大川小学校の悲劇とは、東日本大震災時、宮城県石巻市にかつてあった大川小学校が、78名の生徒と避難してきた住民、約100名近く
が大津波の犠牲となった痛ましい事故です。
釜石の奇跡とは、同じ東日本大震災の時に、生徒と教職員などが的確に避難し、ほとんどの方が助かった出来事です。
結果は全く違っているのですが、実際にこの二つの出来事に触れてみると…。
結構似た部分があるのでは?と、私には、今、思えています。
実はこの二つの出来事、かなり微妙なところで、その「最終的判断」が変わったことをご存知でしょうか?
まず、この二つの出来事の共通点は、
マニュアル通りに避難場所に避難している。ということで
す。
大川小学校は小学校自体が避難場所に指定されていました。(ちなみに大川小学校の海抜高度は1メートル)
釜石の奇跡が起こった鵜住居地区の場合も、地震が起きてすぐに指定の避難場所に避難しています。
二つとも、マニュアル通りの行動をとっているのです。
しかし…。
大川小学校の場合、学校そのものが指定された避難場所だったことより、「高い場所に避難した方が良い」という意見が出ながらも、なかなかそ
の場からの移動が始められませんでした。
周りは急斜面ばかりで、しかも雪が残り足元が悪い中、子供やお年寄りがいる状態で、マニュアルを破ってそのような場所に避難するのは問題があ
るのでは?という意見もあったからです。
確かに、実際にその場所を見てみると、小さな子供やお年寄りが高い所へ安全に移動できそうな斜面は、大川小学校の周りにはありません。
対する、釜石 鵜住居地区の場合、同じように避難場所へと移動していますが、指定された避難場所で、たまたま裏山が地震で崩れていたため移動
を決意。結果、ほとんどの子供の命を救うことができています。
釜石 鵜住居地区で起こった奇跡も、裏山がたまたま崩れていなければどうなっていたかわからない…。このことは、同、鵜住居地区にあ
る「いのちをつなぐ未来館」で語り部をされている方も語られていました。
前回の私のこのブログで、実際にこの釜石の奇跡が起こった場所の写真を掲載しましたが、
指定された避難場所から、道路が整備されてい
たため、 次の避難場所への移動が問題なく行えた。ことも、臨機応変な行動をとることができた要因と思えます。
結論を申しますと…。
この二つの出来事は、マニュアルで指定された避難場所は「危険」であったわけです。
つまり、マニュアルが間違っていたのです。
そのことに対して、どのような行動をとったか、あるいは、どのような行動をとることがその場で可能だったの
か。
そのことが「明暗」を分けてしまったように思えます。
おそらくですが、大川小学校の場合も、もし、近くに誰でも高いところに避難できる整備された道があれば、安全な場所に避難していたと思え
ます。
では、なぜ今回のこの二つの出来事で、間違えたマニュアルが作られたのでしょうか?
この理由は、
私たちが、自然を全く理解していなかったことに原因があると私は思います。
この時の避難を指示したマニュアルは、実は、先の三陸津波の事例を参考としており、それを超える大津波は想定していなかったのです。
つまり、今回のような大津波は、誰も起こるとは思っていなかったのです。
しかし、地震や津波に対する研究が進む中、
過去、想像を超える大きな津波が発生していることが分かってきまし
た。
以前にも、私はこのブログで書かせてもらいましたが、そのような、過去起こった大津波を正確に調べることが
とにかく重要であると思います。
そして、それをベースとして、安全な避難マニュアルを作らなければ、大川小学校のような大きな悲劇が再び起こ
ってしまうと思います。
ちなみに、もし大地震にあった時、どの程度の津波が来るか、すぐに自分で予測できる方法があるのをご存知でしょうか?
…。と、言っても、コレ私が考えた方法なのですが…。
まず、地震の揺れには、最初の弱い揺れ
P波(プライマリー波)と
本震のS波(セカンダリー波)があります。
これは地震の振動が、その揺れ方で伝わる速度が違うために起こる現象です。
揺れの弱いP波の方が早く伝わるため、
揺れ始めてから本震のS波が来るまでの秒数をカウントするのです。それで
震源地までの距離が、まずわかります。
そこから、その地震のだいたいの規模や津波の規模が、計算できるのです。
具体的には、まず、
P波が揺れ始めてから、本震S波が来るまで、その秒数に8を掛けます。
出てきた数字が、
自分がいる場所から震源地までのだいたいの距離です。
例えば、揺れ始めて本震が来るまで10秒かかったとしたら、震源地までは10×8で、だいたい80キロということになります。
そして、その地震での震源地の震度なのですが、
これは、80キロ震源地に近づくごとに「1」大きくなると考
えれば、だいたいですが合うようです。
例えば、揺れ始めて本震が来るまで10秒ほどかかったとして、自分のいる場所の震度が4だったとしたら、震源地まではだいたい10×8で80
キロほどですから、震源地での震度は4+1で5程度ということです。
そして、その震源地での震度の数字、上の例では5という数字が、地震の規模を表す
マグニチュードの数値とだいたい合うようで
す。
(念のためですが、揺れを表す「震度」と、地震のエネルギーを表す「マグニチュード」は全く別のものですが、震源地ではたまたまその数字が合う
というだけです。)
つまり、震源地で5の震度の場合、その地震のマグニチュードもだいたい5程度です。(あくまで震源地が浅い場合。深い場合はもう少し震度が小
さい。)
更に…。
津波の大きさを知るには、
本震の時間の長さと津波の大きさは比例する!と、考えればよいと思います。
例えば、妙に長い本震、先の東日本大震災の場合は3分ほどありましたが、こんな時は大津波が来ます。
この理由は、
地震とは、断層がずれて起こるものであるため、その地震が長ければ、その分断層も大きく移動しま
す。
そして、その断層の移動が海の水を持ち上げ、「津波」となるからなのです。
もちろんこの方法は「かなり大雑把な方法」ではありますが、最初のP波が来てから本震のS波が来るまでの秒数を数え、そして、本震S波のだいた
いの時間をカウントするだけで、ここまでわかるのですから、正確な情報が取れるまでの、仮の判断の基準にはなると思います。
ちなみに…。
津波の警戒が必要なのは、だいたいマグニチュード6程度からだと思いますが、上で解説したように、本震の揺れが長かった場合は大きな津波にな
る可能性があるため、マグニチュードだけでの判断は危険かと思います。(この種の津波は「サイレント津波」と呼ばれているようです。)