国をまたがる事件では、それにかかわった人の国籍が、いちばん気にかかります。
私たちの目で見て随分ひどいことをすると思っても、当事者には罪の意識が全くない場合があります。
勤め先で賄賂を全く手に入れなければ、家に帰って無能者と罵られる国もあって、その人にとっては収賄が罪どころか手柄なのです。
罪だ罰だといっても、別の次元からの判定は下しようがありません。
つい最近の事件のニュースを拾ってみます。
「台湾の内政部(内政省)刑事局は7日、ドイツ化学大手BASFの台湾子会社に勤める技術者ら6人を、同社の半導体関連の化学薬品製造技術を中国企業に漏えいしたとして営業秘密法違反の疑いで拘束したと発表した」
どのサイトを見ても、この事件で身柄を拘束された人の国籍が書かれていません。
(例1) 6人のうち1人はBASFの台湾法人の現職技術者。ほか5人も同社に勤務した経験がある
(例2) 技術部門のトップをつとめる現地の幹部や元工場長など合わせて6人
どういう人かを見て取るのに、これから話を聞こうとする相手なら、どんな仕事をしているのか、していたのかということも参考になりますが、国際事件で捕まった人のしていた仕事など、知らせてもらってもあまり役には立ちません。
どこの国の人なのか、それがはっきりしなければ、やってしまったことへの罪の深さへの意識を推し量ることもできないではありませんか。