T2Cは、癖のない扱いやすいサーマリング特性を持っていましたが、それでは、グライドについてはどうか?
今回はその辺をレポートしてみます。
サーマルをトップアウトした後、VGを引き締めグライドに入ってみます。
VGは最近のどのグライダーも軽く引けますが、T2CもやはりVGは軽い!
いきなり100パーセント引き込んでグライドをかけてみます。
これだけVGを引いても意外にコントロールは効きます。
もちろん若干のアドバースヨーは出ますが、私の技術でもなんとかコントロールできるレベル‥。
これならグライド中不意にサーマルを見つけても、なんとかなりそうに思えます。
VG100パーセントでのピッチのバープレッシャーは、鋭利な刃物のごとく鋭さを感じる、とても軽いものです。
そのバープレッシャーに無駄な余裕はあまり感じられず、さすがはレーサー機らしい味付けです。
私だったらウデもないので、もうこれ以上ダイブスティックやリミッターを落とそうとは思いませんでした。
VG100パーセントでのグライドの安定性ですが、さすがはウイルス!。
かつてウイルスのグライダーで、直進安定性に不満を感じたものはありませんでしたが、やはり、T2Cもその例外ではありませんでした。
気持ちよく、まっすぐに飛んで行ってくれます。
意地悪にわざとヨーイングのきっかけを作ってみても、普通に飛ばしていれば収まってしまいます。
ハンググライダーの技術革新は、実は10年ほど前から進んでいません。
しかし、競技などで飛び比べてみると、最近のグライダーは少し前の機体に対して、滑空比は同じものの、明らかに巡航速度が速くなっています。
3~5Km/hほどは速いでしょうか?
これは、私は各メーカーの細かなチューニングの煮詰め、とりわけ、リブの寸法の煮詰めがうまくいっているからかと考えています。
リブが理想的に設定されていれば、それだけピッチも安定し、ウォッシュアウト(ねじり下げ)も減らせるため、理論的に高速グライド性能が良くなる筈です。
リブについては、私はまだまだ改良の余地は残されているように思えます。
(私がメーカーにいたら、いろいろと試してみたいことがあるんですが‥。)
さて、今度はT2Cの低速性能を試してみます。
VGオフでゆっくりベースバーを押して行ってみます。
マッシングの後、一気に風の音が小さくなり、ベースバーのバープレッシャーが急に大きくなって、通常のグライド速度にグライダーが戻りたがろうとします。
それでも更にベースバーを押し出してやると、T2Cはハンマーヘッドストール(頭をストンっと落とす失速)には入らず、沈下速度を増すだけでそのままの姿勢を保ちます。
とても安全性の高いものです。
これはハンググライダーで理想的な失速特性と言え、実は、ウイルスが昔からかたくなに守っているポリシーでもあります。
T2Cはすべての面において、高性能ながら、ウイルスらしくすべてがまとめあげられたグライダーでした。
是非次の自分のグライダーの候補に加えたい‥。そんな気持ちにさせてくれました。