本と映像の森21 水上勉さん著『ブンナよ木からおりてこい』新潮文庫
著者は「みなかみつとむ」さんではなく「みずかみつとむ」さんです。
群馬県にある温泉は「水上(みなかみ)温泉」です。
主人公のブンナは沼に住む若いオスのトノサマガエルです。
周りのツチガエルたちと一緒に住んでいますが、ツチガエルといっしょに住むなかで、能力の高いトノサマガエルのブンナは、だんだんとイヤな性格になっていきます。
なにしろ「トノサマ」ですからね。
木登りの好きなブンナは、高い椎の木に、周囲の反対の声を無視して登っていき、2度目には1夜を明かそうとします。
そこが実は肉食鳥類で鷲鷹類の一種であるトビが狩った獲物の動物を中間的に置いておく悲しい場であることがわかったのです。
もうブンナは下りられなくなって、椎の木の頂上の土の中に潜って、トビの捕まえてきていずれトビに食べられる運命の動物たちの嘆きと葛藤を聞くことになります。
モズ・スズメ・ネズミ・ヘビ・ウシガエル・ツグミたちの会話とブンナとの会話で、ブンナは何を学んでいくのでしょうか。
ブンナは無事下りられるのでしょうか。
なにしろモズにしろ、ネズミにしろ、ヘビにしろ、地上ではカエルを食べている動物たちなのです。
ブンナは、自分たちの人生(いやカエル生)が、他の動物たちを食べて、他の動物たちに食べられることをリアルに学び、自分を生かしてくれる動物たちに感謝するようになっていきます。
人間も同じだと思います。
食事をするときに「いただきます」と言いますが、これは、「生き物であるあなたたちの体を,今から自分のからだにいただきます。」ということなんですね。
食事のあと「ごちそうさまでした」というのも、食べてしまった生き物たちへのお礼の言葉なんだと思います。
私は思うのですが、食べるのは敵だからではなくて、同じ仲間だからこそ食べるんですね。
食べた動物や植物が毒ではなくて、自分の体の栄養になることを知っているからこそ食べるんです。
スズメも、ヘビも、モズも・・・みんな、少し曲がっている人格(じゃない「動物格」)なのですが、その最後の時間に、自分の真実を吐露しているように思います。
生態系のリアルな姿を具体的に知るための、いい本です。
そして、生と死の問題を考えるための必読本です。
著者は「みなかみつとむ」さんではなく「みずかみつとむ」さんです。
群馬県にある温泉は「水上(みなかみ)温泉」です。
主人公のブンナは沼に住む若いオスのトノサマガエルです。
周りのツチガエルたちと一緒に住んでいますが、ツチガエルといっしょに住むなかで、能力の高いトノサマガエルのブンナは、だんだんとイヤな性格になっていきます。
なにしろ「トノサマ」ですからね。
木登りの好きなブンナは、高い椎の木に、周囲の反対の声を無視して登っていき、2度目には1夜を明かそうとします。
そこが実は肉食鳥類で鷲鷹類の一種であるトビが狩った獲物の動物を中間的に置いておく悲しい場であることがわかったのです。
もうブンナは下りられなくなって、椎の木の頂上の土の中に潜って、トビの捕まえてきていずれトビに食べられる運命の動物たちの嘆きと葛藤を聞くことになります。
モズ・スズメ・ネズミ・ヘビ・ウシガエル・ツグミたちの会話とブンナとの会話で、ブンナは何を学んでいくのでしょうか。
ブンナは無事下りられるのでしょうか。
なにしろモズにしろ、ネズミにしろ、ヘビにしろ、地上ではカエルを食べている動物たちなのです。
ブンナは、自分たちの人生(いやカエル生)が、他の動物たちを食べて、他の動物たちに食べられることをリアルに学び、自分を生かしてくれる動物たちに感謝するようになっていきます。
人間も同じだと思います。
食事をするときに「いただきます」と言いますが、これは、「生き物であるあなたたちの体を,今から自分のからだにいただきます。」ということなんですね。
食事のあと「ごちそうさまでした」というのも、食べてしまった生き物たちへのお礼の言葉なんだと思います。
私は思うのですが、食べるのは敵だからではなくて、同じ仲間だからこそ食べるんですね。
食べた動物や植物が毒ではなくて、自分の体の栄養になることを知っているからこそ食べるんです。
スズメも、ヘビも、モズも・・・みんな、少し曲がっている人格(じゃない「動物格」)なのですが、その最後の時間に、自分の真実を吐露しているように思います。
生態系のリアルな姿を具体的に知るための、いい本です。
そして、生と死の問題を考えるための必読本です。