「笑顔を」
# 1
教会の鐘は鳴る
その音に合わせるように
鳩が飛ぶ一羽一羽が
甘い祝福の音色を背に
飛んで行くよう
届けて欲しい
その幸いを
いたるところに
祝福は
何処にあるのだろう
思えば他愛のない話に
木々の生い茂る坂道を
上がる一歩一歩の切れる息に
一緒に目覚める朝日の中に
# 2
あなたが
傍らにいる
温かな人を
腕に包んで
その温もりを
肌に感じる
陽だまりが
そこに
あるように思う
僕の中に
明るい場所が出来る
# 3
人はいつから
知るのだろう
その瞳を眺めることが
楽しいことだと
時間を忘れて
満ち足りる静けさ
自然な微笑の
見飽きぬ造形
僕に向けられた
笑顔は嬉しくて
そのまなざしに
魔法をかけて
鳶色の宝石にして
いつまでも
胸に抱いて
いられるのならば
# 4
不意にその様子
月が覗き込んでいると
背に感じ
僕らの笑顔は
守られるのだろうか
蝕もうとする
多くのものから
抗い続ける
力の無さに
眠りについて
しまいたくもなり
せめてあなたを
笑顔にするもの
一つ一つ拾い上げて
そこに僕らの道が続き
教会の鐘も
祝福してくれますように
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