飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

T2C試乗記 2

2013-06-30 09:24:45 | ハング(hangglider)

たまたまテストフライトの依頼を受けて乗ってみた、ウイルスウイングの最新鋭機T2C。

今回はいよいよフライトレポートです。

Prod_t2_sub2_390_210 最近のグライダーはどれも良く出来ています。

もちろんT2Cもその例外ではありません。

テイクオフしてしばらく飛んでみますが、ロールのコントロールはレスポンスも良く、さりとて、フラフラもしないウイルスらしい、「落ち着きのある軽さ」です。

ピッチの反応もよく、理想的と言えるバープレッシャーの軽さが感じられます。

このT2Cと前作のT2。そのもっとも大きな違いは、リアスパーがカーボンになったことです。

カーボンにした目的は、ロールのコントロールのレスポンスをよくするためと、リーディングエッジの剛性を高めることによる高速性能の向上です。

これらはハンググライダーの高性能化にとっては重要なことですが、しかし、ハンググライダーのリーディングエッジは、固すぎるとコントロールが重くなり、そして、乱流の中では翼が風を吸収しきれずにフラフラする傾向があります。

加えて、低速の粘りもなくなりがちです。

今回のT2Cでは、それらの問題がどのようになっているのかが、個人的にはとても興味がありました。

して、それらの問題なのですが、結果的にすべてうまくまとめあげられていました。

フライトしてしばらくは、このT2Cのリーディングエッジはカーボンであることを忘れていました。

そのくらい柔らかなタッチだったのです。

気を付けると、やっぱりリーディングエッジ全体にわたる「固さ」は感じ取れますが、翼端のチップロッド並びにセール全体が柔らかく風を吸収している感じで、乗り味としては全く翼の固さを感じず、私好みの翼の固さです。

低速の粘りもそれなりにはあり、ピッチのコントロールの幅も、ものすごく広い!とまではいきませんが、それなりにはコントローラブルで、乗りにくさを感じるようなものではありませんでした。

うまくバランスのとれた翼です。

サスガはウイルスウイング。40年の歴史と経験がなければ作り出しえない翼と言えます。

試乗した当日は、たまたま渋い条件の日でしたが、こんな日だったからこそ、このT2Cの高性能を体験する出来事がありました。

まわりにはそれなりの腕をもった他のフライヤーたちも飛んでいたのですが、このT2Cの特性として、サイズが小さい割には旋回中にバンクが食い込む傾向が少なかったため、試しにVGを1/3ほど引いて、ベースバーをもつ手の位置を、目いっぱい外側にオフセットさせて、ハイサイド姿勢をとりながら低速を効かせてセンタリングしてみました。

マンフレットルーマーが良く使うセンタリング方法です。

すると、T2Cは低速でもそれなりに翼を持ちこたえてくれ、沈下速度を抑えながら回ってくれたのです。

渋いサーマルの中でこれをやり続けると、他のフライヤーよりも沈下速度が若干抑えられ、ゆっくりですがガーグルの頂点に上り詰めることが出来ます。

そうして、私のこの日のフライトは、常に人よりも上に位置することが多くありました。

T2Cはその翼の性能を使い切ってやると、素晴らしい「浮き」を見せてくれるのです。

この特性は、コンペにおいて最後まで粘り抜くには有利な特性であることはもちろんですが、タイムを縮める意味でも、ライバルより早くサーマルをトップアウト出来るため、常に有利に競技を進めることが出来ると思います。

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T2C試乗記

2013-06-26 21:31:00 | ハング(hangglider)

かねてより乗ってみたいと思っていた、アメリカはウイルスウイング社のT2C、それも最新の136サイズにとうとう乗れましたので、ちょっと試乗記を書いてみます。

001 この機体は、ハング界の老舗ウイルスウイング社が作り出した最新鋭機!ですが、日本人にとって適正サイズと言える136サイズは、まだあまり国内には出回っていませんね!

今回は、たまたまテストフライトの依頼があったため、試乗することが出来ました。

セットアップ

グライダーケースを開いてみると、ほとんどのセールが黒‥。

今回試乗したのは、一番高い?テクノーラセールオプション機でした。

軽くて伸びがないことが謳い文句のこのセール。

ハンググライダーは白い!なんてのは昔の話‥。

今は黒が全盛期の時代となった感があります。

セットアップは特に変わったところもなく、普通に組み立てられますが、ちょっと注意としてスプログがサイドワイヤーに引っかかりやすいことがあげられます。

もっとも、クロスバーテンションを張るときに、異様に重くなるのですぐに分かりますが‥。

今回の機体は軽量7075バテン仕様ですが、とにかくこのバテンの軽さと言ったら‥。

私の個人機はカーボンバテン仕様ですが、正直言ってカーボン仕様よりも軽い!

カーボンバテンは、いろいろとトラブルが起こる可能性もあることから、むしろ、この「焼き」の効いた7075バテンの方が良いものになると思えました。

そして、セットアップ中一番私の気を引いたのが、翼端のチップロッドの角度調整機構。

スパナ一本で簡単にチップロッドの角度が変えられる機構になっています。

チップロッドは左右のとられ、そして、全速度域にわたってのピッチのバープレッシャーを調整できますが、今までの翼端のカラーを回転させる方法と違い、シンプルに上下方向しか動かないもののため、チューニングが簡単明解!

とても扱いやすくなっています。

セットアップしたグライダーを担いでみると、ウイルスらしく若干のテールヘビーを感じますが、もちろん問題になるようなものではありません。

これならば、ストレスなくテイクオフできそうです。

尚、グライダーを手に入れて一番最初にする儀式、リアスパーの挿入ですが、ちょっとT2Cはムズカシイ‥。

まず、スパーを入れるときは、クレセントスペーサーがずれないように注意して挿入する必要があります。

そして、翼端のセール留めにセールを取り付けるとき、今までと違いT2Cはボルトをスパーのボルト取付け部に挿入し、ナットを締める構造になっていますが、とにかくこの作業がキツイ!

なかなか取り付けられませんが、以下の方法で簡単に行うことが出来ますので心配ご無用。

まず、ノーズ側のセール留め(+スクリュー)を外してしまってください。

次に、問題の翼端部のボルト、ナットを取り付けてください。この時、ノーズ側が外れているため、セールは容易に後ろにずらせるはずです。

翼端が取り付けられたら、次に翼を少し広げて先ほど外したノーズ側の+スクリューを再び取り付けてください。

翼を広げることにより、セールが前に移動していくはずです。

この方法をとれば、それほど問題なく組み立てられる筈です!

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弊社ハーネス2年毎点検の薦め。そして新提案

2013-06-20 20:50:27 | 情報(information)

弊社ハーネスご使用の皆さんへ。

弊社ハーネスは、マニュアルにも記載しおりますが、定期的なメンテナンススケジュールが規定されています。

その中でも「2年毎点検」というものがあり、2年ごとに弊社に送っていただき、ハーネスの総チェックを行うというサービスを実施しています。

基本的にこの2年毎点検は、送料はお客様ご負担ですが、チェック料は無料となっております。

メーカー推薦のため、強制力はないのですが、該当する方はご自身の安全を守るという意味でも、弊社あてにハーネスをお送りいただければ幸いです。

‥。と、固い文章で始まりましたが、要はメーカーとして生産した責任上、そのアフターフォローを無料でいたしますということです。

このサービスはハーネスマニュアルに記載していますが、意外とご返送いただいているハーネスが少ないので、今回このブログで取り上げてみました。

このようなサービスを実施しているのは、世界的にもウチだけ‥ですが、実はお客様にも、そして、ウチにとってもとてもメリットがあるのです!

当然、お客様にとっては、無料で2年毎に検査出来れば安心だと思います。

しかし、メーカーにとってもハーネスの検査を行える、製造者としての安心も得られますし、長年の使用でどのような個所が傷みやすいかを知る良い機会となるのです!

そして、それを次の製品開発に役立てることが出来るのです。

更に、弊社ハーネスのメインライン、カラビナの保証期間は2年間ですが、これらの交換はちょくちょくお客様からの申し出があり、2年毎点検のついでに交換させていただいています。

これらの交換は有料です(メインライン交換¥8400、カラビナ¥3780)が、正直そのような仕事がいただけるというメリットもメーカーにあるのです。

この「2年毎点検」。我ながらとても良い制度だと思っています。

さらに‥。

現在、ハーネスご注文時に、「ハーネス消耗品交換保障」に加入していただくと、その後ずっと2年毎点検時に、ハーネスの消耗品をすべて無料で交換していくという制度も、現在検討しています。

たとえば、フロントファスナーのスライダーなど、消耗してくるとファスナーが閉まらなくなったりするものですが、このような部品も2年毎点検時に、ずっと無料で交換していくというサービスです。

ハーネスの消耗品は、他にもハーネスの各ライン類などがあります(残念ながらテールプロテクターのみ除外)。

金額的には、おそらくハーネスご注文時に¥1000ほどプラスしていただければ可能では?と現在考えています。

何分前例がないので、この制度について、お客様のご意見が聞ければ幸いです!

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コメント (7)
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こんな商品も作っています!

2013-06-03 19:54:38 | うんちく・小ネタ(absurd story)

さて、以前紹介した世界最高の車いすにつづき、また、EXEで作る意外な商品をご紹介します。

001


これは、東日本大震災の復興支援イベントの中で、軽自動車を改造した移動店舗に使用するためのテントです。

写真の両側に垂れている幕は実はターフで、パイプが入って両側に張り出す形になります。

使用している生地は、お察しの通りハンググライダーのセールです!

使い古したハンググライダーのセールを引き張りしてパッチワークにし、このようなテントに仕上げました。

これは、お客様の要望に答えて、車を改造する業者さんから依頼が来た仕事ですが、確かにこんな仕事が出来るのはウチ以外そうそうありませんね(笑)

今回納品したものは、お客様からのご希望で、「簡単に脱着が出来ること」。そして、「左右後ろのターフが簡単に外せること」などの機能も備えられています。

作ってみて、実際太陽の下に出してみると、なかなかきれいで、使い込んだセールの味とパステル的なカラーが何とも言えず良く、これならばオリジナルティーあふれるものになると思います。

ハンググライダーの使い古したセールは、今まで素敵なバックに生まれ変わったりしていましたが、更にこんな使い方をしてみても、とても面白いものが出来上がることが分かりました。

ハンググライダーの使い古しのセールは、もはや産業ごみではなく、宝物かもしれません‥。

EXEの作るものは、決してスカイスポーツ用品だけじゃない!

そんなご紹介でした。

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