雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森 117 石ノ森章太郎さん著『サイボーグ009 9&10』秋田文庫、平成7年初版

2010年12月28日 04時51分43秒 | 本と映像の森
本と映像の森 117 石ノ森章太郎さん著『サイボーグ009 9&10』秋田文庫、平成7年初版

 むかし、大好きだった「サイボーグ009」の文庫版全巻を娘が買って来たので、そのうち、いちばん好きな「地下帝国ヨミ編」を借りました。

 「サイボーグ009」を知らないという人のために、紹介を少し。
 
 物語は、地球の戦争や紛争を生み出す「悪の帝国」=「黒い幽霊(ぶらっくごーすと)」によって生み出された試験ナンバーのサイボーグたち9人と、反逆した科学者ギルモア博士が、平和と安息を求めて、黒い幽霊とたたかっていくストーリーです。

 野球と同じ9人のチームのそれぞれの個性が素敵で、その監督がギルモア博士という役どころでしたね。

 なぜ「サイボーグ009」が好きだったかというと、正義の「ゼロゼロナンバーサイボーグ」が悪魔の「ブラックゴースト」を
討ち滅ぼすというお話ではなくて、鉄の肉体に人間の心を持つサイボーグの悲哀、心の恋愛はできても実際のセックスはできない悲哀、身体に風を感じることも出来ない悲哀が、すごく心に落ちるのです。

 そして敵役の、黒い幽霊側のサイボーグ達の、人間性も、すごく哀しいです。

 ギリシア神話編や、ベトナム戦争編もよかったですが、いちばん、ストーリーとして最高なのが、この「地下帝国ヨミ編」だと思います。

 ベトナムやギリシャで黒い幽霊とたたかった後、いったん解散し、みんな世界の果てに散ったのですが、ふたたび、再開し、新たな闘いを始める物語です。

 メイン主人公の「009」=島村ジョーから物語は始まるのですが、ぼくのいちばん好きなのは、ニヒルなドイツ人「ハインリッヒ」=004です。

 004と地底人の少女ビーナ、009と地底人の少女ヘレンの、けっしてかなうことのない恋物語も、この物語のメインテーマです。

 物語のラストシーン「ながれぼし」も、最高です。