アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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どちらも国家犯罪の犠牲者だ

2009年12月01日 23時57分03秒 | 北朝鮮・中国人権問題
  

・脱北女性の訴え退ける=帰還事業、総連への請求権消滅-大阪地裁(時事通信)
 1963年に「帰還事業」で北朝鮮に渡り、2003年に脱北、帰国した大阪府在住の高政美さん(49)が、「地上の楽園」などとうその説明で帰国を勧誘したとして、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は30日、請求を棄却した。
 徳岡由美子裁判長は「日本を出国してから提訴まで44年以上が経過した」と指摘。賠償請求権が自動的に消滅する民法の除斥期間(20年)を適用した。原告側は控訴する方針。
 原告側は、朝鮮総連に安全配慮義務や説明義務違反があったとも主張したが、同裁判長は「原告との間に義務の前提となるような法的関係は認められない」と退けた。
 判決後、高さんは「朝鮮総連がこんなことをしないと誓うまで、絶対にあきらめない。これからも闘います」と話した。(以上、記事引用)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009113000705

 今日は当初予定を変更して、まず上記のニュースについて、感想を少し書いてみたいと思います。

 在日コリアンの脱北者が、朝鮮総連による北朝鮮美化宣伝に騙され、北朝鮮に帰国してしまった為に、その後の人生がメチャメチャになってしまった事の責任を取れと、総連を訴えていたこの裁判ですが、第一審は原告敗訴と言う残念な結果に終わりました。
 その判決要旨ですが、時事通信の報道で見る限りでは、(1)「除斥期間」(時効)の壁を打ち破れなかった事と、(2)「(朝鮮総連と)原告との間に義務の前提となるような法的関係は認められない」、つまり如何に総連の美化宣伝があったとはいえ、北朝鮮渡航は「あくまでも本人の自由意志に因るもの」で、要するに「騙されたアンタが悪い」という自己責任論、この二点に尽きるのではないかと思います。

 しかし、この「時効の壁」といい「自己責任論」といい、どちらも今まで散々、時の権力者たちが、自分たちの悪事を居直るために使ってきた理屈ではないですか。特攻作戦、東京大空襲、沖縄の集団自決や、朝鮮人強制連行・従軍慰安婦などの、第二次大戦中の戦争被害についても、国(歴代保守政府)は真相解明に背を向け、のらりくらりと戦争責任追及を避け続けた挙句に、「時効」で逃げ切ってしまいました。そうして、特攻を志願したり、強制連行されたり従軍慰安婦にされたりした事も、あくまでも「最後は自己の自由意志に基づくもの」という、自己責任論で誤魔化してきました。実際には抗う事なぞ事実上不可能だったにも関わらず、そんな事は一切棚に上げて。

 それが帰国(帰還)事業の場合は、被害者が従軍慰安婦から帰国者に、加害者が大日本帝国から北朝鮮・朝鮮総連に代わっただけで、「国家犯罪によって民衆が犠牲になった」という本質的な部分では、全く同じなのです。

 しかも、従軍慰安婦などの過去の清算に至っては、「日韓基本条約や日中平和友好条約で賠償済」なる詭弁まで弄して、国は責任逃れに躍起となっています。実際は、これらの条約は、日本の財界が、当時の韓国・中国政府と、賠償に代えてODAという名目で、経済援助に伴う利権山分けを保証したものにしか過ぎず、個人賠償なぞ埒外であるにも関わらず。これも帰国事業の場合は、日韓基本条約が日朝平壌宣言に、日韓・日中ODAが日朝国交正常化に、「賠償済」が「拉致問題解決済」に、それぞれ話が化けただけじゃないですか。

 勿論、過去の清算は必要な事です。それは、北朝鮮が独裁政権であろうと民主政権であろうと、そんな事とは無関係に。それを過去の清算をサボる言い訳にしてはいけない。しかし、それはあくまでも、真実の謝罪・和解でなければなりません。まかり間違えても、真の謝罪・和解とは無縁の、「臭い物には蓋」「相手国の人権問題は見て見ぬ振り」の談合・ボス交であってはならない筈です。自国の改めるべき所は素直に改め合い、相手国の誤りも率直に指摘し合う。そういう関係でなければならない。

 そういう意味では、今回の裁判は、日朝両国間の真の和解に至る上でも、避けては通れない問題であった筈です。この裁判については、ささやかながら私も、傍聴やカンパで原告を応援してきただけに、非常に残念に思っています。
 しかし、日々の目に見える変化は少しずつではあっても、歴史は確実に進歩しています。原爆被爆者やハンセン病強制隔離患者などの事例が、その好例です。かつては、彼の人たちも、国家による戦争犯罪の存在自体を認めない、一種の戦争宿命論ともいうべき「国家無答責」「戦争受忍」論の詭弁に阻まれ、門前払い同様の扱いを受けてきました。しかし、その人たちも、今や国からの謝罪や人権回復を勝ち取り、個人補償へと歩みだしつつあります。北朝鮮による国家犯罪も、既に明るみに出ました。やがていつの日か、北朝鮮も必ずや民主化され、彼の国の人権状況も改善され、日本も本当の意味で民主化され人権状況が改善され、強制収容所も「派遣村」もなくなる日が、きっと来るに違いありません。

 第一審こそ残念な結果に終わりましたが、第二審・第三審では必ず勝訴に向けて、今後もささやかながら、原告の高政美(コ・ジョンミ、日本名:千葉優美子)さんを応援していくつもりです。

(参考資料:追記あり)
・帰国事業訴訟(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会)
 http://hrnk.trycomp.net/mamoru6.php
・12月3日 院内集会のお知らせ(同上)
 http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00159
・今回の裁判資料です(同上)
 http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00160
・訴状(掲示板・声よ届け波濤の彼方に)
 http://www11.ocn.ne.jp/~rachi/sojou.htm
・《掲示板の論点7》 帰還事業 参考資料(旧サイト)
 http://www.geocities.jp/afghan_iraq_nk/ronten7.htm
・北朝鮮の人権問題について、アムネスティ日本から岡田克也外務相への要請がありました。(村野瀬玲奈の秘書課広報室)
 http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1533.html
コメント (3)
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