風のささやき 俳句のblog

訪問ありがとうございます
オリジナルの俳句を中心にご紹介しています
詩や短歌も掲載しています

雨の朝に

2019年07月25日 | 
「雨の朝に」


高い雨音に目覚めた朝
僕の頭の芯もいつの間にか
しっとりと濡れてしまったようだ
湿った思考はまだ夢の続きにあるようで
ゆったりと漂うばかり

まだ眠ったままのあなたは枕に
横顔をうずめたまま
海のそこに眠るように
目覚める気配もない

あなたの中に芽生えた小さな二つの生命も
その寝息の静けさに安心をして
あなたの中に深く眠っているのだろう

重なり合うあなたと新しい生命の吐息とは
紡がれた糸のように一つとなって
あなたの口元から零れている

いつの日にかその吐息も
はっきりと解きほぐされて
僕の両耳に届くのだろう
違う空気を吸い込み
違う夢に眠りながら

青白くなり過ぎている部屋を
暖かくするために僕は
炎の輪郭の上に薬缶を乗せている

やがて湯気が部屋の中に吐き出されるころ
僕は雨に濡れがちな僕の目を拭おうと思っている
やがて生まれ来る者たちの横顔に擦り寄る
朝日の眩しさにしっかりと眼を凝らしながら
湿りがちな舌に祝福の言葉を重ね
新しい生命の明日に添えたいと思っている


コメントを投稿