『銘酒居酒屋・赤鬼』赤鬼だより

東京三軒茶屋にある『銘酒居酒屋・赤鬼』のスタッフが、お酒周り、お店周り、そして旬のよしなしごとをトツトツと綴ります。

皐月五月、今月の六品 その1

2009-05-07 11:17:48 | 酒の肴
昨日の記事に書かせていただきましたが、
五月から、「今月の四品」が「今月の六品」に
パワーアップしました。
季節感がたっぷり詰まっていて、
ちょっとひねりが効いていて、
もちろんお酒に合う、おいしいものを。
三人のスタッフが毎月知恵を絞り、
何度も試作してでき上がる料理です。
赤鬼にいらしたら、ぜひお試しくださいね。

それではいつものようにひとつずつ
ご紹介させていただきます。
(ゴールデンウィークなどでバタバタしていて
更新が一週間も遅れてすみません!)



「水茄子と揚げ新じゃがのサラダ」

まず、ひとつめは、
出回りだした泉州水茄子と、新ジャガ芋を合わせた
彩り豊かなサラダです。

アクのない水ナスはそのまま「お刺身」でもお出ししていますが、
ここでは、かるく焼いてつかいました。
水分たっぷりの新ジャガは、ひと口大に切って素揚げしてあります。
味の濃いフルーツトマトと茹でてプチプチのスナップエンドウ。
これらを、アンチョビ入りの特製ドレッシングで
さっくりと和えました。
ひとつひとつしっかりと味のある素材に、
コクのあるドレッシングがよく合います。
赤、緑、紫、黄色と彩りも美しく、
酒肴として適度なボリュームのこのサラダ、
ひと皿で、いろいろな野菜の食感が愉しめる一品です。



皐月五月、今月の六品 その2

2009-05-07 10:54:37 | 酒の肴
「初鰹と新玉葱の芽かぶポン酢」

初ものを食べると75日寿命がのびる、と昔から言われていますが、
毎年75日ぶん寿命を延ばしていたら50年でプラス10年分!
すごいなあ…とおバカな計算をしてみました。
もともとは、ものの勢い、生命力をいただいて元気になる、
ということを表現した言葉なのではないかとおもいます。

「目には青葉…」のこの季節に北へ向かう鰹。
初ものとして是非、おいしくいただきたいですね。
ここでは、シャキシャキの新玉葱と合わせて
さわやかなポン酢仕立てにしました。

ポイントは、ポン酢と合わせためかぶです。
こまかく刻んだ生めかぶはネバネバが増して、
ポン酢の味をカツオとタマネギによーく絡めてくれます。
鰹の赤さとほどよい脂、めかぶのみどりと海の味、
すきとおるように白くほの甘い玉葱。
味も彩りもきれいです。
さらに玉葱には大葉や茗荷などの香味野菜も加えられ、
初夏の風を呼ぶようなすがすがしい一品となりました。


皐月五月、今月の六品 その3

2009-05-07 10:42:23 | 酒の肴
「アスバラガスの焼き浸し」

みどり萌え出づる春。
春から初夏へ、というときに思い浮かぶ
代表的なお野菜のひとつが、アスパラガスです。
瑞々しい緑と愛らしいそのかたち。
茹でたり炒めたりフライにしたりと調理法は多彩ですが、
筆者が一番美味しいと思うのは、炭火焼きです。
バーベキューなどでは、焼けたそばから熱いうちにかぶりついてしまいます。
シンプルイズベスト、とはこのことですね。

「今月の六品」ではそこにさらにひと手間。
しっかりと太ったアスパラガスをさっと網で焼いて、
熱いうちに出汁地に浸けました。
あわく味が沁みておちついたところを、
特製のチーズマヨネーズを添えてお出ししています。
爽やかなアスパラガスと濃厚なソースは相性抜群ですが、
出汁がさりげなく効いていて、お酒にもよく合う一品です。


皐月五月、今月の六品 その4

2009-05-07 10:26:43 | 酒の肴
「春キャベツと豚の梅蒸し」

四季を通じて、「赤鬼の小鍋立て」は健在。
おかげさまで、暑いときにも寒いときにも、
ちいさな土鍋のたてる湯気が人気の一品です。
ただし、中身は折々に変わり、
季節をうつしたものになっています。

今回は、春から初夏へ、ということで
春キャベツと梅干しをつかったお鍋になりました。
定番の殻つきあさり、やわらかな春キャベツと豚肉のうす切りに、
甘さを抑えた大きな梅干しをポンと落として
お酒と出汁でさっと蒸しました。

蓋を取れば、出汁とともにほのかな梅の香り。
豚肉には酸味が良く合いますので、
梅干しをくずしながら、出来立てを召し上がってくださいな。
あさりと豚のうまみとさわやかな梅の味が
やわらかいキャベツに移って、
今月もまた、ほっこりおいしい小鍋立てです。

皐月五月、今月の六品 その5

2009-05-07 10:00:28 | 酒の肴
「鰆と新牛蒡の三つ葉あんかけ」

春に産卵のために沿岸へ姿を見せるので、
春を告げる魚として、魚へんに春と書くサワラ。
見た目から白身魚として扱われることもありますが、
成分的には赤身のお魚なのだそうです。
代表的な料理は「西京焼き」でしょうか。
ここではやはり春に出回る新ごぼうと合わせ、
三つ葉入りのあんかけにしてみました。

昆布にのせて蒸した、ほろほろとやわらかな鰆。
土のかおりもみずみずしい、出汁で炊いた新牛蒡。
ふたつの素材には、淡いようで、実はしっかりと味わい深いという共通点が。
それぞれに手をかけた、海のものと山のものの出会いです。

鰆を昆布蒸しにしたときに出た汁と
新牛蒡の煮汁とを合わせてつくった銀あんに、
双方のうまみがよく溶け込んでいます。
過ぎゆく春を惜しみつつ、
やさしいあんかけをお愉しみくださいな。






皐月五月、今月の六品 その6

2009-05-07 09:37:27 | 酒の肴
「防風と白身魚の胡麻和え」

赤鬼に来て「防風」というものを初めて知った、という方は
多いのではないでしょうか。
防風(ぼうふう)はセリ科、原産は中国、漢方薬の原料になる植物です。
同種の植物で「ハマボウフウ」というのがあり、
こちらはかつては日本各地の海岸に自生していて
野菜として(とくに刺し身のツマとして)利用されてきましたが、
ボウフウのほうは、
食用としての知名度はかなりマイナーだと思われます。
赤鬼ではこのほろ苦い葉ものを岐阜から取り寄せています。

芹や春菊に似ていますが、もっとしっかりと味の濃い葉っぱなので、
通常は茹でたものをコクのあるころもで辛子和えにしてお出ししています。
ここでは、やはりしっかりと味のある胡麻で和えてみました。
アイカタに、刺身用の白身魚(時によって鯛、アイナメ、カレイなど
種類が変わります)を合わせています。
防風の味の濃さ、ほろ苦さと、淡泊なおさかなのうまみが、
擦った煎り胡麻と隠し味のタレで溶け合って、
なかなかにオツな箸休めとなりました。