自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

映画鑑賞/高校時代1956~1958

2014-04-15 | 体験>知識

当時は映画が国民的娯楽だった。
わが家にはTVがなかった。
時たま半ドンに友達同士連れ立って市中心部に観に行った。
作品を選ぶ余裕はなく上映中のものを観るしかなかった。

「ローマの休日」がいちばん印象深かった。
主演のオードリー・ヘプバーンほど日本人に愛された外国スターはいないと思う。
わたしは彼女に首ったけでわざわざブロマイドを買ったほどである。
国内で上映されたかぎりでは全作品を観ている。
彼女が主演した「戦争と平和」もトルストイの原作を読んだ後だったこともあって主題曲ともどもに感動した。
ニノロータ作「ナターシャのワルツ」は今でも口ずさむことができる。
巷では物悲しい「道」の主題歌「ジェルソミナ」が流れていた。
後に多忙で映画から遠のいた頃、日本にも、天真爛漫、麗しの天然と称すべきスターが出現した。夏目雅子である。
「瀬戸内少年野球団」の夏目雅子は瀬戸内の海のようにキラキラ輝いていた。
残念なことに彼女は早世したため他に名作を遺せなかった。
ピエトロ・ジェルミ監督主演の「鉄道員」も忘れがたい。
家族を思うネルヴォ少年の健気で可愛かったこと!
カルロ・ルスティケリ作曲の音楽も素晴らしい。
後世まで語り継がれる名作はテーマ曲も良い。
邦画ではなんといっても黒澤明の娯楽作品「隠し砦の三悪人」だ。
「スターウオーズ」の元になった作品である。
侍大将三船敏郎の智謀と男らしさがよかった。
姫役の上原美佐は当時としては稀な美脚で魅せられたが、役者稼業には向かないお嬢さんだった。
20世紀を代表する巨匠としてクロサワと併称されるアンジェイ・ワイダーの「地下
水道」も同じ頃観た。
ナチス・ドイツに対する占領下ポーランドの若人たちの抵抗と絶望を体を硬くして観た。