新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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『その帽子私のですが!』

2020-10-22 18:02:15 | 閑居閑語
時々ドトールでお昼を食べることは、たまにお話ししています。そんな時、お店で体験したお話です。
ドトールでは空いているとき、カウンターに並ぶ前にテーブルを先に予約してくれといったマナーのようなものがあります。鞄を置いたり本を置いたりするわけです。お店によっては「予約札」を入り口のテーブルの上のバスケットからとって、好みのテーブルに置いたりするようにしているところもあります。
本日大型スーパーのドトールに11時過ぎによって、窓際の席にキャップを置いてカウンターに並びました。
いつもの同じメニューを注文、トレーを持って自分のキャップを置いた席に戻りました。
そこには老婆が座っていました。私のキャップを両手でしっかり握りしめていました。
私がトレーを持って彼女の前に立ちました。彼女は私を見上げましたが、どいてくれる様子はありません。
私は彼女の両手を見ながら、『その帽子私のだけども!』と声をかけました。
彼女は私の顔を見ましたが、何のことかわからないようです。
もう一度『おばあさんその帽子僕のだけど!』と静かに言いました。
彼女は『この帽子はあなたの』とようやく違う帽子を持っていることに気が付いたみたいです。
彼女はゆっくり立ち上がると、カウンターのほうに歩いて行きました。
私はとりあえずテーブルにトレーを置いて、鞄を外し前の椅子の上に置きました。
この窓際のテーブルは、向かい合わせで二人が腰かけるスタイルで4組並んでます。
なんととなりのテーブルに先ほどの老婆とご主人と思われる方が腰かけました。ご主人がトレーを運ぶから先に座って待っているように言ったようです。
小説を読みながら食事を始めましたが、そのご主人の声が聞こえます。ほとんど一方的に話かけているようで、おばあさんの声は聞こえません。
ちらりと見るとご主人は私と同じようなキャップをかぶっていました。
状況といいますか様子は何となく推察してしまいました。
私より少し年上の方々でした。
奥さんを外に連れ出して、一緒にお昼を食べているのかしら。微笑ましいようなちょっと切実なような感じです。一方私はお昼を一人で食べています。
心の中に風が吹いたような気持しました。
コメント
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