K・ジャレットが脳卒中の後遺症により、本格的な復帰は難しいとのニュースが流れている。
若いイメージが強いけれど、自分同様、もう立派な高齢者なのでこういう事態は悲しいかな、いつかやってくる。
キースが50年近く前、ハバードの作品(CTI)に参加した一枚(1972年10月録音)を。
意外に思うかもしれないが、当時のキースは前年にECMに”FACING YOU”を吹き込んだとはいえ、ロイド・グループ時代の高い評価、人気は色褪せ、C・コリアの方に多くの関心が向き、存在感の薄い立場に置かれていた。だから、人気レーベル、しかもスターへの階段を登り始めていたハバードのアルバムに名を連ねられたのは、ある意味、C・テイラーが助け舟を出したようなものだった。
前作”FIRST LIGHT”はD・セベスキーの華麗なペン・ワークとハバードのゴージャスなtpが見事に溶け合いグラミー賞を獲得、本作もセベスキーがアレンジを施し、曲によりソウル色を強め、ベンソン、ロウズ、キースのソロ・スペースも充分に取られ、建付けはしっかりしている。「ゴッド・ファーザーのテーマ」ではキースがマジで弾いています(笑)。ま、ブラインドホールド・テストで出されたら分らないかも。
CTIは後年、リアルタイムで聴きもせず、頭でっかちな小僧たちにクロスオーバー、フュージョン・レーベルと勘違いされ、価値を貶められ勝ちですが、少なくとも個別ではそんなことはなく、そもそもC・テイラーの頭の中には、小難しいジャズは無く、少し進歩的で演る方も聴く方もエンジョイできるジャズで占められており、それ以上を求めるのはお門違いです。
ハバードに関して言えば、多くのプレイヤーは迷っていたのに60年代を引き摺らず新しいジャズtpの領域を広げようとチャレンジしている。そこがイイ。
「ゴッド・ファーザーのテーマ」なんて、他のトランペッターなら提案も無ければ、腰も引く素材だけれど、ハバードは果敢に攻め、キメています。ただ、エンディングでテーマ・メロディを被せたのはテイラー、セベスキーの「弘法の筆の誤り」で、ハバードに罪はありませんよ(笑)。
キースの体調が少しでも回復する事を祈ります。
ジャズを聴き始め、初めて覚えた名はロイドとキース。二人を追い、JAZZに嵌った。
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