飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

星の王子様の謎 その6

2008-10-29 19:16:32 | ロマン飛行(romance of flying )

旅に出た王子様が、まず最初に立ち寄ったのは王様の星。しかし、王様と言っても一人しかその星には住んでいない。王様は、王子様を家来として話をするが、なぜ王子様は自分が家来なのか訳がわからない。

次の星では、今度はうぬぼれ男が一人住んでいた。その男は星に一人しかいないのに、自分が一番優れていると言って聞かない。王子様は人から感心されることが、なぜ面白いのか訳がわからずその星を後にする。

次の星では呑んだくれが住んでいた。呑んだくれは、酒を呑むのが恥ずかしくて、それを忘れるために酒を呑み続けていた。王子様はそんな呑んだくれが理解できなかった。

次の星は実業家だ。実業家はただ星の数だけを数え続けるだけで、自分が最初に見つけた

星は自分のものと言い張り、ひたすら星を数え続けていた。

次の星は勤勉な点燈夫が住んでいた。点燈夫はただひたすら夜がきたら街灯をつけ、朝がきたらそれを消すことを続けていた。

最後に訪れたのは地理学者の星だ。地理学者といっても、自分の星からは出たことが無い。ひたすら人の話だけを聞いて、自分ではそのことを確かめず、本にまとめる作業だけを続けていた。

ここの章は、結構読み手が試されるところだ。

この話をただ馬鹿げていると考え、流してしまう人間は、実は自分がこれらのおかしな大人と同じになっていることに気がついていないように、私には思える。

なぜならば、日頃から物事と言うものを良く考えている人間ならば、他人がやっている無意味なことには気がつけるはずだし、そんな無意味なことに気がつけないからこそ、この本を読んでも共感することも無く、無意味なことを続けてしまっているのではないであろうか?

よく考えて見ると、これらのおかしな大人は実際の社会の中で頻繁に見かけているように思える。

みんな、忙しさや変なプライド、そして、素直な気持ちを忘れて、大切なものを見失い、意味のない毎日を過ごしているのではないか?

そのことに気づけるのは、やはり、物事をありのままに見つめ、真実に気づける心を持つことが大事なことだと、サンテックはこの章では言っているのであろう。

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星の王子様の謎 その5

2008-10-28 19:28:30 | ロマン飛行(romance of flying )

王子様とパイロットとの話は、王子様の星にただ一本咲いていたバラの話になる。

王子様の星には、姿は美しいが、わがままで王子様に注文ばかりつけるバラの花が一本だけ咲いていた。そして、王子様はやがてそんなバラの花が嫌になってきた。

実はこのバラの花、サンテックの妻のコンスエロを表していたらしい。つまり、星での王子様とバラの花のやり取りは、実生活のサンテックとコンスエロのやり取りを表していたと考えられるだろう。

実際、コンスエロはかなりの浪費家だったらしく、サンテックを苦しめていたらしい。

サンテックも、小説家としての社会的な地位は築いていたが、冒険飛行家としての顔も持っていたため、お金はかなり必要だったと考えられる。実はサンテックは幾度も墜落を経験しながら、何機もの飛行機(彼が最も愛した飛行機”シムール”だけでも確か3機!)を買い換えていた。

本の中では、王子様はついにはバラの花の面倒を見ることをやめて、旅に出ることを決意する。そのときのバラの反応は、意外にも王子様を気遣い、王子様の好きなようにすることを薦める。その後、王子様は自分のとった行動について、おおいに後悔することとなる。

そして、このことがきっかけで、王子様は本当に大切なものとは何かについて気づき始めるのである。

このあたりの文面を客観的に見て見ると、実は、サンテックの実生活でもコンスエロとの関係が既に終わっていたようにも感じ取れる。そして、サンテックはそのことについて、「星の王子様」の内容と同じ様に、おおいに後悔すると共に、大切なものに気づいたようにも思える。

このあと、王子様はいよいよ星を巡る旅へと出て行くのである。

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星の王子様の謎 その4

2008-10-26 15:58:30 | ロマン飛行(romance of flying )

砂漠で知り合ったパイロットと王子様は、どんどん親しくなり、王子様は自分の住んでいた星の話をし始める。

ここで「バオバブの木」が登場する。

普通に読み流してしまえばそんなものがあるのか!で流してしまいそうなところだが、実は、私自身の個人的な解釈であるが、どう考えても「バオバブの木」は、実はあの「ナチス政権」を表しているとしか思えないのである。

その理由を説明しよう。

王子様の小さな星では、時々バオバブの木が目を出す。しかし、王子様は、そのバオバブの木は急いで引っこ抜かないと、星がバオバブに覆われて大変なことになってしまうと言っている。

この本が書かれたのは1940年ごろ。つまり、ナチス政権が最盛期を迎えたときと見事に一致する。余談だが、アメリカでは同年チャーリーチャップリンが「独裁者」を製作し、アメリカを強制追放されている。

そして、本の中には「バオバブの小さいのは、バラの木とそっくりなんだから、見分けがつくようになったら引っこ抜かなければならない」とか、「バオバブの木の絵ばかり変にすばらしくて」とか、「バオバブをかいた時はぐずぐずしてはいられない」など、かなり、サンテックは何かを急いでいたような文の言い回しをしている。

更に、サンテックが航空航路の開拓で、アフリカを回っていた時代があるのだが、実は、アフリカの原住民の間では「バオバブの木」は、神の怒りにふれ、上下をさかさまにされてしまった「悪魔の木」と言い伝えがあるらしい。

そのようは話はサンテックもアフリカで耳にしていた可能性は非常に高く、そこから、親友レオンを奪ったナチスの姿が、バオバブの木に置き換えられて、星の王子様に登場したのではないかと、私は現在そのように考えている。

本の挿絵として登場するバオバブの木の絵が「鈎十字」に見えるのは、私の錯覚だろうか?

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星の王子様の謎 その3

2008-10-24 19:24:29 | ロマン飛行(romance of flying )

「星の王子様」を読んだことがない方の為に、この物語のあらすじをご紹介しよう。

この物語の主人公はパイロット。ある日飛行機のトラブルで砂漠に不時着してしまい、そこで星の王子様と出会う。

その王子様はパイロットが長年探していた人間であることに気づき、二人の話が始まる。

パイロットは話を続けるうちに、王子様は小さな星から地球にやってきたことに気づく。王子様は自分の住んでいた星に、一つだけ咲いているバラといざこざを起こして星を飛び出したのだ。

旅に出た王子様はいろいろな星に立ち寄ったが、どれもおかしな大人たちが住んでおり、王子様にとって、それらの大人達はこっけいなものとしか思えなかった。

やがて王子様は地理学者の薦めで地球にやってくる。

地球にやってきた王子様は、まず、不気味な蛇に出会う。そして、賢者の狐に出会い大切な教えを教わる。

やがて1年がたち、王子様は再び自分の星に帰るため、自分が降りた砂漠に戻ってくる。

パイロットと出会ったのは、実はこのときだったのだ。

王子様は砂の上で後ろに静かに倒れながら、パイロットの目の前から消え、そして、星へと戻っていった。

大まかな筋はこのようなものだ。

この物語を何度か読むと、星の王子様は、実はサンテック自身であることに気がつく。

つまり、サンテックは自分がたどった人生を、自分を星の王子様に置き換えて語っているのだ。

話の一番最初には、「帽子の話」が飛び出す。

帽子とは、実はサンテックが子供のころ書いた「象を飲み込んだウワバミ」の絵であったが、大人達はその絵をよく見ずに「帽子」と決め付けてしまう。

そして、星の王子様から「羊の絵を書いて」と頼まれ、パイロットがいろいろな羊の絵を書いてみるが、どれも王子様は気に入らず、しまいには、「この箱の中にあんたの望む羊がいる」とぶっきらぼうに渡した絵が、実は王子様が一番気に入ってしまう。

この二つの話は、物事はうわべだけにとらわれてしまうと、気がつかないものがある。そして、時には、物事を心の中で見ることも必用だということを、おそらく、教えているのであろう。

物語は、まず読者にこのことに気づかせてから、更に大切なことへと進んでいくのである。

のきに

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星の王子様の謎 その2

2008-10-22 22:35:34 | ロマン飛行(romance of flying )

実は「星の王子様」は子供の童話として書かれたものではなく、一人のサンテックの親友の為にかかれた本である。このことについては、「星の王子様」の冒頭でもはっきりと書かれている。

その友人とはレオンウォルト。実はサンテックの親友で、ユダヤ人ジャーナリストだったのである。

時はナチスの最全盛期。ナチスを叩いていたレオンは、ドイツ軍のフランス侵略と共にナチスにとらえられてしまったのである。

この本の冒頭にかかれていることを一部ご紹介する。

「その大人の人は、今フランスに住んでいて、ひもじい思いや寒い思いをしている人だからである。どうしてもなぐさめなければならない人だかある。」とある。

これはまさにサンテックが親友レオンを心配して書いたものといえる。

つまり「星の王子様」はレオンに当ててかかれた物語だったと考えられるのである。

サンテックはどうしても親友レオンに伝えたい事が有った。しかし、ナチスにとらえられたレオンに自分の思いを伝えることなど、当時の情勢としては容易なことではない。しかし、「童話」という形で本を出版してしまえば、ひょっとしたらレオンに自分の思いを伝えられるかもしれない。おそらく、サンテックはそう考えたのであろう。

サンテックの思い通り、人間が最も大切にしなければならないことを、分かりやすく書いた「星の王子様」はあっという間にさまざまな言語に翻訳され、世界中で出版されることとなった。

ただ、残念なことに、レオンはナチスに捕らえられた後まもなく殺され、実際にはサンテックの思いはレオンには、おそらく、伝わってはいなかったであろう。

しかし、「星の王子様」はその後人々を大切なものに気づかせてくれる、不朽の名作として今日も生き続けることとなる。

余談であるが、「星の王子様」と言っているのは実は日本だけである。実際の題名は「LE PET‘T PRINCE」直訳すると「小さな王子様」。中国でも「小王子」と訳しているが、この本の日本語訳を手がけた内藤濯氏は、意味が伝わりにくいと判断し、内容を偽らないように「星の王子様」と訳したのだそうだ。

確かにその方が、この本にはピッタリだろう。

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