そばには鰊がなぜ合うのか。
ほかの魚では生臭くて嫌になるだろう。
越前に魚を楽しむ「おとと蕎麦」というのがあるそうだが、それは生さかなを載せて見た目を楽しむもののようで、変わりだねである。
てんぷらそばも、海老か烏賊ぐらいで、魚類のものはまだ知らない。
漁港とそばの里の両方を隈なく探せば、あるいは違うものが見つかるかもしれないが、そうだ、ヤフーの知恵袋に聞いてみよう。
ともかく、鰊そばで不味いのにまだ会ったことがない。
味に自信のないものは出さないからか。
日本の食べものという誇りを、それぞれの店がだいじにしているからだと思う。
聞けば怒るかもしれないが、ラーメン屋ほど軽々しく感じない。
そのかわり店の主人にこだわりが強いらしく、不味い店は徹底的に不味い。
あるところで、多分砂糖の味だろう、口に粘りつくような甘ったるいそばつゆに辟易したことがある。
こだわりの強いそば屋に、いまどき配線ショートで火災を起こす建物がまだあった。
それが歴史を誇る老舗なのに驚く。
三口で食べきれそうなそばが、値段は一般の二倍くらい。
確かに美味かった。
いまは、ショートで火の出る事故を防ぐブレーカーというごく簡単な装置のあるのが普通の電気設備なのだが。
店の人は知らなかった、保安協会という定期点検をしてくれるところの人も気づかなかった。
老舗という名のほこりが眼に入って、見る眼を曇らせてしまったのだろうか。