夏の雲

夏雲に触れむと人は山頂へ

夏の空に現れる雲をいう。積雲や積乱雲が代表的なもの。夏の強い日差しにより地面が熱せられ、上昇気流が発生し雲ができる。夏雲には、梅雨雲、朝曇りの雲、夕焼雲、山を上昇してできる雲など多彩。大きな夏の雲が間近に見られた。人は夏雲に触れようとでもするかのように山頂へと登って行った。

　








牧草地へ続く草地や夏の雲


　

ケルン

積まれたるケルンを塔のごと仰ぐ

高い山で、石を積み上げて道標としたもの。山頂付近では登った記念に積まれるものもある。山で霧に巻かれたときなど、ケルン伝いに行き、登山者にとって助けとなることがある。牛伏山山頂に二メートル以上に積み上げられたケルンがあった。まるで塔でも見上げるように仰いだ。

　






午後の日の明るきケルン積みにけり


　

日傘

携帯を見つつ歩むや白日傘

夏の強い日差しを遮るためにもっぱら女性がさす傘。現在は、紫外線をカットするＵＶ加工をしたものや晴雨兼用の日傘が主流。美ヶ原高原で白日傘の若い女性を見た。今どきの女性らしく、携帯電話を片時も離さず、メールを打っているのか景色など見ず、携帯を見ながら歩いていた。白日傘がひときわ眩しかった。

　




高原の風の中なる日傘かな


　

夏の山

原発を忘れ青嶺を望みけり

夏の山には、岩肌がむき出したり雪渓の残る高山から人家のある里山まで多種多様にある。また、新緑の山、梅雨時の山、太陽の照りつける山などそれぞれに異なった趣がある。夏山を青嶺ともいう。美ヶ原に遊んだ。標高1990ｍの牛伏山に登り遠くの青嶺を眺めると、原発のことはすっかり忘れていた。

　


あ

信州の薄き青嶺や幾重にも



木道に止まりて眺む夏の山


　

虎杖（いたどり）の花

虎杖の花遠山に雲湧けり

タデ科の多年草。雌雄異株。山野に自生。七月頃、葉腋や枝先に多数の白色の小花を密につける。花の色の紅いものは紅虎杖と呼ぶ。虎杖の花が日を受けて咲いていた。その先を見ると、遠くの青い山の上には雲がもくもくと湧いていた。

　




虎杖の花音もなく川流れ