また高速道路のトンネル隔壁アンカーの話に戻ってしまいます。
アンカーの引き抜きテストを行ったら抜けてしまうものがだいぶあったと、TVで報道されているのを見たからです。
「接着系アンカーボルトの引抜き抵抗力の確認」の結果なのですが、その方法は次のように指示されていました。
『打音試験を行った試料全数を対象に、アンカーボルトの引抜き抵抗力試験を実施し、アンカーボルト材料の降伏点応力度相当まで載荷(接着剤とアンカーボルト又は接着剤と覆工コンクリート面の部分で破壊した場合は、破壊時の載荷重まで載荷)を行い、引抜き抵抗力の測定及び、載荷荷重変位曲線やアンカーボルトの変位量を記録する。
■覆工コンクリート面に対して垂直度が悪いものは無理に試験を行わない。■』
ここでボケ頭に引っかかったのは、最後の行■・・・■です。
「垂直度が悪いものは無理に試験を行わない」ということは、無理やり引っ張ることになる箇所が多そう、逆に見れば引抜き抵抗力が大きいということではないのかと思い始めました。
昨日の方向情報のことも頭に残っていて、斜めのものは強そうだと、あらためて思うのです。
「斜に構える」はちょっと意味がずれるにしても、斜めの部材を使って丈夫にしたものは至るところに見られます。
隔壁をぶら下げて垂直に力が加わるところに、垂直方向にアンカーを植えてあったのがそもそも間違いではなかったのかと考えます。
方向を変えてみることに、誰も頭を向けなかったのでしょうか。
あまりにも素直に、自然に逆らわないのがいちばんなどと嘯いていると、ときどき自然からとんだお礼をいただくことになります。
命を落とされた方には全くお気の毒ですが、アンカー抜け落ちは、無抵抗自然主義への有難くないご褒美だったようです。