現在のレーサーハーネスは、今までのハーネスにもう一枚表面に生地をかぶせて凹凸を無くす構造になっています。
しかし、私自身の個人的意見を述べさせてもらうと、まだまだこの種のハーネスは完成形にはなっていないと思っています。
新しく生地を表面にかぶせることにより、いろいろな問題も発生し始めましたが、中でも問題なのは「パラシュートの取り出し」です。
表面に生地がある分、パラシュートコンテナの構造が複雑になり、パラシュートの取り出しに不確実さが生じ始めたのです。
初期のころは、ファスナーがはじけることによりパラシュートを取り出せるようにしていました。
しかし、この方法だと、パラシュート収納時にファスナースライダーを使ってファスナーを閉じる作業が発生し、これだとわずらわしさが生じました。
この問題を解決するために、はじめからファスナースライダーがハーネスにつけっぱなしになったタイプのものが開発されました。今から5年ほど前のことですね。
しかし、これにも私は問題があると考えています。 この写真はそのタイプ(弊社ではRXC-R3)になるのですが、ファスナーは開きやすいという先入観があるのですが、実はこのような使い方をした場合、意外とファスナーは開いてくれず、パラシュートの取出しが困難になってしまうのです。
これはヨーロッパスタイルの小型のパラシュートではそれほど問題にはならないのですが、大型のアメリカスタイルのパラシュートなどは、てきめんにパラシュートの取出しが遅れてしまうのです。
そのため、弊社の最新型RFでは、ファスナーは途中までしかなく、パラシュートトグルを引くと同時に扉が開くシステムに改良しました。そして、上記の問題を解決することが出来ました。
さて、今回私が皆さんにお知らせしたいのは、前者のタイプのハーネスの取扱についてです。
この種のスライダーが下までおろされるタイプのハーネスは、前述のようにパラシュートの取出しが困難になる傾向にあります。
これについて、私自身いろいろ実験しましたが、もっともよい解決方法は、
あえて、スライダーを下までおろしてしまわないことでした。
見た目にはスライダーが下まで降りておらず気持ちが悪いのですが、構造的にはこの種のシステムをとるハーネスは、全て内部にしっかりしたコンテナが内蔵されているわけであり、まったく問題がないのです。
そのため、私はあえて、この種のハーネスではファスナーは下まで閉めず、5センチくらいはあけておく様に指導しています。
この件に関し、同じようなハーネスを扱われているオーパさん、ウインドスポーツさんにも確認したのですが…。
オーパ桂氏。「ウチではテナックス2がこれに該当しますが、やはり下までファスナーを閉めてしまうと、パラシュートの出は悪くなりますね。そのため、テナックス3では改良されました」。
ウインド安東氏。「やっぱり全部閉めるとパラシュートの出は悪くなってしまうね。カッコつけないで、ちょっと開いておいた方が絶対いいよ」。
でした。
やはり、皆さん同じことを感じておられたんですね。