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Brugge Style
「花屋の香り」
ジャパニーズ・タイプの白い芍薬、その名もゴールド・ラッシュ。
芍薬は姿が美しいだけでなく、香りも抜群に芳しい。
瑞々しい芍薬の香りは、花屋に入った瞬間思わず深呼吸をしてしまうあの香りだ。
こちらを愛用しているのはまさにその香りだから...
花がなくても花屋の香り。
軽石にエッセンスを含ませて使う。
わたしの関心があるのは「芸術とは何か」「美とは何か」「人間は世界をどう解釈するか」などである。
不案内ながらこちらにも何度も備忘録をつけてきたが、今、「花がなくとも花屋の香り」と書いてはと気が付いた。
「香り」で何かを再現する
という行為はものすごく「芸術」の核心をついてはいまいか。
プラトンの『饗宴』には、例えばソクラテスがディオティマから「愛とは何か」という話を聞いたとしてこう書いてある。
美しいもの善いものを愛することは、それが自分のものになり、幸福になることを欲求している。
人間は「善きものを永久に所有すること」を愛求しているといえる。
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イタリアの廃村
英国の隔離生活、一部緩和があったとはいえ、まだ継続中。
今日で10週間目を迎えた。
そしてボリス・ジョンソン首相が、上級顧問の行動(おそらく「ステイ・ホーム」の呼びかけを書いた本人。ロックダウンで全国民に外出禁止を強制していた4月、400キロ以上離れた実家に移動し、観光までしていた模様)を「ルールの解釈を曲げて」擁護。厳しく非難されている。
英国も日本も、一般国民と特権階級は別枠の扱いなんですね!!
今の日本と異なり、英国が幸いなのは権力の監視機能としてのジャーナリズムが抜群に機能していることか。
気候も欧州が一番いい季節、ああわたしも、どこかに行きたいなあ!
欧州大陸では観光シーズンを控え、さまざまな手段が講じられる模様。
イタリアのこの記事『都市から廃村に移住を 伊建築家ら「ポストコロナ」の新生活提案』が気になる。
新型コロナウイルスの被害が大きいイタリアでも、6月3日からシェンゲン条約に基づきEU内の移動が可能になる。
甚大な被害を教訓として、今後は人の過密が懸念される都市部や、一部のビーチなどへの集中を緩和したい。
ゆえに2000以上(!)が廃村になっている現状を鑑みて、過疎化する村落への観光を提案するだけでなく、住み続けてくれる人を誘致しようという提案だ。
ちなみにイタリアには5800の集落があり、それぞれの人口は5000人に満たないそうだ。
イタリアの小さい村を訪れたことのある人なら同意してくれると思うが、従来のインフラとデジタル・インフラが整えば、一年の半分は定住してもいいと思えるような魅惑的な村がたくさんある。
田舎の人づきあいが大変なのは、田舎出身の友達から忠告されているにしても、天気はいいし、食べ物はおいしいし、絵になる自然も建築物もある。有形無形の文化遺産の保護にもなるような協力の仕方ができたらいいなあ..
うん、いつものごとく、わたしのものの見方は甘い。
夫もリタイヤはまだまだ先だが、月に何日間かロンドンへ出、他国へ出張できるならリモートワークが可能だ。
娘が大学生になったので、学校の休みありきで移動の計画を立てる必要がなくなり、以前にましてひょいと出かけられるようになった。
今のうちに終の住処候補を考えておきたい。
英国からは飛行機に乗ったら欧州内の都市には1時間から2時間あればどこにでも行けるが、可能なら大陸に住みたい。車で国境を超えて、西へ東へ南へ北へ。
イタリアの過疎化する村にヴィラを買ったら(夢ですよ夢)、ずっとこんな話に付き合ってくださっているブログの読者の方をぜひご招待したいなあ(夢ですよ、夢)。
隔離生活が続き、ほんとうに読者の方々には慰められているのです。あらためて、みなさまありがとうございます。
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胡蝶の夢
英国での隔離生活、規制はやや緩まったものの、週明けで10週目を迎えようとしている。
3月末に隔離を始めた時は早寝早起きが自慢だったのだが、最近は温室で昼寝ばかりしているので夜寝られない。
温室内は夜中になっても気温が24度くらいに保たれていて、いくら自由時間があるとはいえ、勉強もせずに遊んでいたらあっという間に午前3時、4時になってしまう...
「吾が生や涯てありて、知や涯てなし」
夫は6時起きなのでほとんど入れ替わりで寝室へ行くことになる。
朝、起きられなくても支障がない毎日で、一向に生活改善できない。朝10時に起きて午前3時に寝る生活。
いつかほんとうに社会復帰できるのかしら。
もう以前の日常、ロンドンで19時半のパフォーマンスに間に合うためには何時に家を出て、何時にはあれをすませて、これは何時までに...という計算ができなくなりそうだ。
「いつだったか、わたし荘周は夢で胡蝶になった。
ひらひらと舞う胡蝶だった。
心ゆくまで空に遊んで、もはや荘周であることなど忘れはてていた。
ところが、ふと目覚めてみれば、まぎれもなく人間荘周である。
はて荘周が夢で胡蝶となったのであろうか。
それとも、胡蝶が夢で荘周となったのであろうか。
荘周と胡蝶はたしかに別の存在とされる。
だが荘周は胡蝶となって空を舞う。
これを「物化」と言う。」
(岸陽子訳『荘子』斉物論篇より 徳間書店)
「物化」というのは、シェイクスピアの
There is nothing either good or bad but thinking makes it so.
「善と悪は存在しない。人間の思考がその区別をつくるだけだ」
と、同じだ。「万物斉同」。
真紅の芍薬、美しすぎてシュール。
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薔薇のコーディアル
9年前(!)英国に来てから飲んだり、お菓子に使ったりするようになったのがコーディアルだ。
ウィキペディアによると
「身体を活気づけ、刺激する効果(滋養強壮作用)のある食品、主にアルコール飲料のこと。 心臓に良いとされた様々な飲み物を混ぜ合わせたものが、古くは医薬品として使用された」
という。
英国ではたいてい濃縮されたノンアルコールのシロップで、水などで薄めて使う。
何に魅了されるといって、ルネサンス期にイタリアの錬金術師が作り始めた秘薬に始まるという由来がとてもいい!
錬金術界隈では、飲めば不老不死になると伝えられる霊薬・万能薬だったのである。
神の創造した世界の神秘を解き明かしたいという欲望は、ヘルメス・トリスメギストスを始祖とし、「賢者の石」や「エリクサー」を生んだ。
今、わたしは魔法の飲み物を飲んでいる...と思いながら飲むの。効くよ(笑)。
写真のものはすでに炭酸で割ってある、フランボワーズと薔薇のコーディアルで、わたしはさらに炭酸で薄めて飲む。
ただそれだけの話なのだが、夕暮れの光の中でピンクがとっても綺麗だったので写真を載せたかった...
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薔薇風呂
イングランドの薔薇はとても長持ちする。
思い込みかもしれないし、世界中の薔薇はそういうものなのかもしれない。
ほんとうは枯れてしまっているのに、ミイラ化して長持ちしているように見えるだけなのかもしれない。
あの少女ロザリア・ロンバルドのように(ロザリアという名は「薔薇」から由来している)。
薔薇に限っては枯れかけも好きなので、花びらをむしって乾燥させたり、風呂に入れたりして最後までなかなか捨てられない。
捨てられないといえば、この隔離期間中に「断捨離」や「終活の入り口としての物の整理」をすすめられたりしたのだが、わたしは絶対しないと思う(笑)。
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