ハンググライダーハーネスの多くに備わっているピッチアジャスター。
飛行中、パイロットの迎角を変更するための装備なのですが…。
実は、多くのパイロットが、その使用目的や使い方を正確に把握していないのです!
そこで今回は、このピッチアジャスターについてお話いたしましょう。
上記の話を進めていくうえで、まずはハングハーネスの構造についてのお話から始めたいと思います。
まず、パイロットの重量の多くを吊り下げているメインラインなのですが、その取り付け位置は、パイロットの重
心位置より、少し後ろになります。
このままでは頭が下がってしまいますので、フロントラインにて前を吊り上げ、そのようなことにならないようにしています。
これが、ハングハーネスのピッチ安定をつかさどる基本形になります。
そして、このメインラインとパイロットの重心位置の関係は、飛行中のピッチ安定と密接な関係があります。
重心位置よりも、メインラインが後ろに位置するおかげで、ピッチの安定が生まれるのです。
ピッチが安定すると、空中での様々な状況の中で、パイロットのフラツキが防止されるため、安定してグライダーをコントロールすることが出来ます。
具体的には、メインラインが後ろにあるほどピッチの安定が良くなって、グライダーをコントロールしやすくしてくれます。
フロントラインにかかる荷重、メインラインにかかる荷重は、重心位置からフロントラインの距離をa,重心位置からメインラインの距離をb
とすると、それぞれは…。
フロントライン荷重 吊り下げ全重量×b/(a+b)
メインライン荷重 吊り下げ全重量×a/(a+b)
※吊り下げ全重量とは、パイロット重量+ハーネス重量
になり、メインライン位置が後ろになるほどに、フロントラインへの荷重が大きくなり、ピッチ安定も向上することになります。
しかし…。
どんなにピッチの安定が良いハーネスにしても、スピードを出すためにベースバーを引き込むと、必ず頭が上がってし
まいます。
これは、ベースバーを出したり引いたりする動作は、スイングラインの付け根を中心に、円運動をするためであり、この頭上がり
はどんなハーネスも避けることはできません。
そして、この「頭上がり」は以下の2つの短所を生み出してしまいます。
その2つとは…。
空気抵抗が大きくなる。
引き込みがきかなくなり、スピードが出せなくなる。
です。
この2つの欠点を無くすために、ピッチアジャスターはあるのです。
ピッチアジャスターにより、頭をあらかじめ下げておけば…。
当然空気抵抗も小さくなり、そして、上半身の位置が低いために、ベースバーの引き込みもより効くようになってスピードが上げられるので
す。
このために、ピッチアジャスターはあるのです。
空気抵抗の軽減については、より高度な競技寄りの飛びをする場合のみ問題なのですが、ベースバーの引き込みがより効かせらることについては、
例えば風の強い海岸リッジのエリアなどで、前に出なくなった場合にピッチアジャスターを操作して、頭を下げてやればスピードがもっと出せるように
なる…。または、アクロバティックな飛びをする場合など、「もっとスピードを出したい!」そんなシーンにピッチアジャスターを使って引き込みを効
かせるんですね!
ただし…。
ピッチアジャスターを操作して頭下げを実現するには、二つの条件があります。
一つは…。
ベースバーを引き込む前に、頭下げの操作をしておく。
もう一つは…。
頭下げの状態にしても、ベースバーに頭が当たらないように、スイングラインの高さを上げておく。
以上が必要です。
もっとも、ベースバーを引き込む前に頭下げにしておく…。については、熟練したパイロットならば、ベースバーを引き込みながら同時に頭下げに出来
る場合もありますが、基本的な順番としては、先に頭を下げておくことになります。
このことを間違えてしまい、ピッチアジャスターを操作せず、頭下げの状態を作り出さないでベースバーを引き込み
、「頭が上がる…。」と不満を漏らすパイロットが実に多いのです。
ですから、ベースバーを引き込んだ状態で頭が下げっている姿勢を好まれるのであれば、必ずピッチアジャスターを操
作して、まずは頭が下がった状態にしてください。
ただし、例外として、メインライン一本だけで吊り上げているハーネス(WVテナックスのスタンダードなど)もあります。
この種のハーネスは、メインラインとパイロットの重心位置がほぼ同じ場所にあり、そのままではピッチが不安定になってしまいます。
しかし、それを補うようにメインラインがロープをスライドする構造にして、そのロープの摩擦力にて、メインライン位置と重
心位置が同じでも、ピッチの安定を保つようにしています。
つまり、この種のハーネスのピッチ安定を良くしたい場合は、ロープの摩擦力を大きくすれば良いわけであり、通常はロープを緩めてその摩擦力を大き
くすることにより、ピッチが安定するようにしたりしています。
そして…。
このハーネスでベースバーを引き込んで頭下げの姿勢にしたい場合は、ベースバーを引き込みながら、
頭が下がる方向に、手前側にもベースバーを引く力を加えることが必要です。
一見、普通のハーネスの場合よりも面倒そうに思えるのですが、慣れればこれはこれで操作がやりやすく、なんと言ってもその構造が極めてシンプルな
ので、故障の心配もなく、この種のハーネスを好まれる方もいます。
飛行中、パイロットの迎角を変更するための装備なのですが…。
実は、多くのパイロットが、その使用目的や使い方を正確に把握していないのです!
そこで今回は、このピッチアジャスターについてお話いたしましょう。
上記の話を進めていくうえで、まずはハングハーネスの構造についてのお話から始めたいと思います。
まず、パイロットの重量の多くを吊り下げているメインラインなのですが、その取り付け位置は、パイロットの重
心位置より、少し後ろになります。
このままでは頭が下がってしまいますので、フロントラインにて前を吊り上げ、そのようなことにならないようにしています。
これが、ハングハーネスのピッチ安定をつかさどる基本形になります。
そして、このメインラインとパイロットの重心位置の関係は、飛行中のピッチ安定と密接な関係があります。
重心位置よりも、メインラインが後ろに位置するおかげで、ピッチの安定が生まれるのです。
ピッチが安定すると、空中での様々な状況の中で、パイロットのフラツキが防止されるため、安定してグライダーをコントロールすることが出来ます。
具体的には、メインラインが後ろにあるほどピッチの安定が良くなって、グライダーをコントロールしやすくしてくれます。
フロントラインにかかる荷重、メインラインにかかる荷重は、重心位置からフロントラインの距離をa,重心位置からメインラインの距離をb
とすると、それぞれは…。
フロントライン荷重 吊り下げ全重量×b/(a+b)
メインライン荷重 吊り下げ全重量×a/(a+b)
※吊り下げ全重量とは、パイロット重量+ハーネス重量
になり、メインライン位置が後ろになるほどに、フロントラインへの荷重が大きくなり、ピッチ安定も向上することになります。
しかし…。
どんなにピッチの安定が良いハーネスにしても、スピードを出すためにベースバーを引き込むと、必ず頭が上がってし
まいます。
これは、ベースバーを出したり引いたりする動作は、スイングラインの付け根を中心に、円運動をするためであり、この頭上がり
はどんなハーネスも避けることはできません。
そして、この「頭上がり」は以下の2つの短所を生み出してしまいます。
その2つとは…。
空気抵抗が大きくなる。
引き込みがきかなくなり、スピードが出せなくなる。
です。
この2つの欠点を無くすために、ピッチアジャスターはあるのです。
ピッチアジャスターにより、頭をあらかじめ下げておけば…。
当然空気抵抗も小さくなり、そして、上半身の位置が低いために、ベースバーの引き込みもより効くようになってスピードが上げられるので
す。
このために、ピッチアジャスターはあるのです。
空気抵抗の軽減については、より高度な競技寄りの飛びをする場合のみ問題なのですが、ベースバーの引き込みがより効かせらることについては、
例えば風の強い海岸リッジのエリアなどで、前に出なくなった場合にピッチアジャスターを操作して、頭を下げてやればスピードがもっと出せるように
なる…。または、アクロバティックな飛びをする場合など、「もっとスピードを出したい!」そんなシーンにピッチアジャスターを使って引き込みを効
かせるんですね!
ただし…。
ピッチアジャスターを操作して頭下げを実現するには、二つの条件があります。
一つは…。
ベースバーを引き込む前に、頭下げの操作をしておく。
もう一つは…。
頭下げの状態にしても、ベースバーに頭が当たらないように、スイングラインの高さを上げておく。
以上が必要です。
もっとも、ベースバーを引き込む前に頭下げにしておく…。については、熟練したパイロットならば、ベースバーを引き込みながら同時に頭下げに出来
る場合もありますが、基本的な順番としては、先に頭を下げておくことになります。
このことを間違えてしまい、ピッチアジャスターを操作せず、頭下げの状態を作り出さないでベースバーを引き込み
、「頭が上がる…。」と不満を漏らすパイロットが実に多いのです。
ですから、ベースバーを引き込んだ状態で頭が下げっている姿勢を好まれるのであれば、必ずピッチアジャスターを操
作して、まずは頭が下がった状態にしてください。
ただし、例外として、メインライン一本だけで吊り上げているハーネス(WVテナックスのスタンダードなど)もあります。
この種のハーネスは、メインラインとパイロットの重心位置がほぼ同じ場所にあり、そのままではピッチが不安定になってしまいます。
しかし、それを補うようにメインラインがロープをスライドする構造にして、そのロープの摩擦力にて、メインライン位置と重
心位置が同じでも、ピッチの安定を保つようにしています。
つまり、この種のハーネスのピッチ安定を良くしたい場合は、ロープの摩擦力を大きくすれば良いわけであり、通常はロープを緩めてその摩擦力を大き
くすることにより、ピッチが安定するようにしたりしています。
そして…。
このハーネスでベースバーを引き込んで頭下げの姿勢にしたい場合は、ベースバーを引き込みながら、
頭が下がる方向に、手前側にもベースバーを引く力を加えることが必要です。
一見、普通のハーネスの場合よりも面倒そうに思えるのですが、慣れればこれはこれで操作がやりやすく、なんと言ってもその構造が極めてシンプルな
ので、故障の心配もなく、この種のハーネスを好まれる方もいます。