新鹿山荘控帳

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新潮新書「なぜ時代劇は滅びるのか」

2014-11-17 18:02:22 | 読書
最近色々な記事のなかや書評で採り上げられることが多いので、時代小説好きとしては買ってみました。

春日太一「なぜ時代劇は滅びるのか」新潮新書
購入のきっかけは、帯にもある通り「やり玉に挙げられた人たちが気の毒になるほどである」です。私は映画、ドラマを時代劇だけを追っかけてきたわけではありませんが、普通の人より多少は見ているかといった程度です。
「旗本退屈男」は劇場で観たことがあります。その他いくつかタイトルの思い出さない時代劇を観ていますが、やはりTVでの時代劇が多いでしょうか。
かといって大河ドラマをすべて見ているかと言えば、観ていない方が多いでしょう。
ほとんど見ていると言えば「鬼平犯科帳」「剣客商売」「子連れ狼」位でしょうか。ポツリポツリでは「仕掛け人」「捕り物帳」「金さん」後その他です。

ですから、私が批判や何かを言う資格はありませんが、本書で取り上げられている作品で評価の低いものはやはりあまり観ていないようです。
確かにアイドルが和服を着て、まるでゴルフクラブを振り回すように刀を振る。そんな時代劇は見たくもないですね。
帯にあるようにダメと言われた役者が約二名、そのほかではむしろ監督やプロデューサーが多く実名で載っています。
航海に例えると主役の船長や航海士より、船会社の設計技師や社長、そしてどのような船を作ってどのような航路で走らせるかを決める権力を持っている資本家たちの能力低下や無関心、利益主義に批判を投げています。

「水戸黄門」や「大河ドラマ」の実像を読んでいると「破たん、下り坂」ドラマを見ているような思いです。一般視聴者をバカにしたような経済戦略が結局時代劇の世界を衰退させてしまったのでしょうね。

製作現場の職人や時代劇の所作ができる俳優がいずれ居なくなってしまうでしょう。
姫路城の修復でも言えるのですが、全国のふるい神社仏閣の修復の現場の紹介映像などを見ると、修復技術の継承を棟梁や建設会社だけでなく文化庁や大学なども協力して途絶えないようにしているみたいです。どうして専門家がいなくなってしまったのかも、詳しく書かれています。

武家の屋敷だけでなく遊郭や町屋の建物や、さらに衣装だけでなく生活雑器の保存も時代劇には重要だと思います。
この本では時代劇がダメになった犯人は誰か、真犯人は誰かを決めつけてはいません。日本が培ってきた多くの文化の中の、時代劇と言う文化を守っていこうと言う事をだれがするのかと言う事でしょうか。今の日本では、時代劇と言う文化が必要ないのでしょうか。2000年の歴史をわかりやすく次世代に伝える方法の一つだと思うのですが。

もうどうしようもないところまで来てしまった。悲しくなる本です。


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