飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

男のセーフティーノーツ その9

2008-12-26 18:30:51 | ハング(hangglider)

グライダーのノーコンについての話しが続いていますが、もう一つ。

実はノーズコーンのはがれは意外に怖いものなのです!

最悪なのは、ノーズコーンの上だけがはがれて風になびいている状態。

この状態では、気流がそこから剥離してしまうため、先にご紹介したルミラーの折れ、水滴の付着ほどではありませんが、やはり、かなりコントロールが困難な状態に陥ってしまいます。おそらく、その状態のままでは、安全にランディングすることに支障はあるでしょう。

また、ノーズコーンが完全にはがれた場合、そこから、ラム圧(前からの空気の圧力)が翼の中に入ってくるため、下面がふくらみ、ピッチの安定性が著しく損なわれてしまいます。

最悪はダイブに入って回復不可能な状態になってしまいますので、結構怖いものなのです。

グライダーをセットアップする際、皆さんは十分にノーズコーンが密着して取り付けられているか確認してください。

また、ノーズコーンを中途半端に取り付けてしまった場合、大きな支障はないのですが、しかし、確実にサーマル内での「浮き」は悪くなってしまいます。

ライバルに差をつけたいのであれば、こんな細かなところにもこだわってみても面白いのではないでしょうか?

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男のセーフティーノーツ その8 

2008-12-22 21:37:51 | ハング(hangglider)

雨に濡れた翼は非常に危険な状態になります。

翼の表面に水滴がついてしまうと、ハンググライダーは思うように曲がらなくなってしまうのです。

これは、特に表面に水滴が残りやすいマイラーセールの場合に顕著に表れ、水滴が染み込んでしまうノーマルセールの場合はいくらかマシにはなりますが、やはり、注意は必要でしょう。

水滴がつくとハンググライダーがノーコンになってしまう理由は、私は前回のセーフティーノーツでご紹介した、マイラーの折れによるノーコンとまったく同じ理由で、翼の中央部の気流の状態を理想的に制御できなくなることによるものであろうと私は考えています。

とにかく、フライト時は雨に遭遇しないようにすることが賢明であるといえるでしょう。

以前、雨の水滴を、シャンプー液を翼の表面に塗ることにより、水が水滴にならないようにするアイデアを目にした事がありますが、フライトのたびにそれを塗るのも、あまり現実的とは思えません。

理屈の上では、もし、翼に水滴がついた場合、低速のままでは制御不能ですが、高速まで出してしまい、ハンググライダーを翼の後退角に働く安定性の原理を用いて操作すると、操縦は可能なはずですが、しかし、その速度に達するまでの間、ピッチの安定の保証はありませんので、現在のところ、私はこの方法はお薦めできません。

まあ、最後の手段と考えてよいでしょうね。

誰か勇気のある方の試してもらいたいところ?ですね。

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男のセーフティーノーツ その7

2008-12-16 20:44:18 | ハング(hangglider)

翼のリーディングエッジをきれいに保つために入れられているルミラー。

機首から出し入れが出来るこのルミラーは、うっかりすると、中で折れてしまう事があります。

折れるときは、たいていが機首部分、ノーズコーンの直ぐ横。

このルミラーの折れは、実はとても怖いものなのです。

ルミラーが折れたまま飛んでしまうとどうなるか?実は、強いアドバースヨーが発生し、ハンググライダーは思った方向に旋回出来なくなってしまうのです。

つまり、ノーコン状態。

ルミラーの折れが原因で、翼につく突起の高さは、わずか1センチに満たないもの。しかし、このわずかな突起が致命的にグライダーのコントロールを失わせてしまうのです。

なぜこのようなことが起こってしまうのか?その原因は、以前私がFLYAIRでレポートを出したことがあるのですが、ハンググライダーのコントロール性を保つ上で、実は、翼の中央部分の気流の状態が非常に大事なようなのです。

以前の実験では、旋回内側の翼の中ほどでは、局所的な「失速」が確認できました。

どうもこの「失速」が、ハンググライダーにおける低速の旋回では重要な役割を担っているようなのです。

ルミラーの折れが原因で、そこから気流の剥離が始まってしまうと、上記のことがうまく行かなくなるため、旋回が出来なくなるのでは?というのが、とりあえず私の説です。

ともあれ、皆さんはプレフライトチェックの時は、ルミラーの折れにも注意してください。

ノーズコーンの直ぐ横。結構注意しないと発見できませんよ!

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男のセーフティーノーツ その6

2008-12-15 18:14:36 | ハング(hangglider)

クロスバーテンションの掛け忘れ!これはかなり怖いミスです。

キングポストのあるグライダーでは、クロスバーテンションがかかっていなければ、まず、その形を保つことができず、直ぐにそのミスを見つけることができます。

問題なのはキングポストレス機。この種の機体はクロスバーの摩擦が大きいため、クロスバーテンションがかかっていなくても、その形を保つことができるのです!

形が保たれると言うことは、そのミスに気づきにくいと言うこと!

実際、今まで多くの方がこのミスをやらかしています。

クロスバーテンションを掛けずにフライトするとどうなるか?ハンググライダーは空中で折り畳み傘をしまうかの如く、翼が折りたたまれてしまい、あなたは自由落下の世界へと入ってしまうでしょう。

この恐ろしいクロスバーテンションのかけ忘れのミス。実は、簡単に気づく方法を私は実践しています。

その方法とは、必ずVGの動作チェックをすることを習慣づけることなのです。

クロスバーテンションがかかっていないとき、VGを引くとまったく手応えがなく、スカッと抜けてしまうようにロープが引けてしまうのです!これで、クロスバーのテンションの掛け忘れに気づくことができるのです!

もっとも、このミスは本来プレフライトチェックの時に見つけるべきものなのですが、VGの動作チェックを習慣付ける事により、二重にチェックすることができるので、より安全性が高くなるといえます。

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男のセーフティーノーツ その5

2008-12-09 22:56:03 | ハング(hangglider)

グライダーのセットアップのとき、必ず入れるベースバーピン。

実は、このベースバーピンを入れ忘れるという、ちょっと信じがたいミスが、過去何度か起こっています。私の知人でも、確か二人ほど…。

キングポストレス機等、上級機の場合はブラケットにピンを入れる形式のため、まず、この種の機体はベースバーピンを入れ忘れたら、コントロールバーが形を保つことができないため、このミスには直ぐに気づくことができます。

問題なのは、初級から中級機の、ベースバーが丸パイプの場合。

この手の機体は、ベースバーピンを入れなくても、ブラケットにベースバーを差し込むと、コントロールバーが組み立てられてしまいます!

更に、これに気づかずにグライダーを立ててしまうと、もうこのミスに気づくことはできないでしょう。

しかし、このままテイクオフしてしまうと!…。ハングはまるで、出来そこないの鳥人間のグライダーのように、一瞬で翼がバンザイしてしまいます!

もちろん、そのあとあなたが生きていられるかどうかの保障は一切ありません。

ベースバーピンの入れ忘れは、とても危険なことなのです。

私はこのミスに関して、少し実験してみましたが、ちょっと面白いことが分かりました。

グライダーを担ぎ上げるとき、肩の両サイドをアップライトに密着させながら腕をまわし、コントロールバーを支える、「正しいホールド」の仕方をすると、実は、アップライトが左右に押し広げられるため、かなり高い確率でベースバーが抜けてしまい、このミスに気づくことができるのです!

つまり、過去このミスをやらかした人は、グライダーのホールドを基本どおりにやっておらず、腕の力で抱え込むようなコントロールバーの持ち方をしていた可能性が高いのではないかと思えるのです。

とはいっても、正しいホールドの仕方をしていても、私の実験では、大体一割程度の確立で

ベースバーのピンを入れなくても、ブラケットからベースバーが抜けずに機体を持ち上げることができてしまいました!

大切なのは、皆さんがこれから機体をセットアップするとき、ベースバーのピンを入れないまま機体を組み立ててしまった場合、このミスに気づくときは、すでにテイクオフ後、もう間に合わなくなってからだと言うことを肝に銘じるおいて欲しいのです!

コメント (5)
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