なくならないものを、なくそうとするのは無理。
ないほうがよいものを、そのまま置くのは無精。
「ヒューマンエラーの再発防止」には分析のコツがいるという記事があった。
せっかくのご説だが、ヒューマンエラーは、どんなことをしてもなくならないものだから、分析を巧くやったところで、人間のどこから出てくるのかわからない、いわば全人的に発生するヒューマンエラーを、部分の論理で防ぐことは難しいだろう。
足が痒くなったので頭をぶつけてしまうということもある。
「漏れのない課題の摘出で、抜けの無い仕組みの構築を」
「前提条件を整理し、分析上の除外要件を明確に」
とも書かれている。
考えた末、漏れがないと思うことにしても、考えたくないことは残り、そこが抜け落ちる。
条件整理は、かならず例外を生み出し、「その他」という名の入れものに放り込まれる。
ヒューマンエラーという奇妙な現象は、目に見える原因からは起き難いから、中味の目立たない「その他」や、その他にも入れてもらえない除外要件に潜り込んでしまえば分析の対象にならない。
エラー探しの人間行動そのものがヒューマンエラーに見えてくる。
確かな決め手は、ヒューマンアクションを極力減らすこと、分析上の除外要件ではなく、システム上の除外要件を明確にしていくところにありそうだ。