日経新聞の一昨日(24日)付夕刊に「ジャズ」のコラムがあり、B・ゴルソンの来日記事が掲載されていた。他のメンバー紹介はなくゴルソンのカルテットで、ブルーノート・東京(5月2日)で行われたそうです。
年輪を積み重ねた渋いプレイを。
今年で何と87歳!もう立派な「リビング・レジェンド」の一人ですね。
そこで、一枚、カルテットによる1962年10、11月に録音された‘TURNING POINT’(MERCURY)を。
パーソネルは、
Benny Golson(ts), Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Jimmy Cobb(ds),
ゴルソンは12月にもCADETにDB誌で最高の五つ星を獲得した‘FREE’を吹き込んでいる。
で、本作は、と言うと、三つ星半でしたが、収録曲により、自分の好みは断然こちら。
まず、‘The Masquerade Is Over’、S・クリスも演っていますが、この曲、好きなんです。
そして極め付きのバラード、‘Dear Kathy’、他に沢山、名曲を作ってるので、ほとんど知られていませんが、ゴルソン裏名曲の一つ。霧の中から聴こえてくるような幻想的なメロディ、ダークでデープな音色とプレイは誰にも文句を言わせない名演。ゴルソンのtsに対するイメージが見事に裏切られる 。ケリーのソロも極上。
ラストの‘Alone Together’、7分を越すやや長めの演奏ですが、冒頭からフィニッシュまで「起承転結」が見事に決まった同曲屈指のヴァージョン。とりわけケリーのソロの後、テーマ・メロディをフェイクしながらエンディングする「結」は、何度聴いても飽きない。類い稀な編曲の才がさりげなく織り込まれています。
また、全編に亘り好アシストぶりを聴かせるケリーの存在も大きい。
当時、三ツ星半だったこのアルバム、50数年経った今、五つ星以上の輝きを聴かせてくれる。少なくとも自分には。
そもそも作品が批評の対象になることは宿命ですが、ミュージシャン本人には及ばないのが当然です。
しかしながら、こんな当り前のことが解らない人達が少なくないのが残念です。困った事にジャズ評論家と称する人の中にもいます。
この歳でゴルソンのライブが行われたなんて、素晴らしいことではありませんか。
ゴルソンは悪口を言われることがほとんどだと思いますが、
ちょっとそれは違うよな、と思っています。
と言いながらも、きちんと向き合うことなくいつも後回しなので、
今年はちゃんと聴いてみようと思っています。
まずはこれを探してみます。