれなくなると人々は体制に不満を持つようになる。そうなれば革命はすぐそこだ。しかし、そういう革命的な情勢では革命から反革命へとあっさり転落する。極右ファシストに警戒せよ! 奴らは我々からスローガンも政策も盗むから、と。
以前読んだ時は、右と左を行ったり来たりするようなバカなんてそんなに居ないだろう、と思いましたがバカは俺だった・・・
トランプ大統領誕生に左派の一部がそれを好意的に見る阿呆がいるのを見るとウンザリします。
白人至上主義者たちに迫害される恐怖に怯えるアメリカの人々のことを思えば、トチ狂ってもトランプの勝利を喜べないし「ヒラリーよりマシ」などとは言えません。ヒラリーは腐った政治家だったかもしれないけど、少なくとも有色人種やムスリムを殺せだの叩き出せだの言わなかった。当たり前ですけどね。
積極的にか消極的にかトランプを支持する人々の合言葉は「反エスタブリッシュメント」ですが、それは良いんだけど右からのそれはただの排外主義ですからね。話にならない。左派の反エスタブリッシュメントや反グローバリズムのイメージが悪化しない事を祈ります。
暗い気分になりっぱなしですが、反トランプ運動は鎮まるどころか過激化して行く一方なのは希望ですね。あと、イギリス労働党のコービン氏は反EUだったけれども、排外主義者がそれを利用するのを察知してEU離脱に反対しました。ポデモスの代表も「貴様らポピュリストはトランプが好きなんだろ?」と馬鹿な保守から挑発されても、毅然とした態度で反差別の立場からトランプを批判しました。サンダースもトランプの大統領就任を阻止するためにヒラリーを支援しましたしね。
そうした立派な態度を見ると、やはり思想や歴史を学ぶ事が大切だと痛感します。それはこのブログもそうですし、トランプ勝利に浮かれなかった大多数の日本の左派の人々もそうです。右でも左でも反体制で金持ちや権力者に嚙みつければいいって感じの浅はかで陳腐な人々を見ると怒りを通り越して哀れに思います。
極右に頼っても破滅しかないのですから。
http://miura.trycomp.net/?p=4169
意見は合わないかもしれませんが、参考情報としてよろしければ読んでみてください。