前回では静止点法についてご説明しましたが、この静止点法さえマスターしていれば、ポーラーカーブをとって面倒な作業をしなくても、最良滑空速度を正確に求めることが出来ます。
しかしながら、この静止点法は実際行うとなかなかうまく出来ず、マスターするにはそれなりに訓練が必要となります。
しかし、現在ではそのような熟練を要する方法以外にも、実はGPSバリオの表示する対地滑空比を見る方法があるのです!
これはどのようなものかというと、今までならば、たとえば向かい風の時の最良滑空比を求めようとした場合、
ポーラーカーブを使って、グラフ上の速度の軸をシフトさせてその速度を求めていました。
これはそもそも地面に対してどれだけ遠くに飛べるかを知るためにやっていた行為で あり、もしGPSで正確な位置情報が計れるのであれば、なにもポーラーカーブという小難しいものを使わなくてもGPSだけでも正確に滑空比を求めることが可能なはずです。
つまり、 GPSを使えばどんな風の中でも正確な滑空比が求められるわけであり、言ってみれば、静止点法を正確に数値にしてくれていると言えるので、GPSが表示してくれる滑空比が最良となる速度に調整すれば、最良滑空速度になってしまい、ポーラーカーブは全く不要になってしまうのです!
はっきり言って、これは革命だと思います。
このGPSによる滑空比の表示機能は、最近では上級バリオに結構備わってきています。
つまり、よりグライダーの性能を引き出したいのであればGPSによる滑空比が表示されるバリオを使え!ということですね。
ただし、問題なのはGPSは平面での位置は正確に表示できますが、高度情報についてはイマイチ精度が出ていないことです。
だからまだこの方法については、一般化されていないと言えます。
しかし、
もし、
GPSの高度情報が正確になったら‥。
とんでもないことになります!
なぜならば、今のバリオは圧力センサーで空気の圧力を計ることでアルチやバリオを機能させていますが、GPSの高度情報が正確になるとすべてGPSで機能させることが出来るため、
今までよりも更に高精度で使いやすく、しかも、値段も安いバリオが出来る可能性が十分にあると私には思えるのです‥。
たとえば、大会の時のゴールに突っ込む高度を計算するファイナルグライドカリュキュレート機能など、今までは不確かなポーラーカーブに不確かな風向き情報を入力して、誤差が出る分を見越してマージン高度まで入力していましたが、これが、大幅に精度を上げることが出来るため、マージン高度も少なく見積もれ、結果的に今までよりもずっとタイムを縮められる可能性があると思えるのです‥。
いずれにしろ、これから未来に向けて、GPSによるバリオに変わっていくのではないか‥。
ちょっとした予言になりますが、それだけGPSバリオには可能性があると私には思えます‥。