自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

学校生活/肥えタゴ

2012-06-16 | 体験>知識

初めての学校生活が始まった。
ただ一人の日系ブラジル人として珍しがられ注目された。
南も北もアメリカとして理解されていたらしくあこがれのアメリカ人として扱われた。
方言しか使われないところで「きれいな標準語を話す」と先生に褒められた。
全国から方言が集まる移住地では共通語がうまれる。
そのことは明治維新後東京でも北海道でも同様だった。
みな好意を持って受け入れてくれたが特別待遇はなかった。
肥えタゴ当番は無知も重なって苦痛であった。
学校の便所の糞便を大きなひしゃくですくってタゴ桶に入れ一杯になると桶の下げ縄に太い竹の棒を通して二人一組で所定の場所まで運んで桶を空にする。
当然桶が重さでゆさゆさ揺れると糞便が担ぐ者にかかる。
お百姓が取りに来て野菜と土にやはりひしゃくを使ってかける。
どこの国にも外国人に笑われる糞尿譚があるが「肥え」だけは嫌で笑い事ではなかった。大人も子供も田舎香水と言って笑っていたが...。
葉野菜は食べたくなかった。
占領軍は清浄野菜を導入奨励し調達した。
「肥え」は寄生虫蔓延の原因にもなったが、今のわたしには理想的なリサイクル肥料としてありがたみがわかる。
ブラジルのY伯父が発した「わざわざ肥えタゴ担ぎに日本に行くのか」の意味を実体験で理解できた。