飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

すごいぞ!コントロールバー!!

2019-09-27 20:01:44 | ハング(hangglider)
ハンググライダーが世に出て、すでに半世紀近くになろうとしています。

その歴史の中で、ごく初期から現在に至るまで、ずっと存在し続けたパーツにコントロールバーがあります。

大きな空気抵抗がありそうに見え、そのうちなくなるだろう…。なんて言われてきたこのパーツ。

実は、あまりにも素晴らしい発明だったため、現在に至るまで、このコントロールバーを無くすことが出来ませんでした。

そして、おそらくなんですが、この先も、コントロールバーがあまりに素晴らしい発明だったため、フットランチプレーン(人の脚力だけで

離着陸できる航空機)で、これを無くすことはできないだろうと私は考えています。


それではなぜ、コントロールバーはそれほどまでに素晴らしい発明なのか…。

今回はそんなことをお話しいたしましょう!


まずこのコントロールバーはなぜできたのでしょうか?

ハンググライダーが発明された、ごく初期の時代、翼を背負って離陸速度まで走らなければいけなかったため、どうしても、グライダーを持

ち上げる「部品」が必要だったのです。


加えて、当時は「ハーネス」を使っていなかったため、離陸後、下に落ちないように体がしがみつける部品も必要でした。

そこでできたのがコントロールバーだったわけです。



初期のハンググライダーのコントロールバーは、今のような三角形ではなく、人が四角形の枠の中に入り、それを脇で抱えて自分が落ちないように頑張

りながら飛行する…。という、今では考えられない形式をとっていました。

これにより、ハンググライダーは人の足で離陸し飛行できる道具へとなったのですが、この時、同時にコントロールバーの存在は、グライダーの強度を

維持するうえで、とても重要な役割も担わされていたのです。

それが何かというと、翼を壊れないように支えることなのです。

ハンググライダーが、ただの骨組みだけが翼を支える構造ならば、離陸する前にたちどころに翼は折れてしまうでしょう。

しかし、コントロールバーの下部に翼を支えるためのワイヤーなどの部材を取り付ければ、ハンググライダー

の強度を、たちどころに強化することが可能だったのです。




この工夫は、翼を楽に支えることが出来たため、同時に軽量化することも可能となりました。

更に…。

着陸時、フレアーをかけることにより、その速度を一気に落とすこともできるため、人の足でも安全に着陸する

ことも可能となったのです。




これはすごいことが起きました。

コントロールバーは、離陸時機体を支えるための部品、並びに、機体の強度を保つための部品、

更に、着陸時に一気に速度を落としすフレアーもかけられるものとなったのです。




更に加えるならば、このコントロールバーがあったおかげで、操縦に必要な「体重移動」が容易に行えるようになったことも見逃がせません。

コントロールバーがなければ、空中で思い通りにハンググライダーをコントロールすることもできなかったでしょう。



そして、現在…。

コントロールバーは更に進化し、より、安全にハンググライダーを扱ううえで完成されたものとなりました。

テイクオフ時は、機体の姿勢を安定して維持するのに都合の良い形となり…。

機体をかついだ時は、ちょうど肩の上に機体の重心位置が来るようになり…。(スターティックバランスといいます。)

ランディング時も、フレアーがかけやすいように、パイロットとコントロールバーの位置関係も、近すぎず遠すぎず、丁度よい位置にとなりました。

もちろん、翼の強度を支えるという重要な役割も、そのまま持たされています。

更に、ハンググライダーをコントロールするのに必要な体重移動も、もっともやりやすくなるよう、アップライト、ベースバーと、その寸法、角度がベ

ストなものへと進化を遂げました。




ここまで有益なコントロールバーは、もはや、無くすことなんて到底無理だと言わざるを得ません。


しかし…。

しかし…。

多くの方が気が付いていないのですが、コントロールバーにはもう一つ大きな役割があったのです!


次回では、そのことについてお話いたしましょう!




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溝腐病…。

2019-09-20 08:49:02 | 日記(diary)
先日の台風15号で大変な被害が出てしまった千葉県。

今もなお停電や断水が続いていると聞きます。

一日も早く、平常の生活をとりもどされることを祈るばかりです。


さて、今回の台風の被害を大きくしてしまったものの一つに、杉の木の溝腐病というものがあるといわれています。

これはどのようなものかというと、植林された木が長年放置された結果、溝腐病の菌糸に木が侵されてしまい、腐食してしまうも

のです。



今回の台風では、この溝腐病の木が里山に増えてしまったため、それが、台風の大風で倒れて電柱に被害を出してしまったため、多くの停電を発生させ

たと言われています。

現実的に、一般の方々は、あまり里山に目を向けていないと思いますが、よく見ると多くの杉の木がこの溝ぐされ病に侵されているんです。

実は、私は今の季節になると台風で倒れた木の処理を頼まれているのですが、ほぼすべての杉の木が、この溝腐病なのです。

撤去した木は、我が家の薪ストーブの薪として活用させていただいています。

溝腐れの部分は薪としては使えませんが、放置すると他の木に溝腐れの病気が移る可能性があるため、持ち帰って焼却処分しています。

昨日も2本の杉の木の処分を頼まれましたが、やはり、2本とも溝腐病に侵されていました。


今回の千葉の停電の被害は、里山が適切に守られていなかったため、より被害を大きなものにしてしまったように確かに思えるのです。

台風そのものは自然災害ですが、それによる停電被害は、かなりの部分が里山を守らなかったことによる人災なのでは

ないか?
そういう考え方もできると思うのです。


里山は、本来適切に間伐され、それぞれの木が健康に育つ環境を作ってあげ、溝腐病などの病気の木は伐採して、病気が広がらな

いようにしなければいけません。

つまり、常に人が手を加えていなければいけないものなのです。

それが放置されてしまうと、里山と人との共存関係が崩れてしまい、今回のような被害をもたらせてしまうのだと思います。


今後、今回のように、自然災害の被害を大きなものにしないように、適切な里山保全が出来るように考えていかなければいけないのかもしれません…。










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ハンググライダーの整備方法。

2019-09-08 16:22:02 | ハング(hangglider)
現在、JHF(日本ハング・パラグライディング連盟)の、ハンググライダー整備認定者は、その多くが60歳以上!

これでは、近い将来ハンググライダーの整備が行えなくなってしまいます…。

ということで、今回はハンググライダーの整備の基本をご紹介しておきたいと思います。

もし、ご自分で実際にこの作業にチャレンジしたい方は、まずは上記のハンググライダー整備認定者の指導を受けてください。


まずは翼端のセール留めから外します。



ベルトでとまっている機体もありますが、写真の機体はカーブドチップ機なので、クレビスピンで留まっています。

次はノーズ側のセール留め。



このスクリューを外します。

あとはキールポケットのセール留めを外します。

この機体はリアワイヤーと共に留められているので、このボルトを取ることになります。

同時にリアワイヤーも外せるので、作業が楽ですね!



ハンググライダーのセールは、上記の三か所で留められているんですね!

次は、フレームを取り出すために、まずはワイヤーを外していきます。

今回の機体はウイルスウイング社のもののため、コントロールバーの先端や、キングポストの先端で取り外します。

しかし、他のメーカーの場合、フレーム側、つまり、スパーやあるいはクロスバー側でワイヤーを外す方が効率的になります。




まずはコントロールバー先端部の黒いブラケットを外します。

リア、フロントワイヤーが簡単に取れますね!そして、フライングワイヤーも外します。

次はキングポスト側。



中央のスクリューを外せば、左右のランディングワイヤー、フロント、リア、そして、ピッグテールワイヤー(ラフラインを留めるワイヤーのこと。

これ、ウイルスウイング社での正式名称なんです!)が簡単に外せます。

次は、リアスパーを抜きます。



リアスパーを抜いておくと、フレームをセールから抜き取る時が楽です。

組み立てるときはこの逆で、フレーム本体をセールに入れた後にリアスパーを入れると、作業が楽になります。



フレームを抜き取るときに、キングポストが後ろに倒れていないといけないので、後ろに倒します。

この機体の場合は、そのままではキングポストが後ろに倒れないので、仕方がないので根元のボルトを外してしまいます。

以上の作業を済ませて、ノーズの方からフレームを引っ張ると…。



フレームが抜けてくれます。



後は作業台に乗せて、ゆっくりフレームをチェックすれば良いわけですね!

ちなみに、私の場合、ここまでがだいたい20分くらいです。



各ボルトを抜き取って、すべてのパーツをチェックしていきます。

同時にフレームの異常やボルト穴の周りなどのチェックします。(異種金属同士が当たるため、腐食が起こりやすい)。

また、チェック後ボルトを締める要領なのですが、絶対に強い力で締めてはいけません!

ボルトを強い力で締める理由は、ナットが取れないようにするため…。しかし、ハンググライダーの場合は、

セルフロックナットが使われていますから、強い力で締める必要がないんです!


一つの要領として、上の写真のように、指で締める方法があります。この程度の締め付け力が適正になります。



ウイルスウイング社の場合、ボルトの抜け止めはOリングが使用されていますが、私はこのリングが取れるのを防ぐために、上のようにテープを貼って

います。

いくらかはマシになるようです。

フレームのチェックが終わったら組み立てです。

私の場合は下の写真のようにセールをV字型に広げてフレームを突っ込みますが、人によってはセールを横にした状態で入れたりしますね!

最近の機体は、セール内にベルクロやリブがあるので、私は写真のV字型をお勧めします。



ベルクロやリブの内側をフレームが通らないように、フレームを目いっぱいに広げながらセール内に挿入していきます。

次に、外したキングポストを取り付けます。

くれぐれも、ワイヤーの配置に注意してください!

この辺は複雑なことが多いので、オーバーホール前に写真を撮っておくことをお勧めします。



リアスパーを突っ込みますが、ダイブスティックの配置に注意してください。



先ほどとは逆手順でワイヤー、ボルト、ピンを取り付け、最後はノーズのスクリューセール留めを取り付けますが、これは、機体を広げて行

った方が、楽に取り付けることが出来ます。




組みあがった機体は、隅々までチェックしてください。

出来ればこの時、自分だけでなく、もう一人機体に詳しい方にチェックしてもらうと良いです。

これにより、思い込みなどによる機体の組み立てミスを防ぐことが出来ます。

(昔、私が訪問した、オーストラリアのエアボーン社は、必ず二名でチェックしていました。)


だいたいこのような工程で、ハンググライダーのオーバーホールは進められます。

近い将来、ハンググライダー整備認定者の数が激減するはずなので、何とかこの技術をつなげていきたいものです…。

 

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