どうでもいいことかもしれないが、ジャレット、ピーコック、ディジョネットから成るこのグループを「キース・ジャレット・トリオ」と呼ぶのは、間違ってはいないけれど、正しいとは言えない。
正確には、「スタンダーズ」。
あくまで3人が対等の関係により発生する創造的インタープレイが、散々、手垢が付いたスタンダード・ナンバーから新しいエッセンスを搾り出し絶大な支持を受けた。
この作品はスタンダーズの初ライブ(1985年7月2日、パリ)ものとして紹介されていますが、実は、同年2月15日に東京・厚生年金会館ホールで既にライブ録音されている。但し、この時の音源は、当時、レーザー・ディスク、VHD等、ビデオもの(スタンダード・ライブ’85)でリリースされたので、フォーマットの違いから、そうした表現になったのかもしれませんね。
それは、それとして、この邦題「星影のステラ」の聴きものは後半の3曲。
4曲目、‘Too Young To Go Steady’と5曲目、‘The Way You Look Tonight’でのキースとディジョネットの真剣勝負さながらの鍔迫り合いとキースに襲いかかるような、そして聴衆をも挑発するか如きディジョネットのドラミングが聴き所。
そして〆にさりげなくスタートするアンコールで演じられた‘The Old Country’。
作曲したN・アダレイのプレイを聴いた事がありませんが、実にいいメロディですね。聴き惚れます。こうしたジャズ・マンの隠れた好曲をピック・アップするセンスもさすがです。
エンディングもニクク、このままでは締りませんね(笑)。
それにしても、ピアノ・トリオで聴衆をここまで熱狂、興奮させるとは、前代未聞かも?
そう言えば、キースとディジョネットの二人はかって、C・ロイド・カルテットの一員としてモンタレー(1966年)、旧ソ連エストニアのタリン(1967年)等々で聴衆を総立ちさせた前科がありましたね。
ジャズメンのオリジナルでもスタンダードに負けず劣らずイイ曲がたくさん有りますね。
これから、ボチボチと・・・・・・・・・
「The Old Country」は、マイナー調の曲想で、好きな曲です。ナット・アダレイ作ですが、昨今すっかりこのキースのアルバムで有名になりました。キース・ジャレットは、桁外れですね。
本人の演奏だと、他にもありますが、「Autobiography」(Atlantic)におけるものが印象に残っています。
こんな良い曲を作るアダレイにもっと目を掛けてあげなくてはいけません(笑)。
確かに、キースは「桁外れ」です。間違いないですね。