飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

ハンググライダーの進化の歴史 20

2012-09-26 20:59:19 | ハング(hangglider)

今回は「トランスバースバテン」についてご紹介します。

まだまだ聞きなれていない言葉ですが、翻訳すると「横渡しバテン」と言えるでしょうか‥。

これはトレーディングエッジ近くでバテンとバテンをつなぐようにセールの中を走っている横渡しのバテンのことで、最近の機体ではキングポストありも含めたほとんどのものがこれを装備するようになりました。

このトランスバースバテンは、それまでのダイブスティックやスプログなどで「点」でセールを支えてねじり下げを維持していたものに対し、棒を横渡しに入れることにより「線」で支えられるようになり、大幅にピッチ安定が向上させられたと同時に、その分さらに「ねじり下げ」を少なくすることが可能となった画期的なものでした。

当然その分性能も向上‥。

実はこのトランスバースバテンが発明される前に、その過渡期ともいえる機体が存在しています。

Concept


今はなきメーカー、エアーウェーブのコンセプトです。

この機体は翼端付近に「スペアリブ」という独特な装備が持たされていました。

スペアリブとは直訳すると「肋骨」ですが、コンセプトの場合、それまでのウォッシュアウトリミッターをやめて、より確かにピッチ安定を保つべく、翼内に複合材で、まるで肋骨のように作った大きなねじり下げを維持する機構を持っていたのです。

このスペアリブは、それまでのリミッターが「点」でセールを支えているものとは違い、トレーディングエッジの広い範囲を「線」で支えていたのです。

当然ピッチ安定は向上‥。確かに効果がありました。ありましたが‥、ちょっと構造が複雑でした。

しかし、よく考えてみると、翼内に複雑なスペアリブを入れなくても、単純にセールに横渡しのバテンを入れて、それをリミッターやスプログで支えても同じ効果になるはず!と気が付いたのです。

このアイデアにより、複雑なスペアリブは不要となり、まったく同じ効果がシンプルな構造で得られるトランスバースバテンが主流となったのです。

で、そのトランスバースバテンを最初に装着したのはどの機体か‥。

実は申し訳ないのですが、わたしもよくわからないのですが‥。

Rcs


おそらくこの機体だったように思います。

ドイツのグッケンモスウイングが発表したRCS‥。

発売当時は飛びぬけてよく飛んだ機体で、大会ではこの機体が相手だとどうにもならなかったものです。

どなたかもし、このトランスバースバテンを最初に装備した機体を正確にご存知でしたら、ご一報ください!

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ハンググライダーの進化の歴史 19

2012-09-20 21:36:38 | ハング(hangglider)

今回は、今までとちょっと毛色の違う機体をご紹介します。

ドイツはフライトデザイン社が発表した「エクスタシー」です。

Exxtacy


この機体は、ハンググライダーの歴史が始まって、最初に量産された複合材を主な材料とした固定翼機でした。

もともとドイツは、グライダーは盛んな国で、この連載の初めのほうでも少し触れました、ホルテン兄弟などもこの国の技術者でした。

そんなグライダーが盛んな国から、今回のエクスタシーのようなセンセーショナルなグライダーが出現したことは、当然の成り行きだったのかもしれません。

エクスタシーは、初めて複合材を使った商業ベースの機体であると述べましたが、実は、その原型となる「ペガサス」という機体が存在していました。

Pegasus


この機体は、言ってみればマニアックな人間が、複合材でハンググライダーを作ったような機体でしたが、その開発者の一人フェリックスルウェールが、もっとこの種の機体をビジネス的に進めていきたいと思っていたところ、フライトデザイン社の社長マティアスに声をかけられ、

ともに協力して新しい固定翼のハンググライダーを作ることになったのです。

その結果出来上がったのが、今回の「エクスタシー」です。

エクスタシーは、初めての複合材を使った量産機でしたが、今から考えると、とてもまとまっており、安全性も優れたものであったと思います。

飛行特性もよく、しかもカーボン製のDボックスには、破損を発見しやすいように表面に薄いグラスファイバーを張るという念の入れようで、これによって損傷個所が白く細かなヒビが入るのですぐに見つけることが出来ました。

このエクスタシーは今までのハンググライダーよりも高性能だったため、瞬く間に普及。

フライトデザイン社はビジネスを成功させますが、しかし、設計者のフェリックスとの間に問題が起こり、フェリックスはフライトデザイン社を去ります。

その後、当時ヨーロッパUP社の代表を務めていたバーンド氏のプロデュースの元、エクスタシーを超えるべく開発した機体が「ATOS」だった訳です。

フェリックスはその後固定翼の開発に没頭し続け、現在のA.I.R社があるわけです。

余談ですが、フェリックスは面識がありますが、とても穏やかで優しい人です。

年も私とほとんど同じで、いろいろと彼のお世話になったことも、今となっては懐かしい思い出です。

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薪ストーブの煙突の選び方 3

2012-09-15 20:56:13 | 薪ストーブのセルフビルド(for woodstave builder)

薪ストーブ関係で、結構アクセスがあったため、前回の続きを載せておきます。

前回では、薪ストーブのセルフビルドでの煙突の購入は、とにかく情報を取ることが必要であることをご説明しました。

実際、ネットを調べてみると、いくつかの業者さんが、煙突のみでも販売してくれているようです。

そのようにして、煙突の購入先を見つけた後、今度は煙突部材を組み合わせて、自分がセルフビルドしたストーブに合うようにしていかなければいけません。

が、しかし、実はこの作業は、はっきり言ってプロの煙突業者さんに任せたほうが良いのです!

素人がいくら勉強しても、やはり、実際に薪ストーブを使い込んだプロの経験には勝てません。

実際、ストーブのメーカーが違うだけで、まったく同じ条件でも煙突の組み合わせを変える必要がある場合もあります。

これは私自身良い勉強になったのですが、ウチの薪ストーブ「バーモントキャスティングス」のように、天板が開き、そこから薪が投入できる「トップローディング」という機能がある場合、実は煙突に要求される性能もシビアになり、よりドラフトが強くなるように、他の薪ストーブよりも二重断熱煙突を多く使った方が、結果的に快適に薪ストーブライフを楽しむことができる場合もあります。

こういった細かなことは、やはり経験のあるプロでないとわからないでしょう。

私が調べた限り、煙突部材だけを売ってもらえる薪ストーブ屋さんは、有難いことに、みなさん、この辺の「ベストな煙突の見立て」も行ってもらえます。

正直、薪ストーブを使ったこともない素人が、いきなりネットなどで勉強した知識だけで煙突の見立てをすること自体、私は無理があると思います。

ましてや、ホームセンターにいきなり行って、煙突部材を揃えるなんて、かなり無理があるように私は思うのですが‥。

だからこそ、ここは煙突を売ってもらえる薪ストーブ業者さんにお願いしたほうが、より確実に薪ストーブのセルフビルドを成功させられると思います。

そして、このようにして煙突の購入業者が決まったら、メールや電話のやり取りだけでなく、私は直にその煙突工事の詳細を教えてもらえるように、その煙突業者のところまで行くことをお勧めします。

薪ストーブは一歩間違えば家を燃やしてしまいます!

ですから、的確な煙突工事の方法もしっかりと教えてもらうべきだと思います!

もし、そのようなレクチャーを嫌がる業者さんだったら、申し訳ないのですが、その業者さんは信用できないようにも思えます。

ご参考にならないかもしれませんが、ウチの薪ストーブの煙突の概略図を載せておきます。

021


ウチは煙突メーカーは、イギリスのパワーマチック社。

煙突を購入したお店は、山梨の薪ストーブ屋さんの「ルネサンス」さんでした。

他にも、国産薪ストーブメーカー「本間」さんも、煙突部材の相談にはのっていただけますし、ほかにも、煙突について相談にのっていただけるお店はありますので、ご自分が気に入ったところに相談してください。

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薪ストーブの煙突の選び方 2

2012-09-13 22:35:31 | 薪ストーブのセルフビルド(for woodstave builder)

前回では、薪ストーブの煙突の機能と種類を大まかにご説明しました。

では、実際に煙突をどのように購入していけばよいのか?

実は、薪ストーブのセルフビルドにおいて、薪ストーブ本体を購入するよりも、付属品とも思われがちな煙突を購入するほうが、あらゆる意味で難しいのです!

まず、煙突を購入しようと思った場合、まずはホームセンターの煙突コーナーでの購入を思い浮かべるのではないでしょうか?

しかし、現実には、ホームセンターにはあまり質の良い煙突はおいてなく、しかも、結構部品がそろわないことが多いです。

もっとも、すべての部品がそろわなくても、ある程度は形になりますが、実際に薪ストーブを使い始めてから、メンテナンスなどに支障が出るケースが多いです。

私もいろいろとホームセンターの煙突を見ましたが、某最大手のホームセンターの薪ストーブコーナーでも、満足のゆく部品はそろわず、ためしに薪ストーブ担当の方と話をしてみましたが、正直、薪ストーブの知識が薄く、残念ながら話を進めることができませんでした。

つまり、ホームセンターで煙突を購入した場合は、かなり「ヤッツケ」仕事になる可能性が高いです。

次に煙突購入で皆さんが思いつくのは「薪ストーブ屋さん」ではないでしょうか?

しかし、一般の薪ストーブ屋さんでは、まず、煙突だけを売ってくれることはないと考えてください。

薪ストーブ屋さんは、薪ストーブを安全に使ってもらうために、工事一式すべてを任せてもらうスタイルで薪ストーブを販売しています。

だから、煙突だけを売ってくれるようなことは、ふつうのお店では考えられず、ほぼ間違いなく断られるでしょう。

ホームセンターもダメ。薪ストーブ屋さんもダメ…。では、セルフビルドで薪ストーブを設置する場合、どこで煙突を購入すれば良いのでしょうか?

その答えは、とにかくインターネットなどで煙突部材だけを販売してくれるお店を探すことです。

ほとんどの薪ストーブ屋さんは、煙突だけの販売は断られてしまいますが、中にはセルフビルドを後押ししてくれる薪ストーブ屋さんも存在しているのです。

それほど多くはないのですが、しかし、煙突だけを販売してくれる薪ストーブ屋さんも確かに存在しているのです。

まずはそんなお店を見つけることが大事です。

実は、煙突部材のみでも販売してくれる薪ストーブ屋さんは、基本的にセルフビルドを後押ししてくださる考え方なので、薪ストーブ本体も大きな割引をしてくださるケースが多々あるのです。

これは、以前にこのブログで「高級薪ストーブを格安で手に入れる方法」というものをご説明しましたが、まさにそんなお店が煙突だけでも販売してくれる場合が多いのです。

ですから、煙突の購入、しいては薪ストーブのセルフビルドについても、とにかく多くの情報をとり、そんなセルフビルドを後押ししてくれるお店を見つけて、そのお店と仲良くなることが、後々いろいろと得なことになってくる可能性が高いのです!

ここで余談ですが‥。

DIY 雑誌の「ドゥーパ」が、女房のブログ「車中パグ」を見て、ウチの薪ストーブのDIYを取材したいとの連絡が最近ありました。

自分でやれば高価な薪ストーブも、ずいぶん節約して導入することができることが、世間にわかってもらえるので、取材に応じようと思っています。

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ハンググライダーの進化の歴史 18

2012-09-09 19:05:36 | ハング(hangglider)

今回は、いよいよキングポストレス機をご紹介いたします。

海外では「トップレス機」とも言いますね。

最初に登場したキングポストレス機は、フランスはラムエッティの「トップレス」でした。

Topless 開発者はラムエッティ社のジェラールテブノ氏。

彼はそれまでのハンググライダーの性能を上げようと、上部のワイヤーやキングポストをすべて取り去ることを思いつきます。

かつて、ハンググライダーはサイドワイヤーをストラットにし、性能を上げることには成功したものの、コントロールが重く取り扱いが大変になった歴史がありましたが、テブノが考えたのはストラットを使うのではなく、クロスバーに高強度のものを使い、飛行機と同じ「片持ち構造」にすることで、昔この種のハンググライダーでかかえた問題を解決しようとしたのです。

同時に彼はこの新開発のクロスバーを他社に販売することにより、新しいビジネスに挑戦することも考えます。

新開発のクロスバーはカーボンで製作し、テストが繰り返されるうちにキールも強度を上げなければならないことが分かり、コントロールも重くなることから、今までのノウハウを少し変える必要が出てきました。

加えて、マイナス方向への最終破壊荷重が加わると、クロスバーがねじれて瞬時に破壊してしまうことが分かったため、今までのハンググライダーにはなかった、大きなセンタージャンクションを追加することを思いつきます。

このようにして、トップレスは誕生しました。

しかし、誕生当時は結構冷ややかな目で見ていた人が多かったのも事実です。

「グライダーは重いし取り扱いも大変‥。こんなものが普及するものか‥。」

そんな声もささやかれでいました。

しかし、実際大会の中で性能を比べると、やはり明らかに違いが出ました。

そんな雰囲気の中で、各社さすがにキングポストレス機を無視できなくなり、ラムエッティを追うように次々と新しいキングポストレス機を発表するようになったのです。

ちなみに初期型のトップレスにはリブは装着されていませんでした。

まだ、この当時はリブも目新しい技術だったのです。

そのため、初期型のトップレスは、ニュートラルあたりのバープレッシャーがかなり強く、グライド時はかなり腕力が必要なものでした。

でも、高速までスピードを上げるとかなりピッチが不安定になったのです。

まだまだピッチの安定を確かなものにする技術が確立していなかったんですね。

ちなみに、このキングポストレス機はテブノ氏が考えた以上に大流行し、各社独自でクロスバーを製作するようになってしまったため、テブノ氏が考えたクロスバー販売のビジネスは失敗に終わってしまいました。

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